[ 早口言葉や発声、滑舌など、言葉の練習をしましょう ]
外郎売(ういろううり)
= ガ行鼻濁音ひらがな表示・縦書き版 =

『歌舞伎十八番 外郎』「虎屋東吉 九世市川団十郎」(国立国会図書館所蔵)
 
    外    
    郎    
    売    
『外郎家』の店構え - 東海道名所圖會(寛政9年・1797年)より
  • 俳優や声優、アナウンサー、歌手など、声を使った表現者になろうとする時、ガ・ギ・グ・ゲ・ゴの、ガ行鼻濁音の発音が正しく出来るかどうかは重要な要素とされます。
  • 鼻濁音を「カ゜キ゜ク゜ケ゜コ゜」と表記し、赤く着色しました。
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外郎売(ういろううり)台詞(せりふ)

せっしゃおやかたともうすは、おたちあいのうちにごぞんじのおかたもござりましょう゜カ、おえどをたってにじゅうりかみ゜カた、そうしゅうおだわら、いっしきまちをおす゜キなされて、あおものちょうをのぼりへおいでなさるれば、らんかんばしとらやとうえもん、ただいまはていはついたして、えんさいとなのりまする。がんちょうよりおおつ゜コもりまで、おてにいれまするこのくすりは、むかし、ちんのくにのとうじん、ういろうというひと、わ゜カちょうへきたり、みかどへさんだいのおりから、このくすりをふかくこめおき、もちゆるときはいちりゅうずつ、かぶりのすきまよりとりいだす。よってそのなをみかどより、とうちんこうとたまわる。すなわちもじには、いただき、すく、においとかきて、とうちんこうともうす。ただいまはこのくすり、ことのほかせじょうにひろまり、ほうぼうににせかんばんをいだし、イヤおだわらの、はいだわらの、さんだわらの、すみだわらのと、いろいろにもうせども、ひら゜カなをもってういろうといたしたは、おやかたえんさいばかり。もししやおたちあいのうちに、あたみかとうのさわへとうじにおいでなさるるか、またはいせごさん゜グうのおりからは、かならずかどち゜カいなされまするな。おのぼりりならばみ゜キの方かた、おくだりなればひだり゜カわ、はっぽう゜カやつむね、おもて゜カみつむねぎょくどうづくり、はふにはきくにきりのとうのごもんをごしゃめんあって、けいずただしきくすりでござる。イヤさいぜんよりかめいのじまんばかりもうしても、ごぞんじないかたには、しょうじんのこしょうのまるのみ、しらかわよふね。さらばいちりゅうたべべかけて、そのきみあいをおめにかけけましょう。まずこのくすりを、かようにいちりゅうしたのうえへのせまして、ふくないへおさめますると、イヤどうもいえぬは、いかんはいかん゜カすこやかになって、くんぷうのんどよりきたり、こうちゅうびりょうをしょうずる゜カ゜コとし。うお、とり、きのこ、めんるいのくい合あわせ、そのほか、まんびょうそっこうあることかみの゜コとし。さて、このくすり、だいいちのきみょうには、したのまわること゜カぜに゜コ゜カはだしでに゜ケる。ひょっとした゜カまわりだすと、やもたてもたまらぬじゃ。そりゃそりゃそりゃ、そりゃそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。アワヤのど、サタラナしたに、カ゜ケサしおん。ハマのふたつはくちびるのきょうじゅうかい゜コうさわやかに、あかさたな、はまやらわ。おこそとの、ほもよろを。いっぺ゜キ゜キに、へ゜キほし、はじかみ。ぼんまめ、ぼん゜コめ、ぼんごぼう。つみたで、つみまめ、つみざんしょう。しょしゃざんのしゃそうじょう。こ゜コめのなま゜カみ、こ゜コめのなま゜カみ、こんこ゜コめのこなま゜カみ。しゅすひじゅす、しゅすしゅちん。おやもかへえこもかへえ、おやかへえこかへえ、こかへえおやかへえ。ふる゜クりのきのふるきりくち。あま゜カっぱ゜カばん゜カっぱか。きさまのきゃはんもかわ゜キゃはん、われら゜カきゃはんもかわ゜キゃはん。しっかわばかまのしっぽころびを、みはりはりな゜カにちょとぬうて、ぬうてちょとぶんだせ。かわらなでしこのぜきちく。のらにょらいのらにょらい、みのらにょらいにむのらにょらい。いっすんのおこぼとけにけつまずきゃるな。ほそみぞにどじょにょろり。きょうのなまだら、なら、なままな゜カつお、ちょとし゜コかんめ。おちゃたちょ、ちゃだちょ、ちゃっとたちょ、ちゃだちょ。あおだけちゃせんでおちゃちゃとたちゃ。くるわくるわなに゜カくる、こうやのやまのおこけらこぞう、たぬきひゃぴき、はしひゃくぜん、てんもくひゃっぱい、ぼうはっぴゃっぽん。ぶ゜ク゜ク、ぶ゜ク゜ク、みぶ゜ク゜ク、あわせてぶ゜ク゜クむぶ゜ク゜ク。きくくり、きくくり、みきくくり、あわせてきくくりむきくくり。む゜キごみ、む゜キごみ、みむ゜キごみ、あわせてむ゜キごみむむ゜キごみ。あのな゜ケしのな゜カ゜キなたは、た゜カ゜カ゜キなたぞ。むこうのごま゜カらはえのごま゜カらかま゜コ゜カらか、あれこそほんのま゜コ゜カら。がらぴいがらぴいかざ゜クるま。おきゃ゜カれこぼし、おきゃ゜カれこぼし。ゆんべもこぼして、またこぼした。たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ。たぽたぽ、ひだこおちたらにてくを。にてもやいてもくわれぬものは、ごとく、てっきゅう、かなくまどうじに、いしくま、いしもち、とらくま、とら゜キす。なかにもとうじのらしょうもんには、いばらきどうじ゜カ、うで゜クりごん゜コう、つかんでおむしゃる。かのらいこうのひざもとさらず。ふな、きんかん、しいたけ、さだめてごだんな、そばきり、そうめん、うどんか、ぐどんな、こしんぼち。こだなのこしたに、こおけにこみそ゜カこあるぞ、こじゃくしこもって、こすくてこよこせ。おっとがてんだ、こころえたんぼの、かわさき、かな゜カわ、ほど゜カや、とつかははしってゆけば、やいとをすりりむく、さんりばかりか、ふじさわ、ひらつか、おおいそ゜カしや、こいそのしゅくをななつおきして、そうてんそうそう、そうしゅうおだわらとうちんこう。かくれござらぬ、きせんぐんじゅのはなのおえどの花はなういろう。あれ、あのはなをみて、おこころをおやわら゜キゃっという。うぶこ、ほうこにいたるまで、このういろうのごひょうばん、ごぞんじないとはもうされまいまいつぶり、つのだせ、ぼうだせ、ぼうぼうまゆに、うす、きね、すりばち、ばちばち、ぐゎらぐゎらぐゎら(がらがらがら)と、はめをはずしてこんにちおいでのいずれもさまに、あ゜ケねばならぬ、うらねばならぬと、いきせいひっっぱり、とうほうせかいのくすりのもとじめ、やくしにょらいもしょうらんあれと、ホホうやまって、ういろうはいらっしゃりませぬか。

  • 「菊栗」の部分を濁音とする場合は、「きく゜クり、きく゜クり、みきく゜クり、あわせてきく゜クりむきく゜クり」と「鼻濁音」となります。
  • 「金熊童子」「石熊」「虎熊」を濁音とする場合は、それぞれ「かな゜クまどうじ」「いし゜クま」「とら゜クま」と「鼻濁音」となります。ただし、「室町物語草子集・酒伝童子絵」(小学館)によれば、「金熊(かなくま)」「石熊(いしくま)」「虎熊(とらくま)」は『大東急記念文庫蔵土佐絵本のよみに従う』として濁音の表記は取られていません。



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Last updated : 2024/06/28