[ 時を知る・季節を知る ] - 暦・季節・年齢などに関するコンテンツ一覧 二十四節気(立春・雨水など) 今年の二十四節気・雑節など 七十二候(東風解凍など) 二十四節気・七十二候を計算する 二十四節気・七十二候・干支・旧暦・六曜カレンダー 雑節など(節分・入梅など) 土用と土用の丑の日を調べる 五節句(端午・七夕など) 月の名称・異称(睦月・如月など) 泉鏡花・月令十二態 年齢の異称(而立、不惑など) 年齢の異称(三十路など) 誕生の祝い(お宮参りなど) 子供の祝い計算(初節句・七五三など) 長寿の祝い(還暦・古希など) 長寿の祝い計算 結婚記念日(銀婚・金婚式など) 結婚記念日計算 今年「銀婚・金婚」、挙式は何年? 法要・年回忌(一周忌・三回忌など) 年回忌・法事計算 - 神式・キリスト教も 旧暦計算 六陽カレンダー(大安、仏滅など) 一粒万倍日を調べる 歴代天皇誕生日架空祝日カレンダー 指定した年の節分を調べる 恵方を調べる 春の七草(せり・なずな…) 七草がゆの作り方 秋の七草(はぎのはな・おばな・くずはな…) 和暦 ⇔ 西暦変換 年齢計算(当日加算) 年齢計算(前日加算) 年齢から生まれ年 この日で何日 入学・卒業年計算 卒業年齢・不惑・古稀など一覧計算 保育所・幼稚園入園年 小学校入学年 100日目、1,000日目など計算 何周年かの計算 何年目かの計算 何日後・何日前は何月何日 この間、何日? その日は何曜日 月齢・きょうの月 暑中見舞い・残暑見舞いを送る時期は? 日の出・日の入り調べ 干支調べ 閏年調べ 閏年一覧(16世紀から27世紀まで) 13日の金曜日 日本の祝日を調べる *この他のコンテンツは、トップページ や各項目インデックスで… [4]「七草がゆ」の風習と「若菜摘み」の風習・行事 = 春の七草・春の七種 = 春の七草 七草がゆの作り方 秋の七草 秋の七草の家紋 夏の七草 冬の七草 七草の英名 春の七草・春の七種 はるのななくさ ※ページ内の画像は、クリックして拡大することが出来ます。 春の七草・春の七種《目次》 [1] 春の七草とは(せり・なずな …) [2] 1月7日は人日(じんじつ)の節句 [3] 鎌倉時代からの文献に見る七草 [4]「七草がゆ」の風習と「若菜摘み」 [5] 公式行事の「五節句」、そして廃止、現代へ… [6] 江戸時代の文献に見る「七草・七種の粥」 [7] 七草の囃子詞・七草囃子・七草たたき [8]「小正月」の「七種粥・小豆粥」の風習 [9]【参考】「七草」などが登場する明治以降の文献 [10]【参考】錦絵に見る「七草」 [11]【参考】「五節供」などを含む『江戸幕府の年中行事一覧』 [12]【参考】牧野富太郎『植物記』に見る七草 [13]【参考】江戸の「なずな・なずな売り」 [14]【参考】寛政12年・1800年に書かれた「春の七くさ・春菜考」 [15]【参考】家紋 [16]【参考】『日葡辞書』での「七草」 [17]【参考】江戸後期から昭和初期の辞典に見る「ななくさ」 Amazon 「春の七草」キーワード商品 前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 次へ [4]「七草がゆ」の風習と「若菜摘み」の風習・行事 これまでも述べたように、1月7日の朝に七種類の野菜を入れた「 七草粥(ななくさがゆ) 」を食べる風習があり、現代では、単に「七草」というと、この「七草粥」を食べる風習を指すことが多いようです。 日本(にほん)では、古来から年の初めに野に出て芽を出し始めた草を摘み取る「若菜摘(わかなつ)み」が行われており、この風習に、中国から伝わった「七種菜羹(しちしゅさいかん)(ななしゅのさいかん)(「羹」は「こう」とも)」という、旧暦1月7日の「人日(じんじつ)」の日に七種類の野菜を入れた 羹(あつもの) (注:熱く煮た吸い物)を食べて無病を祈る習慣が結び付き、「七草粥」を食べて邪気を祓い、一年の無病息災と五穀豊穣を祈るとされる「七草」の風習ができたと言われています。 若菜を摘む風習・行事は、『万葉集』『古今集』『土佐日記』『枕草子』などにも見られます。 『万葉集』に見られる「若菜摘み」 巻頭 雄略天皇 籠(こ)もよ み籠持(こも)ち 堀串(ふくし)もよ み堀串持(ぶくしも)ち この岡(おか)に菜摘(なつ)ます児(こ) 家告(いへの)らせ 名告(なの)らさね 『万葉集 巻一』 [清水浜臣 (写)] 国立国会図書館所蔵 『万葉集(まんようしゅう) 』は、日本に現存する最古の和歌集。納められている最も新しい歌は天平宝字3年・759年のため、それ以後の編纂とされる。天皇、貴族から下級官人、防人などさまざまな身分の人の歌を4,500首以上も集めている。 『万葉集』に見られる「若菜摘み」 巻八 - 1427 山部赤人 明日(あす)よりは 春菜採(わかなつ)まむと 標(し)めし野(の)に 昨日(きのふ)も今日(けふ)も 雪(ゆき)は降(ふ)りつつ 『万葉集 巻八』 [清水浜臣 (写)] 国立国会図書館所蔵 『古今集』に見られる「若菜摘み」 光孝天皇 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ 「古今集 春上・21」 光孝天皇(天長7年・830年 〜 仁和3年・887年) [参考:小倉百人一首 15 ▶] ・承平5年・935年頃の成立(今から1090年前頃) 『土佐日記』に見られる「若菜」 七日になりぬ。同じ湊にあり。今日は白馬を思へどかひなし。たゞ浪の白きのみぞ見ゆる。かゝる間に人の家〔野イ〕の池と名ある所より鯉はなくて鮒よりはじめて川のも、海のも、ことものども、ながびつにになひつゞけておこせたり。わかなこに入れて雉など花につけたり〔十七字イ無〕。若菜ぞ今日をば知らせたる。歌あり。そのうた、 「淺茅生の野邊にしあれば水もなき池につみつるわかななりけり」。 いとをかしかし。 底本:青空文庫 注:〔 〕内は、割註。 注:「白馬(あをむま)」は、白馬節会(あおうまのせちえ) のことで、正月七日に行われた奈良時代以降の宮廷の年中行事の一つ。「この日にもらった物の中に若菜が入っていて今日が正月七日だと思い起こさせてくれた」と書いている。 『土佐日記』 [定家本土佐日記 : 尊経閣叢刊] 国立国会図書館所蔵 『土佐日記』[現代語訳] 藤村作編 昭和22年・1947年刊 国立国会図書館所蔵 『土佐日記』 は、紀貫之が土佐国から京に帰る55日間の船旅を、筆者を女性に仮託して、全行程を1日も欠かさず仮名文で書き綴った虚実混交の日記文学。承平5年・935年頃(今から1090年前頃)の成立とされる。〈男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり〉という書き出しで有名。 ・長保2年・1000年頃の成立(今から1025年前頃) 『枕草子』に見られる「若菜」 一二六 七日の日の若菜を 七日の日の若菜(わかな)を、六日(むいか)人の持(も)て来(き)、さわぎ取り散らしなどするに、見も知らぬ草を、子どもの取り持(も)て来たるを、「何(なに)とかこれをば言ふ」と問へば、とみに言はず、「いま」など、これかれ見合はせて、「耳無草(みみなぐさ) となむ言ふ」と言ふ者のあれば、「むべなりけり。聞かぬ 顔(がほ)なるは」と笑ふに、またいとをかしげなる菊の、生(お)ひ出(い)でたるを持(も)て来たれば、 つめどなほ耳無草こそあはれなれあまたしあれば菊もありけり と言はまほしけれど、またこれも聞き入るべうもあらず。 底本:小学館「新編 日本古典文学全集」 『枕草子』 は、清少納言による随筆で、平安中期の長保2年・1000年頃(今から1025年前頃) の成立とされる。作者の宮仕えの体験などを、日記・類聚・随想などの形で記した。人生や自然、外界の事物の断面を鋭敏な感覚で描き、源氏物語と並ぶ平安女流文学の双璧とされる。 ・作者の赤染衛門は、平安中期の女流歌人(960年頃〜1040年頃) (1040年は今から985年前) 『 赤染衛門集 ( あかぞめえもん ) 』に見られる「若菜」「七草摘み」 注:文字での三首の底本は、与謝野寛ほか編『日本古典全集. 榮華物語 下 附赤染衞門集』より。(大正15年・1926年) 注:画像の「赤染衛門集」は、国立国会図書館所蔵の「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」より。『群書類従』は、江戸時代後期に塙保己一(はなわほきいち)が編纂し刊行した叢書。 此人〔爲基〕法師に成りての頃、正月七日、 髭籠(ひげこ)に若菜を入れて遣るとて 春日野(かすがの)に今日の若菜を摘むとても猶三吉野の山ぞ□〔戀ナラン〕しき 返し さ夜更けて獨り帰りし袖よりも今日の若菜は露けかりけり 『群書類従 巻二百七十七 上 赤染衛門集』より 国立国会図書館所蔵 正月七日、稲荷の渡りにすむ人、鋤と云ふ物申し渡り、 若菜をおこせたりしに 春日野(かすがの)の若菜かとこそ思ひしに稲荷の山の鋤(すき)〔杉〕も積みけり 同じ 子日(ねのひ)なりしに 何れかに先づ〔松〕手掛けまし子日野(ねのひの)に若菜も今日は摘むべかりけり 『群書類従 巻二百七十七 下 赤染衛門集』より 国立国会図書館所蔵 正月七日、若菜、人に遣るとて 春日野の今日七草(ななくさ)の是れならで君を問ふ日〔烽火〕は何時(いつ)ぞとも無し 『群書類従 巻二百七十七 下 赤染衛門集』より 国立国会図書館所蔵 赤染衛門(あかぞめえもん) 生没年未詳。平安中期の女流歌人(960年頃〜1040年頃)。中古三十六歌仙・女房三十六歌仙の一人。赤染時用(ときもち)の娘。「後拾遺和歌集」などに多く歌があり、和泉式部と並び称される。家集に「赤染衛門集」。「栄花物語」前編の作者ともいわれる。 江戸時代の中期、元禄になる前後(元禄元年は1688年)に書かれたとされる年中行事絵本『 大和耕作絵抄(やまとこうさくえしょう)』に、「若菜摘み」の様子や、「子(ね)の日の遊び」と言われ、子の日に行われたという「小松引き」の様子などが描かれています。 『大和耕作絵抄』では、七草の種類を「せり、なづな、御形、たびらこ、ほとけのざ、すヾな、すヾしろ、これぞ七種」としています。 ・江戸時代の中期、元禄になる前後の成立(元禄元年は今から337年前) 『大和耕作絵抄(やまとこうさくえしょう)』 『大和耕作絵抄』 石川流宣 国立国会図書館所蔵 石川流宣(いしかわとものぶ) は、江戸時代中期の浮世絵師。『大和耕作絵抄』は、年中行事絵本。 前出以外にも、数々の和歌や俳句などにも若菜を摘む様子などが詠まれ、その風習を知ることが出来ます。 【和歌】 国栖等が春菜採むらむ司馬の野のしましま君を思ふこのごろ 詠み人知らず『万葉集』 春日野のとぶひの野守いでて見よ今いくかありて若菜つみてむ 詠み人知らず『古今集 春上・18』 み山には松の雪だに消えなくにみやこは野辺の若菜つみけり 詠み人知らず『古今集 春上・19』 梓弓おして春雨今日降りぬ明日さへ降らば若菜つみてむ 詠み人知らず『古今集 春上・20』 春日野の若菜摘みにや白妙の袖ふりはへて人のゆくらむ 紀貫之『古今集 春上・22』 里人の裾野の雪を踏み分けてただ我がためと若菜つむらん 後鳥羽上皇『遠島御百首・5』 【俳句】 古畑や薺摘行男ども 芭蕉 一とせに一度摘まるる薺かな 芭蕉 茜うら帯にはさんで若菜摘 一茶 きのふより若菜摘そへ薺売り 杉風 ひとり摘む薺の土のやはらかに 汀女 若菜摘む人を恋ほしく待つ間かな 汀女 薺摘む頬にしたがへる雪の阿蘇 汀女 薺つむ帷子雪のふまれけり 蛇笏 薺つむかたびらゆきのふまれけり 蛇笏 畠より頭巾よぶなり若菜つみ 其角 山彦はよその事なりわかな摘 千代女 若菜つみ野になれそむる袂かな 樗良 また、江戸時代に詠まれた川柳にもよく登場します。 ここにあげる二句の川柳のうち、一句目は、安永7年・1778年 (今から247年前) に句集『 誹風柳多留(はいふうやなぎだる)』に収載された川柳で、二句目は、さらにそれを利用して天保11年・1840年 (今から185年前)に『 画本柳樽(えほんやなぎだる) 』として挿絵入りで出版されたものです。 挿絵には当時の人気の浮世絵師が参加したとされます。 この川柳は、前述の、「古今集」に見られた光孝天皇の『君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ』からの援用とされます。 【川柳】 うぬが爲 春の野に出る なづなうり (安永7年・1778年「柳多留」十六・2・梅1) おのがため はるの野に出る なづなつみ (天保11年・1840年「画本柳樽」) 〔基になった和歌〕 光孝天皇(天長7年・830年 〜 仁和3年・887年) 「古今集 春・21」 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ おのがため はるの野に出る なづなつみ(「画本柳樽」天保11年・1840年) この川柳の基になった光孝天皇の和歌では、「君がため」、つまり「あなたのために」と優雅に詠んでいるのに対し、援用した川柳では、「うぬがため」「おのがため」と、「なずなを摘むのは自分のためだ」、「摘んだなずなを売って自分の生計の足しにするんだ」と、ちょっと世知辛い句になっています。 江戸時代の文献『守貞謾稿』には、「六日に困民・小農ら市中に出て、これを売る。京坂にては売詞に曰く、吉慶のなずな、祝いて一貫が買うておくれ、と云う。一貫は、一銭を云う戯言なり。江戸にては、なずな/\と呼び行くのみ」とあって、「なずな売り」が正月六日に市中を歩いたことが分かります。 〔 [6] 江戸時代の文献に見る「七草」「七種の粥」など ▶ 〕 江戸時代の浮世絵師喜多川歌麿(1753年〈宝暦3年〉頃? - 1806年10月31日〈文化3年〉9月20日)は、四季折々の自然の風物とともに女性の風俗を描出した「絵本四季花」の中の一枚に「若菜摘み」を描いている。 喜多川歌麿「絵本四季花」より『若菜摘み』 寛政13年〈1801年〉 (ボストン美術館蔵) 次に、「七草粥」の風習が一般にも広まって行くきっかけともなったと思われる、江戸幕府による「五節句」の公式行事などについて見てみます。 前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 次へ 春の七草・春の七種《目次》 [1] 春の七草とは(せり・なずな …) [2] 1月7日は人日(じんじつ)の節句 [3] 鎌倉時代からの文献に見る七草 [4]「七草がゆ」の風習と「若菜摘み」 [5] 公式行事の「五節句」、そして廃止、現代へ… [6] 江戸時代の文献に見る「七草・七種の粥」 [7] 七草の囃子詞・七草囃子・七草たたき [8]「小正月」の「七種粥・小豆粥」の風習 [9]【参考】「七草」などが登場する明治以降の文献 [10]【参考】錦絵に見る「七草」 [11]【参考】「五節供」などを含む『江戸幕府の年中行事一覧』 [12]【参考】牧野富太郎『植物記』に見る七草 [13]【参考】江戸の「なずな・なずな売り」 [14]【参考】寛政12年・1800年に書かれた「春の七くさ・春菜考」 [15]【参考】家紋 [16]【参考】『日葡辞書』での「七草」 [17]【参考】江戸後期から昭和初期の辞典に見る「ななくさ」 Amazon 「春の七草」キーワード商品 このページは、例のいくつかをあげ編集しています。 学習や研究などにお使いの際は、辞典・専門書などでご確認ください。(このページを利用され、何らかの不利益や問題が生じても、当サイトは一切の責を負いかねます。あらかじめご了承ください) 本サイトは編集著作物です。データの無断転載等を禁じます。著作権侵害という犯罪 スポンサーリンク [ 時を知る・季節を知る ] - 暦・季節・年齢などに関するコンテンツ一覧 二十四節気(立春・雨水など) 今年の二十四節気・雑節など 七十二候(東風解凍など) 二十四節気・七十二候を計算する 二十四節気・七十二候・干支・旧暦・六曜カレンダー 雑節など(節分・入梅など) 土用と土用の丑の日を調べる 五節句(端午・七夕など) 月の名称・異称(睦月・如月など) 泉鏡花・月令十二態 年齢の異称(而立、不惑など) 年齢の異称(三十路など) 誕生の祝い(お宮参りなど) 子供の祝い計算(初節句・七五三など) 長寿の祝い(還暦・古希など) 長寿の祝い計算 結婚記念日(銀婚・金婚式など) 結婚記念日計算 今年「銀婚・金婚」、挙式は何年? 法要・年回忌(一周忌・三回忌など) 年回忌・法事計算 - 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