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心に響く日本語・心に残る日本語  
  君死にたまふことなかれ 與謝野晶子 
  一握の砂 石川啄木 
  蜘蛛の糸 芥川龍之介 
  小さき者へ 有島武郎 
  檸檬 梶井基次郎 
  枕草子 清少納言 
  土佐日記 紀貫之 
  走れメロス 太宰治 
  坊っちゃん 夏目漱石 
  吾輩は猫である 夏目漱石 
  草枕 夏目漱石 
  白鳥の唄 若山牧水 
  風立ちぬ 堀辰雄 
  銀河鉄道の夜 宮沢賢治 
  風の又三郎 宮沢賢治 
  雨ニモマケズ 宮沢賢治 
  方丈記 鴨長明 
  外郎売 (ういろううり) 
  日本の色の名前 [色の和名] 
  漂泊者の歌 萩原朔太郎 
  動物園にて 萩原朔太郎 
  竹とその哀傷 萩原朔太郎 
  弁天小僧 河竹黙阿弥 
  白波五人男 河竹黙阿弥 
  三人吉三廓初買 河竹黙阿弥 
  与話情浮名横櫛(切られ与三) 
  「落葉」「山のあなた」 上田敏訳 
  汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也 
  サーカス 中原中也 
  月夜の浜辺 中原中也 
  荒城の月 土井晩翠 
  夏の花 原民喜 
  長崎の鐘 原民喜 
  長崎の鐘 永井隆 
  学問のすすめ 福沢諭吉 
  アメリカ独立宣言 福沢諭吉 
  『平家物語』 祇園精舎 
  『平家物語』 那須与一 
  日本国憲法 前文 
  日本国憲法 戦争の放棄 第九条 
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外郎売(ういろううり)
= 心に響く日本語にほんご・心に残る日本語にほんご =

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外郎売(ういろううり)


拙者(せっしゃ)親方(おやかた)(もう)すは、お()()いの(うち)御存知(ごぞんじ)のお(かた)もござりましょうが、お江戸(えど)()って二十里上方(にじゅうりかみがた)相州(そうしゅう)小田原(おだわら)、一色町(いっしきまち)をお()ぎなされて、青物町(あおものちょう)(のぼ)りへお(いで)なさるれば、欄干橋(らんかんばし)虎屋(とらや)藤右衛門(とうえもん)只今(ただいま)剃髪(ていはつ)(いた)して、円斎(えんさい)名乗(なの)りまする。元朝(がんちょう)より大晦日(おおつごもり)まで、御手(おて)()れまする()(くすり)は、(むかし)、ちんの(くに)唐人(とうじん)外郎(ういろう)という(ひと)、わが(ちょう)()たり、(みかど)参内(さんだい)(おり)から、()(くすり)(ふか)()()き、(もち)ゆる(とき)一粒(いちりゅう)ずつ、(かぶり)隙間(すきま)より()(いだ)す。()って()()(みかど)より、透頂香(とうちんこう)(たまわ)る。(すなわ)文字(もじ)には、(いただき)()く、(におい)()きて、とうちんこうと(もう)す。只今(ただいま)()(くすり)(こと)(ほか)世上(せじょう)(ひろ)まり、方々(ほうぼう)似看板(にせかんばん)(いだ)し、イヤ小田原(おだわら)の、灰俵(はいだわら)の、さん(だわら)の、炭俵(すみだわら)のと、色々(いろいろ)(もう)せども、平仮名(ひらがな)(もっ)てういろうと(いた)したは、親方(おやかた)円斎(えんさい)ばかり。(もし)しやお立合(たちあい)(うち)に、熱海(あたみ)(とう)(さわ)湯治(とうじ)にお(いで)なさるるか、(また)伊勢御参宮(いせごさんぐう)(おり)からは、(かなら)門違(かどちが)いなされまするな。お(のぼり)りならば(みぎ)(かた)、お(くだ)りなれば左側(ひだりがわ)八方(はっぽう)八棟(やつむね)(おもて)()(むね)玉堂造(ぎょくどうづくり)破風(はふ)には(きく)(きり)(とう)御紋(ごもん)御赦免(ごしゃめん)あって、系図(けいず)(ただ)しき(くすり)御座(ござ)る。イヤ最前(さいぜん)より家名(かめい)自慢(じまん)ばかり(もう)しても、御存知(ごぞんじ)ない(かた)には、正身(しょうじん)胡椒(こしょう)丸呑(まるのみ)白川夜船(しらかわよふね)。さらば一粒(いちりゅう)(たべ)べかけて、その気味合(きみあい)をお()(かけ)けましょう。()()(くすり)を、かように一粒(いちりゅう)(した)(うえ)()せまして、腹内(ふくない)(おさ)めますると、イヤどうもいえぬは、胃肝(いかん)肺肝(はいかん)(すこ)やかに()って、薫風(くんぷう)(のんど)より(きた)り、口中(こうちゅう)微涼(びりょう)(しょう)ずるが(ごと)し。(うお)(とり)()()麺類(めんるい)()()わせ、()(ほか)万病(まんびょう)速効(そっこう)あること(かみ)(ごと)し。(さて)()(くすり)第一(だいいち)奇妙(きみょう)には、(した)(まわ)ることが銭独楽(ぜにごま)裸足(はだし)()げる。ひょっと(した)(まわ)()すと、()(たて)(たま)らぬじゃ。そりゃそりゃそりゃ、そりゃそりゃ、(まわ)って()たわ、(まわ)って()るわ。アワヤ(のど)、サタラナ(した)に、カ()歯音(しおん)。ハマの(ふた)つは(くちびる)軽重(きょうじゅう)開口(かいごう)(さわ)やかに、あかさたな、はまやらわ。おこそとの、ほもよろを。()っぺぎへぎに、へぎほし、はじかみ。(ぼん)(まめ)盆米(ぼんごめ)(ぼん)牛蒡(ごぼう)摘蓼(つみたで)摘豆(つみまめ)摘山椒(つみざんしょう)書写山(しょしゃざん)社僧正(しゃそうじょう)小米(こごめ)(なま)(がみ)小米(こごめ)(なま)(がみ)、こん小米(こごめ)のこ(なま)(がみ)繻子(しゅす)緋繻子(ひじゅす)繻子(しゅす)繻珍(しゅちん)(おや)嘉兵衛(かへえ)()嘉兵衛(かへえ)(おや)嘉兵衛(かへえ)()嘉兵衛(かへえ)()嘉兵衛(かへえ)(おや)嘉兵衛(かへえ)古栗(ふるぐり)()古切口(ふるきりくち)雨合羽(あまがっぱ)番合羽(ばんがっぱ)か。貴様(きさま)脚絆(きゃはん)(かわ)脚絆(ぎゃはん)(われ)()脚絆(きゃはん)(かわ)脚絆(ぎゃはん)尻皮(しっかわ)(ばかま)のしっ(ぽころ)びを、三針(みはり)針長(はりなが)にちょと(ぬう)て、(ぬう)てちょとぶん()せ。河原撫子(かわらなでしこ)野石竹(のぜきちく)野良(のら)如来(にょらい)野良(のら)如来(にょらい)()野良(のら)如来(にょらい)()野良(のら)如来(にょらい)一寸(いっすん)のお小仏(こぼとけ)蹴躓(けつまず)きゃるな。細溝(ほそみぞ)泥鰌(どじょ)にょろり。(きょう)(なま)(だら)奈良(なら)(なま)(まな)(がつお)、ちょと()五貫目(ごかんめ)。お(ちゃ)()ちょ、(ちゃ)()ちょ、ちゃっと()ちょ、(ちゃ)()ちょ。青竹(あおだけ)(ちゃ)(せん)でお(ちゃ)ちゃと()ちゃ。()るわ()るわ(なに)()る、高野(こうや)(やま)のおこけら小僧(こぞう)(たぬき)百疋(ひゃぴき)箸百膳(はしひゃくぜん)天目百杯(てんもくひゃっぱい)棒八百本(ぼうはっぴゃっぽん)武具(ぶぐ)馬具(ばぐ)武具(ぶぐ)馬具(ばぐ)()武具(ぶぐ)馬具(ばぐ)()わせて武具(ぶぐ)馬具(ばぐ)()武具(ぶぐ)馬具(ばぐ)(きく)(くり)(きく)(くり)()(きく)(くり)()わせて(きく)(くり)()(きく)(くり)(むぎ)ごみ、(むぎ)ごみ、()(むぎ)ごみ、()わせて(むぎ)ごみ()(むぎ)ごみ。あの長押(なげし)長薙刀(ながなぎなた)は、()長薙刀(ながなぎなた)ぞ。(むこ)うの胡麻殻(ごまがら)()胡麻殻(ごまがら)()胡麻殻(ごまがら)か、あれこそ(ほん)()胡麻殻(ごまがら)。がらぴいがらぴい風車(かざぐるま)。おきゃがれ小法師(こぼし)、おきゃがれ小法師(こぼし)昨夜(ゆんべ)もこぼして、(また)こぼした。たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ。たぽたぽ、干蛸(ひだこ)(おち)たら()()を。()ても()いても()われぬ(もの)は、五徳(ごとく)鉄弓(てっきゅう)金熊(かなくま)童子(どうじ)に、(いし)(くま)石持(いしもち)(とら)(くま)虎鱚(とらぎす)(なか)にも東寺(とうじ)羅生門(らしょうもん)には、(いばら)()童子(どうじ)が、うで(ぐり)五合(ごんごう)(つか)んでおむしゃる。かの頼光(らいこう)膝元(ひざもと)()らず。(ふな)金柑(きんかん)椎茸(しいたけ)(さだ)めて後段(ごだん)な、蕎麦切(そばき)り、素麺(そうめん)饂飩(うどん)か、愚鈍(ぐどん)な、こ新発知(しんぼち)小棚(こだな)のこ(した)に、小桶(こおけ)にこ味噌(みそ)がこ()るぞ、こ杓子(じゃくし)()って、こ(すく)てこ(よこ)せ。おっと合点(がてん)だ、心得(こころえ)たんぼの、川崎(かわさき)神奈川(かながわ)程ヶ谷(ほどがや)戸塚(とつか)(はし)って()けば、(やいと)(すり)りむく、三里(さんり)ばかりか、藤沢(ふじさわ)平塚(ひらつか)大磯(おおいそ)がしや、小磯(こいそ)宿(しゅく)(なな)()きして、早天(そうてん)そうそう、相州小田原(そうしゅうおだわら)透頂香(とうちんこう)(かく)れござらぬ、貴賤群衆(きせんぐんじゅ)(はな)のお江戸(えど)(はな)ういろう。あれ、あの(はな)()て、お(こころ)をお(やわ)らぎゃっという。産子(うぶこ)這子(ほうこ)(いた)るまで、()のういろうの御評判(ごひょうばん)御存知(ごぞんじ)ないとは(もう)されまいまいつぶり、(つの)()せ、(ぼう)()せ、ぼうぼう(まゆ)に、(うす)(きね)擂鉢(すりばち)、ばちばち、ぐゎらぐゎらぐゎら(がらがらがら)と、羽目(はめ)(はず)して今日(こんにち)御出(おいで)(いずれ)(さま)に、(あげ)ねば()らぬ、(うら)ねば()らぬと、(いき)せい(ひっ)っぱり、東方世界(とうほうせかい)(くすり)元締(もとじめ)薬師(やくし)如来(にょらい)上覧(しょうらん)あれと、ホホ(うやま)って、ういろうはいらっしゃりませぬか。
  • 「外郎売」は歌舞伎の演目ですが、発声や滑舌の練習教材として様々な表記や表現、読み方が出回っています。
  • 「外郎売」の歌舞伎での初演は1718年(享保3年)とされ、様々な解釈や表現があります。従って、ここに掲載したものも「これが正しい」ということではありません。実際の舞台でも言い回しを変えることもあるということで、むしろ色々あることの方が不思議ではありません。
  • 歌舞伎としては、1922年(大正11年)に十代目市川團十郎が復活させましたが、宣伝口上である「言い立て」の部分が台詞としては演じられておらず、1980年(昭和55年)に十二代目團十郎が「言い立て」を復活させようと努力し、現在の舞台になっているということです。
  • このサイトに掲載した「外郎売」は一つの例ですが、ここでは、一般的と思われる表現に、現在歌舞伎の舞台で演じられている台詞も参考にしてアレンジしています。また、教材として読みやすくするために、句読点や改行、括弧などを適宜加えています。
  • 『外郎売』の平仮名のみの表記や、歌舞伎での表現など、様々なバージョンを『言葉の練習』のページに用意しました。こちらをご覧ください。

 
   
心に響く日本語・心に残る日本語  
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  日本の色の名前 [色の和名] 
  漂泊者の歌 萩原朔太郎 
  動物園にて 萩原朔太郎 
  竹とその哀傷 萩原朔太郎 
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  白波五人男 河竹黙阿弥 
  三人吉三廓初買 河竹黙阿弥 
  与話情浮名横櫛(切られ与三) 
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  汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也 
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Last updated : 2024/06/29