亀
き
かめ。一名神屋。水亀、かわがめ、山亀、いしがめ。
鼈
べつ
いおがめ。俗に云う、どうがめ。鱉、団魚、神守、並びに同じ。
蟹
かい
がに、螃蠏、郭索、並びに同じ。石蟹、いしがに、小にして而売堅く赤き者也。蟛螖、あしはらがに、最小にして而毛無き者也。螯、かにのおおづめ、俗に云う、はさみ。蟹黄、かにのに、蟹売中の卵也。
鱟
こう
俗に云う、かぶとがに。又云う、うんきゅう、鱟魚也。一名蓑笠魚。
蟳
じん
今按ずるに俗に云う、しまがに、海蟳、虎蟳也。蝤蛑、同じ。一螯大に一螯小なる者を擁剣と名づく。かざめ。
𧔒
しん
今俗に云う、がざめ。韯蟹也。一名黄甲。
螺
ら
つい、蠃、蟸、並びに同じ。総名也。海螺、今俗に云う、さざえ、或いは曰わく甲螺、曰わく莿螺。田螺、たにし。
《頭書増補訓蒙図彙》
ら/さざい
田螺・でんら/たにし
螄
し
海螄、今按ずるに、ばい。或いは云わく、尖螺。螺螄、今按ずるに、みな。俗に云う、いな。
蛤
こう
はまぐり。形円なる者通して之を蛤と謂う。大小一ならず。殻花斑有る者は文蛤、花蛤也。大にして而白殻紫唇の者は蛤蜊也。蛤蜊。文蛤。
蚶
かん
きさ。今云う、あかがい。又魽に作る。魁蛤、魁陸、天臠、瓦壟子、並びに同じ。
蚌
ほう
ながたがい、蜯𧉻、並びに同じ。形長き者通して之を蚌と謂う。馬力、今按ずるに、からすがい、亦蚌也。馬蛤、蜌蠯、並びに同じ。
蜆
けん
しじみ。蜆貝、扁螺、並びに同じ。
貝
ばい
たからがひ、貝子也。貝歯、海𧵅、海𧴩、並びに同じ。種類最も多し。紫貝、うまのくおがい、文貝、〓螺、並びに同じ。
蟶
てい
まて、或いは云わく図する所竹蟶也。一種俗に云う、あげまき。真蟶也。
鰒
はく
あわび。石決明也。一名鰒魚、又九孔螺と名づく。
蠣
れい
かき。牡蠣也。蠣蛤、牡蛤、蠔、並びに同じ。蠣相連て房の如くなるを蛎房と為す。相粘て山の如くなるを蠔山と為す。其肉之を蛎黄と謂う。
蠎
もう
やまかかじ。俗に云う、うわばみ。蠎蛇、巨蠎也。
蛇
じゃ
おろち、へみ、くちなわ、虵、同じ。今按ずるに、蛇常に多く見ゆる者黄頷蛇、赤𧍴也。𧍴又𧐖に作る。又長大黄緑色なる者を菜花蛇と為す。水中に生する者を水蛇と為す。みずくちなわ。
蝮
ふく
はみ。俗に云う、まむし。一名反鼻蛇。短身土色にして而文無き者を虺と名づく。又𧈭に作り蚖に作る。
蛭
しつ
ひる。又、蟣、蜞、蚑、虮痴、皆蛭之通称也。水中に在る者を水蛭と為す、かはひる草上に在る者を草蛭と為す。かさびる。長なる大物を馬蛭と為す。うまびる、馬蟥、馬蝗、馬蜞、並びに同じ。馬蛭。
蝸
か
かたつぶり、蝸牛也。瓜牛、蟸牛、蚹蠃、螔蝓、蝸蠃、蝸虫、並びに同じ。黄にして而小なる者を鬼螺と名づく。
蛙
あ
かわず。蛙子也。鼃、黽坐魚、蛤魚、田雞、並びに同じ。青蛙、今按ずるに、あまがえる。
蛾
が
種類最も多し。図する所蚕蛾、ひひる、螝蛾同じ。灯蛾、俗に云う、ひとりむし。燭蛾、火蛾、霜蛾、並びに同じ。
蝶
ちょう
かわひらご。胡蝶、蝶蝶、蛺蝶、野蛾、並びに同じ。形色一ならず。鳳蝶、俗に云う、あげは、鳳子、鳳車、鬼車、並びに同じ。
《頭書増補訓蒙図彙》
ちょう/かわひらご
鳳蝶・ほうちょう/あげは
蝿
よう
はえ。首赤きこと火の如く背金を負か若なるを青蠅と曰う。小にして而色正蒼なるを蒼蠅と曰う。青ならず蒼ならざる麻蠅と曰う。
虻
ぼう
あぶ。蝱、同じ。長大緑色なるを木虻と為す。状蜜蜂の如にして黄黒色なるを蜚虻と為す。小にして而蠅の如くなるを鹿虻、牛虻と為す。
蛍
けい
ほたる。蛍火也。丹鳥、燿燿、夜光宵燭、並びに同じ。一種蛆の如にして翼無を、蛆蛍と為す。今按ずるに、みずほたる、蠲、同じ。
蛬
きょう
きりぎりす。俗に云う、こおろぎ。𧋳、蜻蛚、蟋蟀、促織、並びに同じ。
蟢
き
あしだかのくも。蟢子也。蟢蟢、蟰蛸、並びに同じ。花蜘蛛、俗に云う、じょろうぐも、草蜘蛛、同じ。
蟫
いん
しみ。蟫魚也。衣魚、壁魚、蛃魚、蠧魚、並びに同じ。
螻
ろう
けら、螻蛄也。𧏚、天螻、螻蟈、石鼠、土狗、並びに同じ。
蟻
ぎ
あり。螘、玄駒、玄蚼、並びに同じ。大なる者を蚍蚹と為す。おおあり、馬蟻と為す、赤き者を蠪と為す。いいあり、虰螘と為す。蟻卵を蚳と名づく。ありのこ、蟻封を蟻垤と名づく。ありのとう。
蝉
せん
せみ、蝉蜩、並びに総名也。大者を馬蜩と為す。うまぜみ秋月鳴を蟪蛄と為す。つくつくぼうし。小にして而青赤なるを寒蝉と為す。かんせみ。小にして而青緑なるを茅蜩と為す。ひぐらし。鳴くこと能わざるを唖蝉と為す。なわせみ。
蜂
ほう
はち。蠭、同じ。又云わく、𧍙。並びに総名也。今按ずるに図する所色黄なるを黄蜂と為す、色黒きを胡蜂、玄蜂、壺蜂と為す。小にして而䖟の如を蜜蜂、蝋蜂と為す。みちばち、蜂窠を蜂房と為す。はちのす。
蚕
ざん
こ。こかい。俗に云う、蚕に作る。蚕卵を蛻と曰う、初生を䖢と曰う。ありこ、䖢化するを蛹と曰い、螝と曰う。蛹化するを蛾と曰う。其尿を蚕沙と曰う。こくそ再養者を原蚕と曰い、 𧔞と曰う。なつこ。
蠧
と
のんじ。蛀虫也。螙、同じ。木を食を蝎と為し、葉を食を蠋と為し、蚅と為す。蛀末、今按ずるに、むしくそ。
蚊
ぶん
か。くちぶと。蚊子也。蟁、同じ。蚊草中に生じて、足に文彩有を豹脚と曰う。今按ずるに、やぶか。
《頭書増補訓蒙図彙》
ぶん/か
豹脚・ひょうきゃく/やぶか
蚋
ぜい
ぬかが。今按ずるに俗に云う、ぶと、蚋子也。蜹、同じ。蚋小にして而黒き者を蟆子と為す。最小にして塵と相浮て上下する者を浮塵子と為す。
蚤
そう
のみ。𧎮、同じ。
虱
しつ
しらみ。蝨、同じ。蟣、きささ、蝨子也。牛蝨を牛〓と曰う。又蜱に作る。
蟾蜍
せんじょ
ひき、蟾蠩、𪓰𪓿、癩蝦蟇、並びに同じ。蟾酥、ひきのあぶら。
蝦蟆
がま/がば
かえる。蝦蟇、蝦〓、蟼蟇、螻蟈、並びに同じ。
蝌蚪
かと/かとう
かえるこ。蝌斗、蛞斗、活東、蛞𧓕、並びに同じ。
蚯蚓
きゅういん
みみず。螼螾、〓蚕、䖤蟮、曲蟺、土竜、歌女、並びに同じ。白頸蚯蚓、あぶらみみず。
蠑螈
えいげん
いもり。蛇医也。蛇師、同じ。亦通して蜥蜴と名づく。螈又蚖に作る。
蜥蜴
せきてき
とかげ。石竜子也。山竜子、石蜴、並びに同じ。
蝘蜓
えんてん
やもり。守官也。壁虎也。蝎虎、同じ。
《頭書増補訓蒙図彙》
えんてい/やもり
壁虎・へきこ
蝎虎・かっこ
蛞蝓
かつゆ
なめくじ。附蝸、土蝸、蜒蚰、鼻涕虫、並びに同じ。
蜈蚣
ごこう
むかで。〓𧔌、〓蛆、百脚、並びに同じ。
百足
はくそく
あまひこ。今按ずるに俗に云う、おさむし、馬蚿也。馬陸、馬䗃、馬蠲、並びに同じ。
蠼螋
くしゅう
俗に云う、はさみむし。蛷螋、捜夾、並びに同じ。
《頭書増補訓蒙図彙》
くしゅう/はさみむし/はかたち
蚰蜒
ゆうえん
俗に云う、げじげじ。螾𧍢、蛉蛩、入耳、草鞋虫、並びに同じ。
蠮螉
えつおう
さそり。俗に云う、ささり、蜾蠃、蒲蘆、土蜂、細腰蜂、並びに同じ。
蜻蛉
せいれい
かげろう。あきつむし。とぼう、蜻蜓、蜻蝏、蜻虰、並びに同じ。
紺蠜
かんはん
俗に云う、かねつけとぼう。紺蝶、紺蟠、天鶏、並びに同じ。
赤卒
せきそつ
あかえんば。綘騶、同じ。小にして而色黄なる者を胡黎と曰う。きえんば、䗧蛜同じ。
蛗螽
ふしゅう
今按ずるに、いなごまろ、いなご、或いは曰わく、蚱蜢也。螽又𧑄に作る。又曰わく蠜、並びに諸螽の総名也。
𧐍𧑓
しょうしょ
いねつきこまろ、いねつき。今按ずるに俗に云う、はたはた、螽斯、蜇螽、蜙蝑、並びに同じ。
蜘蛛
ちちゅう
くも。䵹鼄、䖦蟱、𪓭〓、網虫、並びに同じ。蛛糸、くものいと。蛛網、くものす。
螲蟷
ちっとう
つちぐも。土蜘蛛也。一名、蛈蝪。
螳蜋
とうろう
いぼむじり、いもじり。俗に云う、かまきり、蟷蜋、〓蜋、螗蜋、蟷蠰、拒斧、並びに同じ。蜋、又螂に作る。
蛣蜣
きっきょう
くそむし、まつむし。蜣蜋也、蜣螂、同じ。
蛅蟖
せんし
いらむし、一名蟔。髯虫、かわむし、一名烏毛虫。蛓虫、〓虫は蓋し毛蠧之通称也。
蚇蠖
しゃくかく/せきかく
おきむし。俗に云う、しゃくとり。尺蠖也。〓𧑙、同じ。尺蠖に似て而青く小なる者を螟蛉と為す。あおむし。
蠐螬
せいそう
すくもむし。今按ずるに俗に云う、つちきり、きりゅうじ。𧓉螬、蠀螬、蟦螬、並びに同じ。
蛜蝛
いい
おめむし。鼠婦也。鼠負、虫蝨、並びに同じ。
孑孒
けっく
俗に云う、ぼうふりむし。孑孒虫也。蛣蟩虫、同じ。又蜎蠉、釘倒虫、打拳蛆と名づく。
豉虫
しちゅう
今按ずるに俗に云う、まいまいむし。一名豉母虫。
蛆
そ
うじ、蠁、さし、亦同じ。糞蛆。今按ずるに、くそむし。
蚘
かい
人の腹中の長虫也。蛔、蛕、並びに同じ。又寸白虫、隔食虫之等有り。
蠓
もう/ぼう
まくなき、蠛蠓也。其飛ぶこと、磑ならば則天風ふく、舂なば則天雨ふる。醯鶏。今按ずるに俗に云う、しょうじょう。甕中の蠛蠓也。
螱
い
はあり。𧕈、同じ。飛蟻也。
殻
かく/こく
から、㱿、殻、並びに同じ。虫之皮甲也。今按ずるに、蚌螺之属之を殻と謂う。厴、今按ずるに、かいのふた。
甲
こう
こう、虫介を甲と曰う。今按ずるに、亀蟹之属之を甲と謂う。
蛻
たい/せい
もぬけ。俗に云う、ぬけがら。蛇蛻、へびのきぬ、蛇皮、同じ。蝉蛻、うつせみ、蝉退、枯蝉、並びに同じ。又蚕蛛等の之蛻有り。
繭
けん
まゆ。蠒、蚕衣、蚕甕、並びに同じ。蟓、くわまゆ、俗に云う、やままゆ、桑繭也。
毛亀
もうき
今按ずるに俗に云う、みのがめ。緑毛亀也。
玉珧
ぎょくよう
今按ずるに、たいらぎ。海月、馬頬、江跳、並びに同じ。西施舌は蓋し其肉柱の名也。
辛螺
しんら
にし、蓼螺、赤口螺、並びに同じ。大辛螺、あき香螺、今按ずるに、ながにし、香螄、蓋し亦同じ。
淡菜
たんさい
みるくい。一名穀菜。
《頭書増補訓蒙図彙》
たんさい/みるくい
殻菜・こくさい
海燕
かいえん
今按ずるに俗に云う、たこのまくら。一名、陽遂定、又海盤有り。
海胆
かいたん
今按ずるに、うに。俗に云う、かぶとがい。石榼、霊蠃、棘甲螺、蓋し皆同類にして而に種有り。
寄虫
きちゅう
がみな。俗に云う、ごうな、寄居虫也。寄生虫、同じ。今按ずるに、螺殻に在て蜘蛛の如くなるを𧶺と曰う。亀殻に在て蝦の如くなるを蝞と曰う。
郎君
ろうくん
今按ずるに、すがい、郎君子也。又曰わく、相思子、曰わく、雌雄石。
《頭書増補訓蒙図彙》
ろうくん/すがい
相思子・そうしし
両頭
りょうとう
両頭蛇也。一名、越主蛇。
岐首
きしゅ
岐首蛇、即ち、枳首蛇也。本軹首に作る、或いは両頭岐首を以て一と為す、然とも見に二種有り、故に別て之を出す。
烏蛇
うじゃ
からすへび。又曰わく、烏稍蛇、曰わく、黒花蛇。
銀蛇
ぎんじゃ
しろへび。又金蛇有り。
馬蜂
ばほう
今按ずるに、くまばち。蓋し大蜂地中に居る者を土蜂と為す。ゆするばち、蟺蜂、同じ。竹木に穴する者を竹蜂とし、木蜂と為す。みかばち。
斑蝥
はんぼう
斑猫也。螌蝥、同じ。今按ずるに、芫青、斑蝥、葛上亭長及地胆にはつつ、四の者一物時に随て変化す。皆大毒有り。
叩頭
こうとう
ぬかづきむし。俗に云う、はたおり、叩頭虫也。
齧髪
げっぱつ
かみきりむし。齧髪虫也。蠰齧桑、天牛、並びに同じ。
絡線
らくせん
今按ずるに、はたおりめ。俗に云う、きりぎりす。絡線娘也。一名、聒、聒児、蓋し是、草螽負蠜也。
螇蚸
けいれき
はたはた。今按ずるに俗に云う、しょうりょうむし。一名、蟿螽。
金鐘
きんしょう
今按ずるに、すずむし。金鏡児也。或いは曰わく、月鈴児。
竈馬
そうば
今按ずるに、こおろぎ。俗に云う、いとど、䆴鶏、同じ。
気蠜
きはん
今按ずるに、へふりむし。気盤、〓盤、行夜、並びに同じ。
滑虫
かつちゅう
今按ずるに、あぶらむし。蜚蠊、蠦蜰、並びに同じ。
金亀
きんき
今按ずるに、たまむし。金亀子也。或いは曰わく、金牛児、又吉丁虫有り、亦此類也。
蓑虫
さちゅう
今按ずるに、みのむし、蓑衣虫也。木螺、結草虫、避債虫、蓋し皆同じ。
壁銭
へきせん
ひらぐも。一名壁鏡。窠を壁繭と名づく。
蝿虎
ようこ
はえとり。蠅䗂、蠅蝗、蠅豹、並びに同じ。
水馬
すいば
今按ずるに俗に云わく、しおうり。一名水黽、水蠆。今按ずるに、えびむし。化の蜻蜓と為る者也。
土蠱
どこ
度古、土虫、並びに同じ。此虫大毒有り。
水蚤
すいそう
今按ずるに俗に云わく、とびむし。一名、水蝨。
木虱
もくしつ
今按ずるに、だに。壁蝨、臭蝨、臭虫、扁虱、蟞虱、並びに同じ。
螵蛸
ひょうしょう
おうじごうぐり、蜱蛸、同螳、螂子房也。
雀甕
じゃくよう
今按ずるに俗に云う、すずめのたご。蛅蟖房也。