松
しょう
まつ。五鬣松は五葉松也。今按ずるに、松蕻、まつのみどり、松毬、松ふぐり、松莍、同じ。松蕋、まつのはな、松黄、松花、並びに同じ。松脂、まつやに、松膏、瀝青、並びに同じ。
杉
さん
すぎ。檆、同じ。赤杉は実にして而油多し。今按ずるに、油杉、同じ。白杉は虚にして而乾燥。
樟
しょう
くす。今按ずるに、櫲樟と一類、二種、楠木葉予章に似て而大さ牛耳の如し。又柟に作る。
檜
かい
ひ。今按ずるに、檜は円栢也。和名、いぶき。図する所は是栢也。扁栢と名て以之を別つ。栢は其総名也。今之を改正し難し。
楝
れん
おうち。俗に云う、せんだん、苦楝也。実を金鈴子と名づく。
桐
とう
きり。今按ずるに、白花の者を白桐、椅桐と名づく。紫花の者を紫桐、岡桐と名づく。紅花の者を頳桐と名づく。或いは云わく、ひぎり。
桜
えい/よう/おう
さくら、山桜、白桜也。其実を桜桃、鸎桃、含桃と名づく。
㯃
しつ
うるし。漆樹也。桼、同じ。
槐
かい
えんず。櫰、同じ。子莢を槐角と名づく。
檉
てい
むろ。檉柳也。一名、雨師。
楊
よう
やなぎ。総名也。白楊、はこやなぎ、はこぎ、水楊、かわやなぎ、蒲柳、蒲楊、並びに同じ。
柳
りゅう
あおやぎ、しだりやなぎ、楊柳也。柳絮、やなぎのまゆ、楊花も亦訓を同す。
《頭書増補訓蒙図彙》
りゅう/しだれやなぎ/あおやぎ
檗
はく
檗木也。蘖、同じ。樹皮を黄檗と名づく、きわだ、黄栢、同じ。
梔
し
くちなし。梔子は実の名也。巵子、鮮支、並びに同じ。木を梔子樹、鮮支木と名づく。花を簷蔔と名づけ、千葉の者を水梔と名づく。
櫟
れき
今按ずるに、くぬぎ。作杼栩、並びに同じ。実を橡実柞子と名づく。俗に云う、どんぐり。梂を橡斗、皂斗と名づく。つるばみ、白桜。今按ずるに、しらくぬぎ、棫、白梂、並びに同じ。
槲
こく
かしわ。〓樹也。一名、樸樕。叢生じて小なる者を枹と名づく。今按ずるに、ははそ。〓実を櫟橿子と名づく。
楮
しょ
かぢ、穀、構、並びに同じ。一に曰葉弁有を楮と曰い、無を構と曰う。楮実を楮桃と名づく。雄楮はこうぞ、実無く葉に椏無し、其皮を以て紙を造る。
桑
そう
くわ。𥸮、同じ。実を桑椹と名づく。又葚に作る。
槿
きん
むくげ。木槿也。和名蓋し其音を誤る也。又木菫に作る。一名、日及。花を槿華、蕣英、花奴と名づく。
棘
きょく
うばら、いばら、白棘也。棘刺、棘鍼、並びに同じ。又凡そ刺有る者を皆棘と曰う。枸橘、或いは云わく、じゃけつ。
柴
さい
しば。
薪
しん
たきぎ。粗なるを薪と曰う。細なるを蒸と曰う。つまぎ。
炭
たん
すみ。あらずみ。又、烏銀、石薪と名づく。桴炭、今按ずるに、けしずみ、烰炭、同じ。
柿
ひ
こけら。又、𣏕に作る。榾柮、きのはし、木断也。鋸末、今按ずるに、おがくず。
竹
ちく
たけ。淡竹、俗に云う、はちく。或いは、淡に作る。甘竹、くれたけ、亦同じ。或いは云わく、別に一種也。〓に似て而葉茂し。苦竹、かわたけ。今云う、まだけ、或いは、筈に作る。竹根を竹鞭と名づく。
篁
こう
今按ずるに、たかなえ。竹苗也。或いは云わく、竹聚也。たかむら。
篠
じょう
しの、ささ、小竹也。箬、今按ずるに、ささ用いて以て粽を包む者也。篛、同じ。
𥳇
ふく
さしめぐり。竹実也。一名、竹米。
筍
しゅん
たかんな、たかな、たけのこ、竹筍也。笋、同じ。又竹胎、竹子、竹芽、籜竜と名づく。淡筍有り、苦筍有り、冬採を冬筍、苞筍と名づく。嬾根を鞭筍と名づく。
籜
たく
たけのうわかわ、たけのかわ、竹籜也。又、竹皮、筍皮と名づく。
筒
とう
たけのつつ、竹筒也。筩、同じ。竹節、たけのふし、竹溝、たけのみぞ。
篾
べつ
たけのあおかわ。俗に云う、たけかずら、竹篾也。䈼、同じ。又、筠と名づく。
栴檀
せんだん
檀香也。栴又㮵に作る。黄檀、白檀、紫檀、赤檀有り。今按ずるに、奇南、沈香之類皆赤檀也。
椶櫚
しゅうろ/そうりょ
俗音、しゅろ。㯶又棕に作る。栟櫚、蒲葵、並びに同じ。花苞を棕笋、棕魚と名づく。
辛荑
しんい
こぶし。花を木筆花、迎春花と名づく。白色の者を王蘭花と名づく。今按ずるに、しでこぶし。
厚朴
こうぼく
ほほがしわ、ほほのき、朴樹也。一名、榛。
芙蓉
ふよう
きばちす。木芙蓉也。一名、拒霜。
躑躅
てきちょく
つつじ。今按ずるに、羊躑躅。俗に云う、れんげつつじ。黄躑躅、同じ。山躑躅、いわつつじ、もちつつじ、稲繭花、同じ。山石榴、あいつつじ、映山紅、同じ。杜鵑花、さつき。
五加
ごか
うこぎ。むこぎ。五佳、五花、並びに同じ。
枸杞
こうき
ぬみぐすり、俗音、くこ。苦杞、枸檵、並びに同じ。根を地骨と名づく。
幹
かん
から。俗に云う、心。又云わく、みき。
枝
し
えだ。柯、同じ。細枝を条と曰う。今按ずるに、すわえ、樹岐を杈と曰い、椏と曰う。きのまた。
梢
そう/しょう
こずえ。ひこえ、杪、同じ。末、すえ。
葉
よう
は。今按ずるに、嫩葉、わかば、新葉、同じ。紅葉、もみぢば、黄葉、霜葉、並びに同じ。落葉、おちば、病葉、わくらば。
根
こん
ね、柢、同じ。本、もと。
株
しゅ
くいぜ、俗に云う、かぶ。根株也。土に入るを根と曰い、土上を株と曰う。
蘖
がつ/げつ
ひこばえ。萌蘖也。枿、〓、並びに同じ。
芽
が/げ
め。きざし。萌芽也。
山茶
さんさ
つばき。山茶花也。磬口茶、宝珠茶、鶴頂茶、石榴茶、杜鵑茶等品類最多。
海棠
かいどう
海棠花又海紅花と名づく。秋海棠は草花の名也。
粉団
ふんだん
てまり。粉団花也。或いは云わく、玉繍花。亦、繍毬花と名づく。
紫陽
じょう
あずさい、紫陽花也。今按ずるに此是、繍毬花也。紫綉毬有り、紅綉毬有り。
瑞香
ずいこう
俗に云う、じんちょうげ。瑞香花也。又睡香、紫丁香と名づく。
木樨
もくせい
木犀、同じ。一名、岩桂。花を桂花と名づく、かつらのはな。白き者を銀桂と為し、黄なる者を金桂と為す。
紫薇
しび
紫薇花、又、百日紅と名づく。木を怕痒樹、猴刺脱と名づく。
紫荊
しけい
紫荊樹也。花を紫荊花と名づく。実を紫珠と名づく。
角楸
かくしゅう
あずさ。俗に云う、かわらひさぎ、梓木也。一名、木王、又、角楸、子楸と名づく。
円栢
えんはく
今按ずるに、いぶき。檜栝、並びに同じ。或いは曰わく、檼栢。
梧桐
ごとう
ごとうぎり。一名、櫬。又青梧と名づく。子莢を櫜鄂と名づく。
楊櫨
ようろ
うつぎ。一名空䟽、或いは曰わく溲䟽。錦帯花、今按ずるに、やまうつぎ。
石檀
せきだん
とねりこ。樳木、苦櫪、並びに同じ。皮を梣皮と名づく。又秦皮に作る。
蜀漆
しょくしつ
くさぎ。又、鶏尿草、鴨尿草と名づく。根を常山、恒山と名づく。
合歓
ごうかん
ねぶりのき。俗に云う、ねむのき、合歓木。一名、夜合樹。
接骨
せっこつ
みやつこぎ、にわとこ、接骨木。一名、木蒴藋。
木蘭
もくらん
もくらに、木蘭樹也。花を木蘭花、木蓮花と名づく。
木槵
もくげん
今按ずるに俗に云う、つぶ、木槵樹。一名、廬鬼木。実を木患子、無患子、菩提子、油珠子と名づく。木欒子は別に一種也。
仙栢
せんはく
今按ずるに、いぬまき。仙人栢也。今、羅漢松、羅漢樹と名づく。其雌まる者実を結ぶ。
女楨
じょてい
ひめつばき。俗に云う、ねずもち、女貞木也。一名、冬青。一名、蝋樹。
黄楊
おうよう
つげ。黄楊木也。
皂莢
そうきょう
かわらふじ。俗に云う、さいかし。言、皂角子也。是皂莢之一名。樹を皂樹と名づく。
𣖾木
ばいぼく
ぬで、ぬるで。五〓木也。実を塩麩子と名づく。虫有りて房を結ぶを五倍子と名づく。ふし。
楡木
ゆぼく
にれ。皮色白き者を枌と為す。一名、白楡。実を楡莢、楡銭と名づく。
鉄蕉
てっしょう
俗に云う、そでつ。又海㯶、鳳尾蕉と名づく。于琉球より出る者を番蕉と名づく。
石楠
せきなん
さくなんげ。石楠花也。石南、同じ。
冬青
とうせい
今按ずるに、もちのき。冬青木也。女貞と名を同す。又凍青と名づく。
枸骨
こうこつ
ひいらぎ、枸骨樹也。一名、猫児刺、或いは曰わく、杠谷樹。或いは曰わく、柊木。
衛矛
えいぼう
くそまゆみ。今云う、にしきぎ。一名、鬼箭。
南燭
なんしょく
俗に云う、なつてん。南天燭也。闌天竹、同じ。又曰わく天竹。一名、草木之王。
寄生
きせい
やどりき。ほや、寄生草也。又曰わく、蔦、曰わく、寓木。
薜茘
へきれい
まさきのかずら。木饅頭。今按ずるに、まさき。一名、鬼饅頭。
蘆竹
ろちく
今按ずるに、なよたけ、にがたけ。又曰わく、秋蘆竹。
椶竹
そうちく
俗に云う、棕櫚竹也。一名、実竹。
扶竹
ふちく
今按ずるに、ふたまただけ。又、双竹、天親竹、相思竹と名づく。
紫竹
しちく
むらさきだけ。斑竹。今按ずるに、まだらたけ。又、湘竹、涙竹と名づく。