心に響く日本語・心に残る日本語= 言葉は、時に私たちの心を揺り動かします。心に響く様々な文章、言葉を集めました =

三人吉三廓初買（さんにんきちさくるわのはつがい）

河竹黙阿弥

月も朧（おぼろ）に　白魚（しらうお）の
篝（かがり）も霞（かす）む　春の空
冷てえ風も　ほろ酔いに
心持ちよく　うかうかと
浮かれ烏（がらす）の　ただ一羽
ねぐらへ帰る　川端（かわばた）で
竿（さお）の雫（しずく）か　濡れ手で粟（あわ）
思いがけなく　手に入（い）る百両
ほんに今夜は　節分か
西の海より　川の中
落ちた夜鷹（よたか）は　厄落とし
豆だくさんに　一文の
銭と違って　金包み
こいつぁ春から　縁起がいいわえ