杏
きょう
からもも。今云う、あんず、杏子之唐音也。凡果実皆子と称す。
梅
ばい
うめ。白梅、うめぼし、梅醤、うめづけ。
桃
とう
もも。油桃、今按ずるに、つばきもも。又云う、つばいもも、李桃、光桃、並びに同じ。桃花に紅桃、緋桃、白桃有り。
李
り
すもも。李麦熟して而実なるを麦桃と名づく。さもも。
梨
り
なし。消梨、今按ずるに、あおなし。雪梨、今按ずるに、こがなし。空閑は地の名也。
柰
だい/ない
からなし。ふなえ、〓、同じ。長大なるを〓と為し、円なる者を林檎と為す。
棗
そう
なつめ、大棗也。乾棗、ほしなつめ。
栗
りつ
くり。茅栗、しばぐり、杬子、ささぐり。今按ずるに、二名一種。又按ずるに、錐栗、俗に云う、ひよひよ。栗楔、俗に云う、しゃくし、栗毬、くりのいが、栗殻、くりのかわ、栗扶、くりのしぶ。
柚
ゆう
今按ずるに、橙子、あえたちばな。俗に云う、柚。図する所蓋し是也。柚子は俗に云うかぼし之属歟。
柑
かん
柑子也。俗に云う、くねんぼ之属。或いは云う、此方に真柑無と。
枳
し
からたちばな、からたち、枳実也。其皮を枳殻と為す。俗音、きこく。
橘
きつ
たちばな、蜜橘也。俗に云う、蜜柑。包橘、今云う、こうじ。橘皮、きがわ。
榧
ひ
かえ、かや、榧子也。棐、棑、柀子、赤果、並びに同じ。一曰、柀子は鹿榧也。円にして而大也。
榛
しん
はしばみ。榛子也。亲、同じ。又小栗と名づけ、秦果と名づく。
椎
すい
しい。今按ずるに、椎は科子也。或いは錐に作る。蓋し其形を擬する也。然れども字未だ詳かならず。今図する所の者蓋し甘櫧也。一名、鉤栗。又按ずるに、〓も、亦同じ。
柿
し
かき。俗に柿に作る。今按ずるに、柿は総名也。紅柿、蒸餅柿、同じ。椑子、こざはし、朱柿、同じ。漆柿、しぶかき、蓋柿、えんざがき、鹿心柿、ふでがき。
苺
ぼ/も
いちご、苺子、藨子、並びに総名也。覆盆子、つるいちご、蒛葐、寒苺、並びに同じ。樹苺、きいちご、木苺、山苺、懸鉤子、並びに同じ。蛇苺、へびいちご。
菱
りょう
ひし、菱角也。蔆芰、並びに同じ。或いは云わく、三角、四角を芰と曰い、両角を菱と曰う。
椒
しょう
なるはじかみ、かわはじかみ。俗に云う、山椒、大椒、花椒、秦椒、並びに同じ。蜀椒、俗云、あさくら、山椒、川椒、南椒、並びに同じ。椒皮を椒紅と曰い、内子を椒目と曰う。
茶
た
俗音ちゃ。又音さ。並びに未だ詳かならず。本茶に作る。今按ずるに、茶早く採を茶と為す。晩く採を茗と為す。或いは亦通用す。凡葉を治るを芽茶と為す。餅と成すを蝋茶と為す。粉と作すを茶末と為す。
蔕
てい
ほぞ。瓜蔓を脱るの之処也。又柿茄之蔕。俗に云う、へた、或いは蒂に作る、通して疐に作る。
莍
きゅう
かさ、又梂に作る。今按ずるに、櫧檪之属。実を盛の之房を莍と曰う。又、斗と曰う。
核
かく
さね。
仁
にん/じん
人、同じ。
楉榴
じゃくりゅう
俗音、ざくろ。安石榴也。若榴、同じ。実に酸甘二種有り。花に火榴、白榴、千葉榴之品有り。
来禽
らいきん
林檎也。此に云わく、りゅうごう。今云う、りんごう、蓋し皆音の誤也。
葡萄
ほとう
えび。俗音、ぶどう。蒲桃、同じ。紫葡萄、今按ずるに、くろぶどう。野葡萄、いぬえび。
胡頽
こたい
ぐみ、もろなり、胡頽子也。実円にして而長からざるを野桜桃と名づく。
香櫞
こうえん
仏手柑也。鉤櫞、香円、並びに同じ。
《頭書増補訓蒙図彙》
こうえん/ぶしゅかん
仏手柑・ぶしゅかん
茘支
れいし
唐音、りいち、茘枝、離支、並びに同じ。
葧臍
ぼっせい
くわい、荸薺、烏芋、地栗、𦳓茈、𦳓茨、並びに同じ。今按、皮黒く肉硬者を猪荸薺と名づく。皮紫に肉軟なる者を羊荸薺と名づく。
慈姑
じこ
おもだか。俗云、しろぐわい、茨菰、同じ。苗を彅刀草、燕尾草と名づく。
金柑
きんかん
ひめたちばな、金橘、廬橘、並びに同じ。
銀杏
きんきょう
俗に云う、ぎんあん、杏唐音に従う。一名、白果。銀杏樹、一名、鴨脚樹、いちょう。
枇杷
びわ
こふくべ。俗音、びわ。一名、炎果。或いは以て此め廬橘と為す。
枳椇
しく
けん。俗に云う、けんぽのなし、枳枸、𣖌㯳、木蜜、木𩛿、柺棗。木を白石木、金鉤木と名づく。
楊梅
ようばい
やまもも。一名、朹子。白き者水晶楊梅と名づく。
梬棗
ていそう
今按ずるに俗に云う、ぶどうがき。或いは云わく、さるがき、㮕棗、軟棗、牛奶柿、丁香柿、並びに同じ。
木瓜
もっか
もけ。俗に云う、ぼけ。今按ずるに、皆音の誤也。一名、楙又木瓜。大にして而瓜の如し。図する所は蓋し〓子也。木桃、同じ。
松子
しょうし
からまつのみ。海松子也。又、新羅松子と名づく。
榲桲
うんぼつ
畨語、まるめる。
竜眼
りゅうがん
円眼、茘奴、並びに同じ。又、黄竜眼有り。
鴉瓜
あか
からすうり。王瓜、之を老鴉瓜と謂う。又、土瓜、菟瓜、赤雹子と名づく。
燕覆
えんふく
あけび、燕覆子也。又、烏覆子と名づく。桴棪子。藤を通草、木通と名づく。
甘蔗
かんしゃ
俗に云う、さとうだけ。一名、竿蔗。
沙糖
さとう
蔗糖、同じ。白きを白糖、糖霜と名づく。黒きを紫糖と名づく。凝るを米糖、石蜜と名づく。化せるを沙蜜と名づく。
胡桃
ことう
くるみ。又、核桃、核果と名づく。今按ずるに、胡桃大なる者、俗に云う、とうくるみ。此間に在る所は蓋し山胡桃也。
胡椒
こしょう
まるはじかみ。又、木奴、胡辛と名づく。
甜瓜
てんか
からうり。又名、甘瓜、果瓜。今按ずるに、長団、尖扁、数種有り。図する所は蓋し黄瓤瓜也。
苦瓜
くか
俗に云う、れいし。又、錦茘枝、癩葡萄と名づく。
白柿
はくし
俗に云う、つりがき。乾柿、柿乾、柿餅、並びに同じ。柿霜、今按ずるに、かきのしも。柿餻、かきづき。
烏柿
うし
俗に云う、あまぼし、火柿、同じ。醂柿、さわしがき。又云わく、あわせがき。烘柿、つつみがき。