ものの数え方・助数詞【あ行−お】【みんなの知識ちょっと便利帳】

= お =

お

もの

数え方

お

尾 [→ 尻尾、→ 尾羽]

一本、一尾（お）

【知識】「一尾（ひとお）」は、矢羽に使われる鷹の尾で。一羽分の尾羽は一尻（ひとしり）とも。「一尻」は、鷹の尾羽で10枚とされ、鷹の尾羽10枚は「一鳥（ひととり）」とも。

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【参考】芥川龍之介「奇遇」：窓の中を覗いて見ると、几（つくえ）の上の古銅瓶（こどうへい）に、孔雀（くじゃく）の尾が何本も挿（さ）してある。その側にある筆硯類（ひっけんるい）は、いずれも清楚（せいそ）と云うほかはない。

お

緒

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

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【参考】泉鏡花「ピストルの使い方 ――（前題――楊弓）」：麓（ふもと）を籠（こ）めて、練絹（ねりぎぬ）を織って流るる川に、渡した橋は、細く解いた鼓の二筋の緒に見えた。
【参考】泉鏡花「天守物語」：紅（くれない）の鼓の緒、処々に蝶結びして一条（ひとすじ）、これを欄干のごとく取りまわして柱に渡す。
【参考】黒島伝治「二銭銅貨」：緒は幾十条も揃えて同じ長さに切ってあった。その中に一条（すじ）だけ他（ほか）のよりは一尺ばかり短いのがあった。

おい

笈

一背、一挺［一丁］（ちょう）、一基

※ 文化財では一背、一基という表現が見られる。

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【参考】作者不詳「義経記」：一挺の笈には折らぬ烏帽子十頭、直垂・大口などをぞ入れたりける。残り八挺の笈には、皆鎧腹巻をぞ入れたりける。

おいなり・おいなりさん

お稲荷・お稲荷さん

⇒ 稲荷ずし

おいわい

お祝い [→ 祝儀]

一包（つつみ）、一封（ふう）

おうかん

王冠

一頭（かしら） [冠で]、一個 [瓶のふたで]

おうぎ

扇 [→ 檜扇、→ 扇子、→ 末広、→ 張扇、→ 軍配・軍配団扇]

一本、一枚、一把（は・わ）、一握（あく・にぎり）、一柄（へい・え・から）、一枝（えだ・し）、一面、一扇、一片、一対 [張扇、舞扇など二本で]

※ 文化財では一握（あく）、一柄という表現が見られる。

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【参考】森鷗外「護持院原の敵討」：同じ日に浜町の後室から「縞（しま）縮緬一反」、故酒井忠質室専寿院（ただたかしつせんじゅいん）から「高砂（たかさご）染縮緬帛（ふくさ）二、扇二本、包之内（つつみのうち）」を賜った。
【参考】喜田川守貞「守貞謾稿　巻之五（生業下）」： 払い扇筥買い　新正江戸の市民、年始礼に行く者、必ず扇筥および袋納扇を年玉と号し、知音の毎戸にこれを配る。これを買い集めて、また年玉用に売るなり。《中略》筥は多くは空筥にて、竹串を納れ音あるのみ。故に字して、がら／＼の扇筥と云う。また扇納れたるもあり。多くは二柄納りなり。袋には一柄入り・二柄入りともにあり。
【編集注】「守貞謾稿（もりさだまんこう）」は、天保8年（1837）から慶応3年（1867）まで、30年間にわたって書かれた江戸時代後期の風俗史。 []
【参考】石川啄木「葬列」：此一面の明鏡は又、黄金（こがね）の色のいと鮮かな一片（ひとひら）の小扇をさへ載せて居る。
【参考】「続日本紀（しょくにほんぎ）」 [797年（延暦16年）成立]：又縁都蒙請。加附黄金小一百両。水銀大一百両。金漆一缶。漆一缶。海石榴油一缶。水精念珠四貫。檳榔扇十枝。至宜領之。夏景炎熱。想平安和。
【参考】与謝野寛、与謝野晶子「巴里より」：晶子は三越で買つて来た白地（しろぢ）に香（かう）の図と菊とを染めた友禅と、京都の茅野蕭蕭（ちのせうせう）君に託して買つて貰つた舞扇（まひあふぎ）の一対とを夫人に捧げた。
【参考】夢野久作「梅津只圓翁伝」：この明治二年前後は、能楽師が極度の窮迫に沈淪していた時代であった。現家元六平太氏が家元として引継がれた品物は僅かに張扇（はりおうぎ）一対というのが事実であったから、能静氏も表面は立派な邸宅に住みながら、内実は余程微禄した佗しい生活に陥って居られたものであろう。

おうし

雄牛

⇒ 牛

おうせつせっと

応接セット

一組、一セット

おうだんまく

横断幕

一枚、一張（はり・ちょう）、一帳（ちょう）

おうだんほどう

横断歩道

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

おうとう

桜桃 [→ サクランボ、→ 果物]

一粒、一個、一房、一顆（か）、一果（か）、一菓（か）、一箱、一パック

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【参考】太宰治「お伽草紙」：桜桃五、六粒と一緒に舌の上に載せると、しゅっと溶けて適当に爽涼のお酒になります。

おうふく

往復

一往復、一回、一度

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【参考】牧野信一「日本橋」：テル子を待つ間に私は、一階に降り、その巨大な昇降機が七階までの一往復に要する時間を験べたいので、そのまゝ乗り続けてゐたかつたのであるが挙動不訝を疑はれさうなので、
この昇降機は三十分のうちに約十回の往復をする。
【参考】菊池寛「Ｍ侯爵と写真師」：給仕に名刺を取次がしても、何だかだと二、三回も給仕の往復があった後、やっと応接室に通されるにしたところが、相手の出て来るのには、早くて十分、遅ければ一時間以上もかかる時があるのです。
【参考】牧野信一「消息抄（近頃書いた或る私の手紙から。）」：何故現在の住所を書いて寄さないのか？　と屡々汝に云はれるが、汝との手紙が一回往復される間には大概予の居住は変つてしまふのだ！
【参考】野上豊一郎「吹雪のユンクフラウ」：登山鉄道は、インターラーケンからシャイデックまでの二十四キロはベルン高地鉄道、シャイデックからユンクフラウヨッホまでの約十キロはユンクフラウ鉄道、と乗り分けることになる。後者は季節には一日八回往復するけれども、今は一日一回きり往復しない。
【参考】夢野久作「衝突心理」：そこへ昨夜、支配人から京浜国道の材木運搬を命ぜられて午後の十時から二回往復したが、最初は子安の近くを通るのが恐ろしくて仕様がなかった。
【参考】永井荷風「申訳」：改造社の主人山本さんが僕と博文館との間に立って、日に幾回となく自動車で往復している最中、或日の正午頃に一人の女がふらふらと僕の家へ上り込んで来て、僕の持っている家産の半分を貰いたいと言出した。
【参考】直木三十五「南国太平記」：垣根は、茂った葉で、一度跨ぐと、裾がぐしょぐしょになった。父子が、雨に打たれながら、二三度往復した時
「開けろっ」
【参考】宮本百合子「今にわれらも」：炭運びにしろ、女は三俵つんで日に二度、一里ぐらいを往復して一俵につき五銭だ。
【参考】牧野信一「街上スケツチ」：今日俺は、エレベーターの中で居眠りをしてゐる人を見たよ。七階まで三度往復してゐたが……気がついて見ると、俺も、ぼんやり三度往復してゐた。

おうふくきっぷ

往復切符

一枚

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【参考】寺田寅彦「雑記（I）」：私はＺ町まで用があって日盛りの時刻に出掛けて行った。Ｈ町で乗った電車はほとんどがら明きのように空（す）いていた。五十銭札を出して往復を二枚買った。そしてパンチを入れた分を割（さ）き取って左手の指先でつまんだままで乗って行った。

おうふくはがき

往復はがき・往復葉書・往復端書

一枚、一葉（よう）

往復はがき・往復葉書・往復端書 [書いたもの]

一通、一本、一葉（よう）

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【参考】牧野信一「蝉」：滅多に手紙などの来ることのない滝野のところへ、或る朝一通の往復はがきが配達された。

おうぼ

応募

一口、一件

おうむ

オウム・鸚鵡 [→ 鳥]

一羽（わ）、一匹・一疋

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【参考】国木田独歩「あの時分」：ある日樋口（ひぐち）という同宿の青年（ひと）が、どこからか鸚鵡（おうむ）を一羽、美しいかごに入れたまま持って帰りました。
この青年（ひと）は、なぜかそのころ学校を休んで、何とはなしに日を送っていましたが、私には別に不思議にも見えませんでした。
【参考】泉鏡花「琵琶伝」：渠（かれ）が書斎の椽前（えんさき）には、一個数寄（すき）を尽したる鳥籠（とりかご）を懸けたる中に、一羽の純白なる鸚鵡（おうむ）あり、餌（え）を啄（ついば）むにも飽きたりけむ、もの淋しげに謙三郎の後姿を見遣（や）りつつ、頭（かしら）を左右に傾けおれり。
【参考】堀辰雄「ルウベンスの偽画」：木のテエブルに頬杖（ほおづえ）をついている彼の頭上では、一匹の鸚鵡（おうむ）が人間の声を真似していた。

おうめんきょう

凹面鏡 [→ 凸面鏡、→ 鏡]

一枚、一面

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【参考】牧野信一「鏡地獄」：同人雑誌に「凸面鏡」などといふ題名の失恋小説を書いた頃、参考の為に集めた十二三枚の小さな凸面鏡と凹面鏡や、やはりその頃、生家の物置に忍んで昔のツヾラの中から探し出した価打のない古鏡とか、玩具の顕微鏡とか、昔の望遠鏡とか、父が昔アメリカから持ち帰つたおそろしく旧式なピストルで、

おうりょうき

応量器 [→ 鉢]

一鉢、一口

※ 文化財では一口という表現が見られる。

「応量器 (おうりょうき)｣

〔出典：Wikipedia〕

おーえいちぴー

オーエイチピー・OHP

一台

おおかざし

大翳 [→ 檜扇、→ 扇]

一本、一枚、一握（あく・にぎり）、一柄（へい・え・から）、一把（は・わ）、一枝（えだ・し）、一面、一扇

※ 文化財では「一握」という表現が見られる。『延喜式（えんぎしき）（延長5年〈927年〉［］成立）』には「枚」と見られる。

【知識】「大翳（おおかざし）」は、宮中女性が用いた檜扇。大形で、大きく開いて顔にかざして用いたところから。

「大翳 (おおかざし)｣

[江戸時代・19世紀]
（東京国立博物館蔵）

〔出典：ColBase〕

おおがたきかい

大型機械 [→ 小型機械、→ 機械]

一基、一台

【知識】大型の機械は、据え付けて使われることが多いため、通常「基」で数えられるが、「台」で数えられることも。

おおかみ

オオカミ・狼 [→ 動物]

一匹・一疋、一頭

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【参考】牧野信一「武者窓日記」：壁に掛っている長剣を指さした。「俺なら、これ一本で沢山だ、何の狼の五匹や十匹――珠数（じゅず）つなぎのヴオレイを喰わして、生捕りにしてしまう。」
【参考】宮沢賢治「水仙月の四日」：二疋（ひき）の雪狼（ゆきおいの）が、べろべろまっ赤な舌を吐（は）きながら、象の頭のかたちをした、雪丘の上の方をあるいていました。
【参考】中里介山「大菩薩峠恐山の巻」：土間を見ると、二頭の狼がいる。一頭は完全に絶息しているが、一頭はまだ腹に浪を打たせている。

おおかみおとこ

おおかみ男・オオカミ男・狼男

一人、一匹

※ 物語で。満月を見ると狼になる。「匹」は狼になって。

おーけすとら

オーケストラ

一団、一座

おーけすとらぴっと

オーケストラピット

一基

おおさんしょううお

オオサンショウウオ・大山椒魚 [→ サンショウウオ]

一匹・一疋、一頭

おおだこ

大凧 [→ 凧]

一枚、一基、一畳（じょう） [大きさで]

【知識】大凧の大きさを表す単位として、「たたみ」を数える「畳（じょう）」が使われることがあり、滋賀県東近江市に伝わる「八日市大凧」の行事では、明治15年（1882年） [ ]に「240畳敷」の大凧が揚げられたという記録が残っているという。　《リンク：東近江市》

※ 文化財では一基という表現が見られる。

おおづつ

大筒 [→ 大砲、→ 小筒]

一挺［一丁］（ちょう）、一門、一発 [撃つこと。砲弾]

※ 文化財では一挺という表現が見られる。

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【参考】森鷗外「大塩平八郎」：次に大筒（おほづゝ）が二挺と鑓（やり）を持つた雑人（ざふにん）とが行く。次に略（ほゞ）格之助と同じ支度の平八郎が、黒羅紗（くろらしや）の羽織、野袴（のばかま）で行く。
【参考】森鷗外「大塩平八郎」：門前には柵（さく）を結（ゆ）ひ、竹束（たけたば）を立て、土俵を築き上げて、大筒（おほづゝ）二門を据（す）ゑ、別に予備筒（よびづゝ）二門が置いてある。
【参考】森鷗外「大塩平八郎」：先（ま）づ主人の出勤した跡（あと）の、向屋敷（むかうやしき）朝岡の門に大筒の第一発を打ち込んで、天満橋筋（てんまばしすぢ）の長柄町（ながらまち）に出て、南へ源八町（げんぱちまち）まで進んで、与力町（よりきまち）を西へ折れた。
【参考】島崎藤村「夜明け前　第一部上」：上の伏見屋の仙十郎もそこへ来て、考え深い目つきをしている半蔵のそばに立った。目方百十五、六貫ばかりの大筒（おおづつ）の鉄砲、この人足二十二人がかり、それに七人がかりから十人がかりまでの大筒五挺（ちょう）、都合六挺が、やがて村の人々の目の前を動いて行った。こんなに諸藩から江戸の邸（やしき）へ向けて大砲を運ぶことも、その日までなかったことだ。
【参考】菊池寛「島原の乱」：ここに於て、軍議は二十五日総攻撃と定（きま）ったのである。当時城内の武備の有様を見るに石火矢八十挺、二三十目玉から五十目玉までの大筒百挺、十匁玉より二十目玉までの矢風筒（やかぜづつ）三百挺、六匁玉筒千挺、弓百張、長柄五百本、槍三百本、具足二百領、其他とあるから、相当なものである。
【参考】久生十蘭「呂宋の壺」：そんなことをしているうちに、黒船は半里ほどのところまで迫ってきた。小早船（こばや）といっているポルトガルの飛脚船で、大筒を四梃すえているのが、ありありと見えた。
【参考】中里介山「大菩薩峠勿来の巻」：こういう場合にこそ、空（から）でもなんでもいいから、大筒の一発もブッ放して見せてやれ、彼等のコケおどしは、一たまりもあるまいと思われるのに、目を驚かすばかりの精鋭な、船も、武器も持っておりながら、みすみすこんな威嚇に屈服して争わない駒井の殿様の態度を、七兵衛も歯痒いように思いました。

おーとさんりん

オート三輪

一台、一輌・一両

おーとばい

オートバイ [→ 単車、→ サイドカー、→ スクーター]

一台、一輛・一両

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【参考】寺田寅彦「カメラをさげて」：手近な些末（さまつ）な例をあげると、銀座（ぎんざ）の裏河岸（うらがし）のある町の片側に昔ふうの荷車が十台ほどもずらりと並べておいてある、その反対側にはオートバイがこれも五、六台ほど並んで置かれてあった。
【参考】岸田國士「医術の進歩」：気の利いた事務員を一人置く。女でも差支えない。手紙が書けさえしたら……。そうだ、中古のオートバイを一台、無論、配達用だ。お前、乗り方を稽古しろ。

おーどぶる

オードブル

一人前、一品、一種、一皿、一盛

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【参考】直木三十五「大阪を歩く」：フランス料理の、オードブル（突出し、前菜）は冷たいのが百六十種、温かいのが二百種ある（宮内省司厨長秋山氏談）日本料理の突出しを、何んという料理人が百種こしらえたか？

おーとれーす

オートレース [→ 車券]

一レース、一回、一開催

おーばー・おーばーこーと

オーバー・オーバーコート [→ 外套]

一着、一枚、一領（りょう）

おーばーおーる

オーバーオール

一着、一枚

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【参考】葉山嘉樹「浚渫船」：印度の何とか称する貴族で、デッキパッセンジャーとして、アメリカに哲学を研究に行くと云う、青年に貰った、ゴンドラの形と金色を持った、私の足に合わない靴。刃のない安全剃刀。ブリキのように固くなったオバーオールが、三着。

おーばーしゅーず

オーバーシューズ

一足

おおばこ

オオバコ・車前草・大葉子 [→ 草]

一本（ほん・もと）、一茎（けい・くき）、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一葉（よう・は）、一群・一叢（むら・そう）・一簇（むら・そう）[群生で]

おおばん

大判 [→ 小判]

一枚

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【参考】菊池寛「吉良上野の立場」：下らぬ手土産一つで、慣例の金子さえ持って来ん。大判の一枚、小判の十枚、わしは欲しいからいうのじゃない。慣例は、重んじてもらわなけりゃ困る。
【参考】国枝史郎「天主閣の音」：製作に要した大判の額、一千九百四十枚、こいつを小判に直す時は、一万七千九百余両、ところで此金を現価に直すと、さあ一体どの位になろう？

おーぷんかー

オープンカー

一台、一輌・一両

おーぶん

オーブン [→ 天火]

一台、一基 [据え付けた大型のもので]

おーぶんとーすたー

オーブントースター

一台

おーぼえ

オーボエ [→ 楽器]

一本、一管

おーる

オール [→ 櫂]

一挺［一丁］（ちょう）、一本、一掻（かき）[漕ぐこと]

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【参考】中井正一「脱出と回帰」：ボートの選手は、一本一本のオールを手離さないことでもって、ついには天地晦冥の無意識の中に陥ってゆくが、この時に、彼はむしろ、ほんとうのフォームに立ちいたり、それを会得し、自分の会心、自分のペースに邂逅しているのである。
【参考】夢野久作「爆弾太平記」：その上からモウ二枚帆布（キャンバス）を当てがって、周囲（まわり）をピッシリ釘付けにして、その上からモウ一つ、流れていた櫂（オール）を三本並べながら、鎹釘（かすがい）で頑丈にタタキ付けてしまった。どこで研究したものか知らないが、百人ばかりの生命（いのち）の親様だ。

おーろら

オーロラ

一面、一枚

おか

丘・岡 [→ 山]

一丘（きゅう）、一座

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【参考】泉鏡花「悪獣篇」：ここに、一つ目と二つ目の浜境（はまざかい）、浪間の巌（いわ）を裾（すそ）に浸して、路傍（みちばた）に衝（つ）と高い、一座螺（ら）のごとき丘がある。
【参考】泉鏡花「唄立山心中一曲」：あのトランプのハアト形に頭（かしら）を押立（おった）った梟（ふくろ）ヶ嶽（たけ）、梟、梟と一口に称（とな）えて、何嶽と言うほどじゃねえ、丘が一座（ひとくら）、その頂辺（てっぺん）に、天狗の撞木杖（しゅもくづえ）といった形に見える、柱が一本。

おかがみ

お鏡

⇒ 鏡餅

おかぐら

お神楽・御神楽

⇒ 神楽

おかざり

お飾り・御飾り・御飾 [→ しめ飾り]

一本、一飾（かざり）

おかし

お菓子

⇒ 菓子

おかず

お数・お菜 [→ 惣菜]

一品（しな・ひん）、一菜

おかね

お金

⇒ 紙幣、⇒ 硬貨、⇒ 銭、⇒ 小銭

おかぴ

オカピ [→ 動物]

一頭、一匹・一疋

【知識】20世紀に入って初めて存在が確認されたキリン科に属する哺乳動物。脚に縞模様が入った姿が美しく、『森の貴婦人』などとも呼ばれる。

おかゆ

お粥

⇒ 粥

おかりな

オカリナ [→ 楽器]

一本

おがわ

小川 [→ 川]

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一流（ながれ）

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【参考】泉鏡花「燈明之巻」：ここに一筋の小川が流れる。三尺ばかり、細いが水は清く澄み、瀬は立ちながら、悠揚として、さらさらと聞くほどの音もしない。
【参考】海野十三「三角形の恐怖」：玉川上水のあとである一筋の小川を距（へだ）てて向い合っていました。
【参考】豊島与志雄「轢死人」：車窓から覗くと、黄色くなりかけた稲田、稲田の中の一条の小川、小川の堤の灌木の茂み、その向うの小さな山、それらの上に、薄く曇った午後三時過ぎの空が、低く垂れていた。

おきかんばん

置き看板・置看板 [→ 看板]

一台、一基、一枚、一面

おきごたつ

置き炬燵・置炬燵 [→ 炬燵、→ 櫓炬燵]

一台

高木貞武画「絵本和歌浦」より
享保19年〈1734〉
（国立国会図書館蔵）

おきてがみ

置き手紙・置手紙 [→ 手紙]

一本、一通、一封、一書、一枚、一葉（よう）、一片

おきどけい

置時計・置き時計 [→ 時計]

一台

おきもの

置物

一個、一基

※ 文化財では一基という表現が見られる。

おきょう

お経 [→ 経典]

一巻、一軸、一部、一遍、一冊、一本

※ 文化財では一巻、一軸という表現が見られる。

おくがいけいじばん

屋外掲示板

一枚、一台、一基、一面

おくがいしょうめい

屋外照明

一基、一灯、一本、一台、一個 [電球]

おくじょうこうこくとう

屋上広告塔

一基、一面

おくじょうこうこくばん

屋上広告板

一基、一台、一枚、一面

おくば

奥歯 [→ 歯、→ 前歯]

一本、一歯 [歯科専門的に]

おくりな

贈り名・贈名・諡 [→ 戒名]

一諡（し）、一つ

おくりもの

贈り物 [→ 贈答・贈答品]

一個、一件、一点、一枝（えだ・し）

【知識】「枝」は、古く、贈り物を木の枝に付けて差し出したことに由来する。「紫式部源氏物語・第二十九帖行幸『蔵人（くろうど）の左衛門尉（さえもんのじょう）を御使にて、雉（きじ）一枝（ひとえだ）奉（たてまつ）らせ給ふ』」

【知識】「雉一枝」は、雄を上に、雌を下にして二羽（一双）の鳥を一本の枝に付けたものをいい、狩で獲った雉（きじ）などを献上する場面などに登場する。 [ 参考 → 「鳥」]

【作品を見る】室町時代の「河海抄（かかいしょう）」に書かれた「鳥を枝に付けて贈ったこと」（木として、「柴」「梅」「紅葉」「萩」「薄（すすき）」「松」「竹」が、贈り物の鳥として、「雉（きじ）」「山鳩」「鶉（うずら）」「雀（すずめ）」が出て来る）

室町時代初期に書かれた「河海抄（かかいしょう）」に、鳥を枝に付けて贈ったことが書かれている

蔵人のせうを御つかひにてきし一えたたてまつらせ給
季云延長四年十一月六日有北野行幸其日全同物忌不参未剋上還舟岡茂春最後獲　九條右大臣家集に朱雀院の御門かりにおはしましたりける御ともにまいる事有てつかうまつり給ぬにきし一つかいたまはせたるも申たまひける　かヽるよもありけるものをとまりゐて身をう　川とおもひけるかな伊勢物語業平朝臣忠仁公に奉まつる雉九月也梅か枝につけたり我たのむ君かためにと折花は時しも分かぬものにそありける
「九條右丞相集に朱雀院よりきし一双薄につけて給はせけるとあり」　　
付鳥枝事
柴高七尺五寸　（割註：普通の柏木よりは葉せはく円くして表裏に毛おいたり是を鳥付柴といふ也一説云たもん柴といふ物也）
年内は立枝をへたてヽ雄を左にあけて付雌鳥をさけて付也年あけては雌を左にあけて付春は雌を賞する故也（割註：付様口伝あり略之）式には柴を用といへとも春は梅秋は紅葉に付事賞する故也むねと大臣大饗時に用之又初雪の朝雉を人に遣時の作法也又鷹野より人のもとへ遣には三四尺の柴枝を刀目をつけすして本を折はしらかして付也一双を付様たしかにしれる人なし（割註：泰兼説也）　四条大納言隆親卿説柴高六七尺雌雄一双を付也殿上の儀式にたてらる又大臣家大饗元服移徒如此用之産所へ遣には根引小松に付也是秘事也義氏朝臣説鷹野より人のもとへ雉を送には柴ならぬとも萩薄をはしめて何にも付也一説云松に鳩を付事有山鳩也八月以後不付也之鶉をは萩薄の枝に付り小鳥をは紅葉枝に付たり雀をは竹の枝に付之十月にはふし柴に付といへり御鷹飼武久説也

『河海抄　巻第十一　玉鬘並七　行幸』より一部抜粋
日本図書センター刊「源氏物語古注釈大成第6巻河海抄・花鳥余情」（1978年・昭和53年刊）より

『河海抄（かかいしょう）』は、四辻善成（よつつじよしなり）（1329〜1402）によって著された「源氏物語」に注解・注釈を加えた大著とされる。全20巻で、室町時代初期の貞治6年頃（1367年頃）に成立。

おくれげ

後れ毛 [→ 髪]

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

作品を見る

【参考】林不忘「釘抜藤吉捕物覚書怪談抜地獄」：後れ毛の二、三本へばりついた横顔は、凄いほどの美人である。
【参考】岡本かの子「茶屋知らず物語」：水色の揃いの帷子（かたびら）に、しん無しの大幅帯をしどけなく結び、小枕なしの大島田を、一筋の後れ毛もなく結い立てています。京女の生地の白い肌へ夕化粧を念入りに施したのが文字通り水もしたたるような美しさです。

おけ

桶

一個、一本、一桶、一枚 [すし桶などで]、一荷（か）、一口（こう・く・くち）、一具（ぐ）、一合（ごう） [蓋の付いたもので]

※ 文化財では一口（く）という表現が見られる。蓋の付いたものでは、一合（ごう）の表現も見られる。

作品を見る

【参考】南方熊楠「十二支考田原藤太竜宮入りの話」：大洋を囲んで無数の軍兵に、毎人一桶ずつ毎日その水を汲（く）ませ、
【参考】田山花袋「帰国」：時に馬鈴薯の一桶や甘藷の一包を盜むこと位はかれ等は何とも思っていなかった。
【参考】薄田泣菫「艸木虫魚」：小六はこの男が仕事もなくては、定めし居つらかろうと、毎日逢坂の水を一荷ずつ水桶で家に運ばせることにした。

おこう

お香

⇒ 香

おこうこう・おこうこ

お香香・御香香・お香々・御香々 [→ 漬け物]

一枚、一片、一切（きれ）、一本、一株、一樽

※ 種類によって様々です。

おこつ

お骨 [→ 遺骨]

一体、一柱（はしら）、一片、一本、一口（こう） [骨壺で]

おこと

お琴

⇒ 琴

おこない

行い

一つ、一行（こう）

おこのみやき

お好み焼き [→ たこ焼き、→ 明石焼き]

一枚、一皿、一切（きれ）

おさ

筬

一台

『頭書増補訓蒙図彙』に見られる「筬」

『筬はおさなり、紉、梳同じ、簆框は今いうおさかまち。おさ。」とある。

（国立国会図書館蔵）

元禄8年〈1695年〉[ ] 刊

おさつ

お札・御札 [→ 紙幣]

一枚、一片（へん・ひら）、一束

作品を見る

【参考】豊島与志雄「生あらば」：「紙幣（おさつ）の十枚位は枕の下にしていないと眠れませんよ。年をとるとただもうお金ですよ。」そして彼女はひひひと笑った……。

おさめばこ

納箱・納め箱

一箱、一合（ごう）、一具（ぐ・よろい）

※ 文化財では一合という表現が見られる。

おしいいれ

押し入れ・押入

一つ

おしがみ

押し紙・押紙

一枚、一片

おしき

折敷 [→ お盆]

一枚、一組、一台、一具（ぐ）

※ 文化財では一具、一枚という表現が見られる。

作品を見る

【参考】「吾妻鏡　建長四年(1252)三月十九日」(新訂増補国史大系)：櫃飯廿五具。［具別飯一櫃。雑菜三種。］大瓶一荷。折敷卅枚。［土器百。大小箸百廿前。］

おじぎ

お辞儀・御辞儀

一度、一回、一つ、一礼

作品を見る

【参考】有島武郎「溺れかけた兄妹」：若者は麦湯（むぎゆ）を飲みながら、妹の方を心配そうに見てお辞儀を二、三度して帰って行ってしまいました。
【参考】牧野信一「地球儀」：ちゃんと母から教わった挨拶で、もっと長く喋らなければならなかったのだが、これだけ云うのに三つも四つもペコ／＼とお辞儀ばかりしてごまかしてしまった。
【参考】二葉亭四迷「平凡」：雪江さんは此方（こちら）を向いたから、此処らでお辞儀をするのだろうと思って、私は又倒さになって一礼すると、残念ながら又真紅（まっか）になった。

おしずし

押し鮨・押しずし [→ 箱鮨、→ すし、→ 握り鮨]

一箱、一筥、一切（きれ）、一つ

おじぞうさま

お地蔵様

⇒ 地蔵菩薩

おしだしぶつ・おしだしぶつぞう

押出仏・押出仏像 [→ 仏像]

一枚、一面

おして・おしで

押手・押し手

⇒ 印判

【知識】手のひらに朱や墨を塗って文書に押して印としたことに由来し、印判を「おして」と言った。

『和漢三才図会（わかんさんさいずえ）巻第十五』に、「をして」の文字と印判の図が見られ、『いま、印判という』とある。

『和漢三才図会』にみられる「おして」
（国立国会図書館蔵）

『和漢三才図会』は、30年余りの歳月をかけて、江戸時代の1712年（正徳2年）頃に完成・出版された図解入り百科事典。明・王圻編『三才図会』を模して作られた。

おしどり

オシドリ・鴛鴦

一羽（わ）、一匹・一疋、一番（つがい）

作品を見る

【参考】泉鏡花「唄立山心中一曲」：それが、お前さん、火事騒ぎに散らかったんで――驚いたのは、中に交って、鴛鴦（おしどり）が二羽……番（つがい）かね。……
【参考】国枝史郎「レモンの花の咲く丘へ」：近隣の人々は、あの小城の下の海には、つがいの鴛鴦（おしどり）がいつも浮いていると云いふらしましたくらい。

おしぼり

お絞り・御絞

一本、一枚

おしめ

襁褓・御湿 [→ おむつ]

一枚

おじゅう

お重・御重

⇒ 重箱

おしるこ

お汁粉

⇒ 汁粉

おしんこ

お新香・御新香 [→ 漬け物]

一枚、一片、一切（きれ）、一本、一株、一樽

※ 種類によって様々です。

おすいもの

お吸い物・お吸物

⇒ 吸物

おすし

お鮨・お鮓・お寿司

⇒ すし

おせじ

お世辞

一つ

作品を見る

【参考】石川啄木「赤痢」：他所者（たしょもの）というが第一、加之（それに）、頑固（いっこく）で、片意地で、お世辞一つ言わぬ性（たち）なもんだから、兎角村人に親（したし）みが薄い。
【参考】永井荷風「申訳」：今の世の中にはあのようなものが芸術家を以て目せられるのも自然の趨勢であると思ったので、面晤（めんご）する場合には世辞の一ツも言える位にはなっている。
【参考】三遊亭円朝「世辞屋」：何（ど）うも私（あたし）は性来（うまれつき）お世辞（せじ）がないんですよ、だもんだからお母（っか）さんが、手前（てめえ）の様（よう）に無人相（ぶにんそう）じゃア好（よ）いお客は来（き）やしないから世辞（せじ）を買って来（こ）いと、小言（こごと）を云（い）われたので態々（わざ／″＼）買いに来（き）たんです、何（ど）うか私（あたし）に宜（よ）さそうな世辞（せじ）があるなら二ツ三ツ見せて下さいな。
【参考】三遊亭円朝「世辞屋」：表（おもて）を通（とお）る女子達（おなごたち）は皆（みな）立留（たちどま）る位（くらい）のもんで、斯（こ）ういう珠揃（たまぞろい）のお方々（かた／″＼）が居（い）て世辞（せじ）を商（あきな）いして居（い）らっしやる処（ところ）へ買（かい）に来（き）ましたのは手前共（てまいども）の仕合（しあわせ）で、世辞（せじ）の好（よ）いのがありましたら二三個（ふたつみつ）頂戴（ちょうだい）しましょうか。

おせちりょうり

おせち料理・御節料理 [→ 重箱]

一品、一段、一重（かさね）、一の重・二の重・三の重・与の重・五の重 … … [重箱に詰めて]

おせろげーむ

オセロゲーム [の試合・対戦]

一局、一番、一回

オセロゲーム [の駒]

一枚、一個

オセロゲーム [の盤]

一面、一枚

【知識】「オセロ」は登録商標。世界的には「リバーシ (Reversi) 」として知られる。この大会を扱ったNHKのニュース（2013年8月25日）では、見出しで「小学生のボードゲーム大会」とし、記事内では「白と黒の石を使ったボードゲームの大会が」と紹介され、「オセロ」という言葉は使われていなかった。

おぜん

お膳 [→ 膳]

一膳、一人前

作品を見る

【参考】小山内薫「因果」：相変らず旅廻りをしながら、不図（ふと）或（ある）宿屋へ着くと、婢女（じょちゅう）が、二枚の座蒲団を出したり、お膳を二人前据（す）えたりなどするので「己（おれ）一人だよ」と注意をすると、婢女（じょちゅう）は妙な顔をして、「お連様（つれさま）は」というのであった、

おそうざい

お総菜

⇒ 総菜

おそなえ

お供え

⇒ 供え餅　 ⇒ 鏡餅

おそなえもち

お供え餅

⇒ 供え餅　 ⇒ 鏡餅

おたまじゃくし

オタマジャクシ [蛙の子]

一匹・一疋

おたまじゃくし

お玉杓子 [→ レードル、→ 杓子]

一本、一柄（へい・え・から）

おちば

落ち葉

一枚（まい・ひら）、一葉（よう・は）、一片（ひら・へん）

作品を見る

【参考】石川啄木「閑天地」：或時は満天煙の如く潮曇りして、重々しき風と共に窓硝子うつ落葉の二片三片もうら悲しく、旅心漫に寂寥を極めて孤座紙（こざかみ）に対するに堪へず、
【参考】横瀬夜雨「花守」：尋常人に無意味なる落葉一片も、彼は清唳なくして之を看過する能はず、

おちゃ

お茶

⇒ 茶

おちゃづけ

お茶漬け

⇒ 茶漬け

おちゃわん

お茶碗

⇒ 茶椀

おちゅうげん

お中元 [贈答習慣で] [→ 中元]

一個、一品、一包（つつみ）、一提（さげ）・一下（さげ） [訪問する様で]、一件 [取り扱う商品で]

おちょうもく

御鳥目・お鳥目

⇒ 鳥目（ちょうもく）　⇒ 銭

おちょこ

お猪口・御猪口 [→ 猪口、→ 杯・盃]

一個、一つ、一口（こう・く・くち）、一杯 [飲む]、一組 [五個など複数で]

※ 文化財では一口（く）という表現が見られる。

作品を見る

【参考】正岡容「下町歳事記」：お猪口一つ持って行きさえすれば、墨堤十里、あっちでさゝれ、こっちでさゝれ、随分いい心持ちによっぱらってお花見ができたものですよ、あなた

おつくり

お作り・お造り・御作り・御造り

⇒ 刺身

【知識】「御作り」は、「化粧」を丁寧に言う女性語でもある。

【知識】「化粧」に関する作品を見る

【参考】夏目漱石「夢十夜」：芸者が出た。まだ御化粧（おつくり）をしていない。島田の根が緩（ゆる）んで、何だか頭に締（しま）りがない。
【参考】三宅花圃「藪の鶯」：女「オヤきれいにおつくりが出来ましたネ。たばこの火を持ってきました」と十のうを片手にもって。
【参考】平出修「畜生道」：それに比べると、あのけばけばしいおつくりをして、男の様な足取であるきまはつて居た女優の方が、ずうと人目を惹く、
【参考】田澤稲舟「五大堂」： ……オヤ／＼大変美しくおつくりができましたね、丸で粉なやの盗（どろぼう）のやうですよ、

おつけ

お付け・御付け・御付 [→ 味噌汁]

一杯、一椀・一碗（わん）、一口、一啜（すす）り [飲む様]

おっとせい

オットセイ・膃肭臍 [→ 動物]

一頭、一匹・一疋、一群（むれ・ぐん）

作品を見る

【参考】北原白秋「フレップ・トリップ」：
飛沫（ひまつ）、
飛沫をあげ、
飛沫をあげ、
飛沫をあげあげ、
すばらしい海獣の群、膃肭獣（おっとせい）の成牡（ブル）の水雷、黒褐の無数の肉弾。
千頭、二千頭、三千頭、五千頭、

おっとまん

オットマン [→ 椅子]

一脚、一台、一本、一個

おてあらい

お手洗い [→ 便所、→ トイレ、→ 厠、→ 便器]

一箇所（一か所・一カ所）、一つ、一室、一棟、一基 [特に公衆や仮設などで]

おてだま

お手玉・御手玉

一個、一玉、一組 [1組の袋の数は5個、7個、9個など]

おてふき

お手拭き・御手拭

一枚

おてら

お寺

⇒ 寺

おどう

お堂

⇒ 堂

おとしだま

お年玉

一封（ふう）、一包（つつみ）

おとしぶた

落としぶた・落とし蓋

一枚

おどり

踊り [→ 舞、→ ダンス]

一曲、一番、一差（さし）、一手、一踊り

作品を見る

【参考】織田作之助「それでも私は行く」：そして、わざと小郷の肩に手を掛けながら、「ねえ、もう一曲踊りましょうよ」「うん」小郷はしぶしぶうなずいた。
【参考】中島敦「南島譚夫婦」：何しろ脚が一つ出来たといっては皆を集めて一踊り祝の踊をし、表面が巧く削れたといっては又一踊りするので、仲々はかが行かない。
【参考】泉鏡花「唄立山心中一曲」：小児（こども）に飴菓子（あめがし）を売って一手（ひとて）踊ったり、唄ったり、と同じ格で、ものは違っても家業の愛想――盛場（さかりば）の吉原にさえ、茶屋小屋のおかっぱお莨盆（たばこぼん）に飴を売って、爺（じじ）やあっち、婆（ばば）やこっち、おんじゃらこっちりこ、ぱあぱあと、鳴物入で鮹（たこ）とおかめの小人形を踊らせた、おん爺（じい）があったとか。

おながどり

オナガドリ・尾長鶏

一羽（わ）、一匹・一疋、一番（つがい）

おなら

おなら [→ 屁、→ 放屁]

一発、一回、一つ、一放ち

作品を見る

【参考】坂口安吾「ニューフェイス」：ツウさんは腸が悪いから五分に一発ぐらいずつ大きな屁をたれる。そのとき笑っちゃいけないよ。
【参考】夢野久作「豚吉とヒョロ子」：「アア。やっとこれで安心した。ドレ、ここで一発放そうか」と云ううちに、大きなオナラを一つブーッとやりました。
【参考】織田作之助「猿飛佐助」：忍術には屁の音は要らぬものじゃが、放屁走尿の束の間にも、夢幻の術を行うという所を見せるために、わざと一発放ってみたのじゃ
【参考】坂口安吾「お奈良さま」：一分間に一ツずつ一時間オナラを連発せしめる作業の方が楽だということである。

おに

鬼

一匹・一疋、一人（り／たり・にん）、一頭（ず）

※「匹・疋」は邪悪な状態で、「人」は人間味を帯びて使うことが多い。

【知識】「頭」は、『案内者（寛文2年・1622年）』に出てくる「鬼神」の件で、「方丈の穴に住みける二頭（ず）の鬼神（きじん）、都へ乱（みだれ）いらんとしけるを」と見られる。

作品を見る

【参考】芥川龍之介「杜子春」：「この男の父母（ちちはは）は、畜生道（ちくしょうどう）に落ちている筈だから、早速ここへ引き立てて来い」と、一匹の鬼に言いつけました。
【参考】太宰治「犯人」：世間の者どもは全部、力を集中してこの鬼一匹を追い廻しているのだ。
【参考】海野十三「鬼仏洞事件」：横へ長い三十畳ばかりのこの部屋には、中央に貴人（きじん）の寝台（しんだい）があり、蒼（あお）い顔をした貴人が今や息を引取ろうとしていると、その周囲にきらびやかな僧衣に身を固めた青鬼赤鬼およそ十四五匹が、臨終（りんじゅう）の貴人に対して合掌（がっしょう）しているという群像だった。
【参考】田中貢太郎「地獄の使」：老婆はふらふらと起ち昇（あが）って、顫う手に行灯を持った。青鬼と赤鬼の二疋は、胴を屈めるようにしてあがった。老婆は鬼に近寄られないようにと背後（うしろ）向きに引きさがった。そして、仏壇のある室まで往くと、老婆はべたりと坐ってしまった。二疋の鬼もそのまま其処へ衝立った。
【参考】宮沢賢治「ひかりの素足」：一人の鬼がいきなり泣いてその人の前にひざまづきました。

おにいとまきえい

オニイトマキエイ [マンタ] [→ 魚]

一匹・一疋、一尾

おにがみ

鬼神

⇒ 鬼神（きしん・きじん）

おにがわら

鬼瓦 [→ 瓦]

一枚

おにぎり

お握り [→ お結び、→ 握り飯]

一個、一つ、一握（にぎり）

おね

尾根 [→ 稜線]

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

おの

斧

一挺［一丁］（ちょう）、一本、一柄（へい・え・から・つか）

※ 文化財では一柄という表現が見られる。

作品を見る

【参考】泉鏡花「茸の舞姫」：般若は一挺（ちょう）の斧（おの）を提げ、天狗は注連（しめ）結いたる半弓に矢を取添え、狐は腰に一口（ひとふり）の太刀を佩（は）く。
【参考】泉鏡花「竜潭譚」：おじは一挺（いっちょう）の斧（おの）を腰にしたり。
【参考】中里介山「大菩薩峠安房の国の巻」：さあ、帆柱を叩き切るんだ、帆柱を。斧を持って来い、斧を二三挺持って来い。それから、苫（とま）と筵（むしろ）をいくらでもさらって来い、そうして、左っ手の垣根から船縁（ふなべり）をすっかり結（ゆわ）いちまえ、いよいよの最後だ、帆柱を切っちまうんだ
【参考】久生十蘭「手紙」：ケクワのプラウは、二十人から三十人も乗る戦争の丸木舟ばかりですので、腕三つ分、約五メートルの舟と、檣を一本こしらえてもらうようにたのみ、斧一梃、赤木綿二反、カナカナ煙草五束、新聞紙六枚の値段にきめました。
【参考】宮沢賢治「春と修羅第二集」：
　そのいちいちの曲り目には
　藪もぼんやりけむってゐる
　一梃の銀の手斧が
　水のなかだかまぶたのなかだか
　ひどくひかってゆれてゐる

おぱーる

オパール [→ 宝石]

一個、一粒、一石（せき）[主に指輪などに配されて]、一玉、一顆（か）、一カラット [単位]

作品を見る

【参考】エドガー・アラン・ポー　佐々木直次郎訳「黄金虫」：金剛石（ダイヤモンド）は――そのなかにはとても大きい立派なものもあったが――みんなで百十個あり、小さいのは一つもない。すばらしい光輝をはなつ紅玉（ルビー）が十八個、緑柱玉（エメラルド）が三百十個、これはみなきわめて美しい。青玉（サファイア）が二十一個と、蛋白石（オパール）が一個。

おはか

お墓

⇒ 墓

おはぎ

お萩・御萩 [→ 牡丹餅]

一個、一つ

作品を見る

【参考】与謝野晶子「私の生い立ち」：毛布（けっと）の上へ草履を脱いで上った私達は、お重の中のお萩（はぎ）をお皿なしに箸で一つ一つ摘んで食べようとしました。
【参考】林芙美子「絵本」：お婆さんは匙を持ったなりで立って行って狭い玄関をあけた。巡査の若いお神さんがおはぎを二つほど皿へ入れて持って来た。

おばけ

お化け [→ 化け物、→ 幽霊、→ 妖怪、→ ゾンビ]

一人（り／たり・にん） [人の状態で]、一匹・一疋

おばけやしき

お化け屋敷

一軒、一棟（むね・とう）

おはし

お箸

⇒ 箸

おはじき

お弾き・御弾き・御弾

一個、一箱、一袋

おばな

尾花 [→ 薄・芒、→ 植物]

一本、一株、一穂（すい・ほ）、一群・一叢（むら・そう）・一簇（むら・そう）

作品を見る

【参考】泉鏡花「ピストルの使い方 ――（前題――楊弓）」：彼処（かしこ）に、尾花が十穂（とほ）ばかり、例のおなじような兀（は）げた丘の腹に、小草（おぐさ）もないのに、すっきりと一輪咲いて、丈も高く莟（つぼみ）さえある……その竜胆を、島田髷のその振袖、繻珍（しゅちん）の帯を矢の字にしたのが、弱腰を嫋（しな）やかに、白い指をそらして折って取った。

おばね

尾羽 [→ 矢羽根、→ 羽、→ 尾]

一尻（しり）・一鳥（とり） [一羽分の尾羽]、一枚、一本

【知識】『吾妻鏡』（鎌倉時代末期、1300年頃の歴史書）に、「鷹の羽百尻」などという表現で、平泉の藤原基衡が京都の仏師雲慶に仏像の制作を依頼した際に報酬として贈ったもの一つとして「尾羽」が出てくる。

【知識】鷲・鷹・雉・山鳥などの尾羽が矢羽根として用いられ、取り分け鷲の尾羽が珍重された。

【知識】「一尻（ひとしり）」は、大鷲で14枚、小鷲で12枚、鷹で10枚とされ、鷹の尾羽10枚は「一鳥（ひととり）」とも。

作品を見る

【参考】作者不詳「義経記」：秀衡を秀衡と思はん者は吉次に引手物せよ」と申しければ、嫡子泰衡白皮百枚、鷲の羽百尻、良き馬三疋、白鞍置きて取らせける。二男忠衡も是に劣らず、引出物しけり。
【参考】喜田貞吉「奥州における御館藤原氏」：基衡が毛越寺を営むや、丈六薬師仏ならびに十二神将の彫刻を、当時の京都の仏師雲慶（運慶とは別人、かつて『歴史地理』上運慶と書いたのは誤植なり）に依頼した。この時雲慶はこの田舎の富豪を馬鹿にして、非常なる貪り方を行ったものであった。『吾妻鏡』によると、
此本尊造立間、基衡乞二支度於仏師雲慶一。雲慶注‐二出上中下之三品一。基衡令レ領‐二状中品一、運二功物於仏師一。所謂円金百両、鷲羽百尻、七間間中径水豹皮六十余枚、安達絹千疋、希婦細布二千端、糠部駿馬五十疋、白布三千端、信夫毛地摺千端也。此外副二山海珍物一也。三箇年終レ功之程、上下向夫課駄、山道海道之間、片時無レ絶。又称二別禄一、生美スズシ絹積二船三艘一送之処、仏師抃躍之余、戯論云、雖二喜悦無一レ極、猶練絹大切也云云。使者奔帰、語二此由一。基衡悔驚、亦積二練絹於船三艘一送遣訖。
とある。
【参考】和辻哲郎「古寺巡礼」：法隆寺のものでは、金堂の天蓋（てんがい）から取りおろしてこの室に列べられた鳳凰（ほうおう）や天人が特に興味の深いものである。鳳凰は大きい三枚の尾羽をうしろに高くあげて、今飛びおりたばかりの姿勢を保っているが、その尾羽のはがねのように堅そうな、それでいて鳥の羽らしく柔らかそうな感じは、全く独特である。

おび

帯 [→ 丸帯、→ 角帯、→ 兵児帯、→ 石帯]

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一枚、一腰（こし）

※ 文化財では一条という表現が見られる。

【知識】「所遺物文書一結并屏風面・手作布六段・帯二腰・櫛一束」（小右記　天元元年（978）〜長元5年（1032））

作品を見る

【参考】夏目漱石「永日小品」：繻珍（しゅちん）の丸帯が一本ですね、——丸帯と云うのは何ですか、丸帯と書いておけば解るですか、そう、それでは繻珍の丸帯が一本と、それから……
【参考】『誹風柳多留四十八編』：
一筋は夏〆切った眞田帯
　畔道（文化六年・1809年） []
【参考】夏目漱石「吾輩は猫である」：「帯までとって行ったのか、苛（ひど）い奴だ。それじゃ帯から書き付けてやろう。帯はどんな帯だ」
「どんな帯って、そんなに何本もあるもんですか、黒繻子（くろじゅす）と縮緬（ちりめん）の腹合せの帯です」
「黒繻子と縮緬の腹合せの帯一筋――価（あたい）はいくらくらいだ」
「六円くらいでしょう」
「生意気に高い帯をしめてるな。今度から一円五十銭くらいのにしておけ」
【参考】夏目漱石「永日小品」：ところどころ縞（しま）の消えかかった着物の上に、細帯を一筋巻いたなりで、乏（とも）しい髪を、大きな櫛（くし）のまわりに巻きつけて、茫然（ぼんやり）と、枝を透（す）かした梧桐の頂辺（てっぺん）を見たまま立っている。
【参考】石川啄木「天鵞絨」：衣服といっても唯（たった）六七枚、帶も二筋、娘心には色々と不滿があって、
【参考】原勝郎「東山時代における一縉紳の生活」：この音一これが翌永正四年五月、西国での文芸の保護者なる大内家をたよって周防に下向したが、その出発の際には、実隆より餞別として帯三筋、三位局と、新大納言典侍から帯各一筋、上﨟局から白帷一を送ったので、音一は祝着の体で出発したのである。

おびあげ

帯揚げ

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一枚

おびじ

帯地

一本、一巻、一枚、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

作品を見る

【参考】島崎藤村「夜明け前第二部下」：すでに結納（ゆいのう）のしるしまでも受け取ってある。それは帯地一巻持参したいところであるが、間に合いかねるからと言って、白無垢（しろむく）一反、それに酒の差樽（さしだる）一荷（か）を祝って来てある。
【参考】豊島与志雄「好人物」：あの人は菊ちゃんに帯地を一巻くれた。わたしに内緒のつもりではあるまいが、わたしのいないところでくれたのである。

おびじめ

帯締め・帯締

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

おひつ

お櫃

⇒ 櫃

おびどめ

帯留め・帯止め・帯留・帯止

一本・一筋（すじ）・一条（すじ・じょう） [平打紐で]、一個 [平打紐に付ける装飾品で]

作品を見る

【参考】宮本百合子「婦人の創造力」：当時の婦人作家を集めて『文芸倶楽部』が特輯号を出していますが、そのお礼には何を上げたかというと、簪（かんざし）一本とか、半襟一掛とか帯留一本とかいうお礼の仕方をしています。

おひなさま

おひな様・お雛様

⇒ 雛人形

おびのこ・おびのこぎり

帯鋸 [→ 鋸]

一挺［一丁］（ちょう）

おふぃす

オフィス [→ 事務所、→ 会社]

一つ、一箇所（一か所・一カ所）、一軒、一棟（むね・とう）

※ 「軒」「棟」は建物として見た場合。

おふだ

お札・御札 [→ お守り]

一枚、一体

【知識】寺社では「一体」「二体」と数え、一般には「枚」で数えられる。

作品を見る

【参考】夏目漱石「草枕」：娘に霊厳寺（れいがんじ）の御札（おふだ）を一枚もらってきておくれなさい
【参考】島崎藤村「夜明け前　第一部上」：福島の役人たちが湯舟沢村の方へ引き揚げて行った後で、「お叱り」のものの赦免せられるようにと、不幸な村民のために一同お日待（ひまち）をつとめた。その時のお札は一枚ずつ村じゅうへ配当した。
【参考】豊島与志雄「蔵の二階」：白木家の長命なお婆さんが、巣鴨のとげぬき地蔵様をたいへん信仰して、そのお札を一万枚、供養のため、両国橋の上から大川に流したことがある。

おぶらーと

オブラート

一枚、一箱

おふれ

お触れ・御触れ・御触

一枚、一葉（よう）・一片・一通

おふろ

お風呂

⇒ 風呂桶

おぺら

オペラ [の戯曲・脚本・台本・作品]

一本、一作、一作品

オペラ [の構成・区切り]

一幕（まく）、一場（ば）、一景

オペラ [の上演・公演回数]

一回、一本、一度、一公演

おぺらぐらす

オペラグラス [→ 双眼鏡]

一台、一面、一つ、一個

おべんとう

お弁当

⇒ 弁当

おぼえがき

覚書・覚え書き

一通、一枚、一葉（よう）

※ 文化財では一通という表現が見られる。

作品を見る

【参考】島崎藤村「夜明け前第二部上」：儀十郎はついと座を立って、別の部屋の方から一通の覚え書きを取り出して来た。

おぼん

お盆 [→ 盆、→ 折敷]

一枚、一面、一組、一基、一合（ごう）、一具（ぐ）

※ 文化財では形によって一枚、一面、一基、一合、一具という表現が見られる。

おまーるえび

オマールエビ・オマール海老・オマール蝦 [→ エビ・海老、→ 魚介類]

一匹・一疋、一尾、一本

おまっちゃ

お抹茶・御抹茶

⇒ 抹茶

おまもり

お守り・御守り・御守 [→ 護符・御符]

一枚、一個、一体、一尊（そん）

【知識】寺社では「一体」「二体」と数え、一般には、素材や形によって「枚」や「個」などで数えられる。お守りは護符であることが多いが、石や木片、貝殻など様々な物が使われ、数え方も物に合わせて「片」「本」なども使われる。石川県金沢市の一部などでは、一本のとうもろこしを軒先に吊るし商売繁盛を祈ったりする風習が見られる。

お守りの「とうもろこし」

作品を見る

【参考】島崎藤村「家（下）」：三吉から出した手紙だ。家の方へ送らずに、店に宛てて寄（よこ）すとは。不思議に思いながら、開けて見ると、内には手紙も無くて、水天宮の護符（まもりふだ）が一枚入れてあった。
【参考】宮原晃一郎「豆小僧の冒険」：豆和尚さんは、待てと言って、四枚のお守札を出して渡しました。

おみき

神酒・お神酒・御神酒・大神酒

⇒ 神酒・御酒（みき）

おみくじ

お神籤・御神籤

一本

おみこし

お神輿・御神輿

⇒ 御輿（みこし）

おみそ

お味噌

⇒ 味噌

おみやげ

お土産

⇒ 土産

おむすび

お結び [→ お握り、→ 握り飯]

一個、一つ、一握（にぎり）

おむつ

お襁褓・御襁褓 [→ 襁褓（むつき）、→ おしめ]

一枚

作品を見る

【参考】小熊秀雄「小熊秀雄全集-13 詩集（12）その他の詩篇」：

或る女流作家に与ふ

貴女は
なまじつか人生の外塀を
手探りでまねる
小ざかしさを知つてゐるために
軽蔑すべきことをしてゐる
軽蔑すべきことは
あゝ、小説なるものを
つくる術を知つたことだ
それから怖ろしいことが起つた
子供と亭主を捨てゝしまつたことだ
結局あなたは
階級闘争は知つてゐても
男の心を知らなかつたのさ

後悔の月はのぼつてゐるが
雲の乗物が迎へにやつてこない
真夜中の目覚めに
貴女の鼻水は
多少はすすられたにちがひない
しかし涎と鼻水とで
つなげる愛は
新婚三ヶ月位の間だけだらう
貴女がオムツの数を
千枚もとりかへて育てた子供は
今年中学の試験を受けた筈だ

おむれつ

オムレツ

一枚、一皿、一丁 [→ 料理]

おめん

お面

⇒ 面

おもがい

面繋・面懸・羈・面掛 [→ 馬具]

一掛・一懸（かけ）一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一具（ぐ）

※ 文化財では一懸という表現が見られる。

おもだか

オモダカ・沢瀉・面高 [→ 草]

おもち

お餅

⇒ 餅

おもちゃ

おもちゃ・オモチャ、玩具 [→ がんぐ]

一個、一台、一枚、一体、一機、一つ、一点

※ 形などによって様々です。

作品を見る

【参考】夢野久作「奇妙な遠眼鏡」：「今日は三人に一つずつオモチャを買ってやるから、何でもいいものを云ってみろ」と云われました。
【参考】牧逸馬「チャアリイは何処にいる」：そのボウトと並んで、離れないように強い糸で縛った、一隻の玩具（おもちゃ）の小舟が浮かんでいた。

おもて

面 [→ めん]

一枚、一面（おもて・めん）、一頭（かしら）

※ 文化財では一面という表現が見られる。

作品を見る

【参考】国枝史郎「神州纐纈城」：五十面（めん）、百面、百五十面、二百面近くの面（おもて）が出来た。

おもり

重り・錘 [→ 分銅]

一個

おやしらず	親知らず [→ 歯]	一本、一枚、一歯 [歯科専門的に]
おやしらず	作品を見る【参考】宮本百合子「獄中への手紙一九三八年（昭和十三年）」：きのう歯の医者へ行ってしらべて貰ったら比較的良質の歯だそうです。いろいろ大した手当は不用で、左の下の奥が親知らずを入れて二本だめになっている、それを多分抜くでしょう。
おらんうーたん	オランウータン [→ 動物]	一頭、一匹・一疋
おり	折	一折（おり）、一箱、一合（ごう）
	【知識】『貞丈雑記（天保14年 [1843年] ）』に「折一合と云うはニつの事なり、と心得たる人有り。あやまりなり。一つの事なり。すべて箱物をば、一合・ニ合と云うなり。唐櫃なども一合・ニ合と云い、一つ・ニつの事なり。「合」は「盒」の略字なり。盒は「はこ」と云う字なり。」と見られる。
	作品を見る【参考】「飯尾宅御成記寛正7年〈1466〉（群書類従より）」：　一　当日まくや柳。五荷。折。二合。〈まんじゅう。のし鮑〉。折二尺五寸四方。　一　折十合。柳代二千疋。【参考】近松門左衛門作（正徳5年〈1715〉初演の浄瑠璃）「国性爺合戦（こくせんやかっせん）」：呉将軍（ごしょうぐん）甘輝（かんき）菓（くだ）物入たる花折一合取出し、呉三桂（ごさんけい）の奇計（きけい）尤に候、又某が鰈、かくの如く折籠（おりかご）二三合も拵（こしらえ）、様々の菓子（かし）餉（かれいい）酒肴（さかな）したヽめ、
おり	檻 [→ ケージ]	一基、一台
おりーぶ	オリーブ	一粒、一本、一株
おりーぶおいる・おりーぶゆ	オリーブオイル・オリーブ油	一瓶、一缶（かん）、一滴、一匙、一垂（たらし）
おりがみ	折り紙・折紙 [遊具で]	一枚、一袋、一パック
おりがみ	折紙 [古文書で]	一紙、一枚、一通
おりき	織機 [→ 織機(しょっき)]	一台、一基
おりたたみいす	折り畳み椅子・折りたたみ椅子	一脚、一台、一本、一個
おりたたみいす	折り畳み椅子・折りたたみ椅子	作品を見る【参考】鶴岡雄二「45回転の夏第１章　ローラーコースター、１９６６年」：　窓際のステレオのまえにおかれた、数脚の折り畳みイスには、だれも坐っていない。ステレオからは、ＡＭ放送の歌謡曲が聴こえてくる。
おりたたみすてーじ	折り畳みステージ・折りたたみステージ	一台
おりたたみてーぶる	折り畳みテーブル・折りたたみテーブル	一脚、一卓、一台
おりたたみながづくえ	折り畳み長机・折りたたみ長机	一脚、一台、一本、一枚 [折りたたんで]
おりちょう	折丁・折り丁 [→ 書籍]	一折
おりづめ	折詰・折詰め・折り詰め [→ 折（おり）]	一折（おり）、一個、一包（つつみ）、一箱、一合（ごう）、一重（かさね・じゅう）、一人前、一本
おりづめ	作品を見る【参考】泉鏡花「高野聖」：名古屋では正午（ひる）だったから、飯に一折の鮨（すし）を買った。【参考】井上円了「迷信解」：些少（さしょう）ながら、席料の代わりに謝金を包みて床の間の上に置けり。また、別に残肴を入れたる折二箱あり。請う、晩酌の助けとせよ【参考】坂口安吾「明治開化　安吾捕物　その二十　トンビ男」：当日魚銀が才川家へおさめたものは料理の折ヅメ十四人前。タケノコメシが五升。十二時十分前におさめた。つまり昼メシだ。【参考】坂口安吾「明治開化　安吾捕物　その二十　トンビ男」：主人平作もいれてタケノコメシに集る血族十二名。折ヅメの十四ひく十二は二。「すると坊さんはお二人ですな」「そんなムダなことはオレが大反対だ。お布施とタケノコメシはオレが一人で充分に間に合う」「折ヅメは十四本。一本あまりますが」
おりづる	折り鶴・折鶴	一羽、一連、一束
おりばこ	折箱・折り箱 [→ 折（おり）]	一折（おり）、一箱、一合（ごう）
おりびつ	折櫃 [→ 折（おり）]	一合（ごう）
おりほん	折本・折り本 [→ 書籍]	一帖
おりめ	折り目 [→ 襞、→ プリーツ]	一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）
おりもの	織物 [→ 反物]	一反・一端（たん）、一疋・一匹（ひき）[二反つづきで]、一才（さい） [一才は一平方フィート（約92平方cm）]、一巻
	【知識】『言継卿記（ときつぐきょうき）（弘治三年〈1557年〉二月廿一日）』「阿茶々に織物小袖等到、又隼人に三十疋、与二郎、与三郎等に二十疋宛、又二郎に十疋等被遣之、」
	作品を見る【参考】吉川英治「私本太平記　あしかが帖」：「負けたわっ」と叫んで、女房桟敷の方へ、唐織物一巻（ひとまき）を投げていた。それが宙で解けて、女房たちの手の上で虹を描いたので、わっと、人々が囃（はや）したりした。
おりん	お鈴	⇒ 鈴・錀 [仏具の]
おるがん	オルガン [→ パイプオルガン、→ ピアノ、→ 楽器]	一台
	オルガン [の鍵盤]	一枚、一面
	オルガン [の鍵盤のキー]	一鍵、一本
	作品を見る【参考】芥川龍之介「死後」：横町の角の飾（かざ）り窓にはオルガンが一台据（す）えてあった。
おるごーる	オルゴール	一台、一式
おろしがね	おろし金・下ろし金・卸し金	一挺［一丁］（ちょう）、一枚、一本
おわん	お椀・お碗 [→ 椀]	一個、一客、一口（こう・く・くち）、一組、一人前
おわん	【知識】「一客」は、主に接客や特別な機会のために用意したもので。 ※ 文化財では一口（く）、一客という表現が見られる。
おんえあ	オンエア [on air]	一回、一度
おんえあ	【知識】ラジオ・テレビの放送でオンジエア（on the air）のこと。放送中、もしくは放送することを指す。
おんかい	音階	一音（おん）、一つ
おんがく	音楽	一曲
おんきょうせつび	音響設備	一式
おんきょうそうち	音響装置	一式
おんこう	音孔 [→ 笛、→ 楽器]	一穴（けつ）、一孔（こう）
	【知識】「音孔」は、笛に開けられた音の高さを変えるための穴。トーンホール、指穴（ゆびあな）とも。
	作品を見る【参考】川上眉山「団円」：此度は待宵自ら、三十五絃の瑶琴（たまごと）を弾ずれば、時期仙（じきせん）は十八孔（こう）の玉笛を鳴らして、雲井の塵を動かす中に、【参考】寺田寅彦「日本楽器の名称」：またポーランドのピスチャルカと称するものは六孔の縦吹きのした笛であるが、この品物自身もその名前とともにヒチリキに類するのが不思議である。
おんさ	音叉 [→ 楽器]	一本
おんしつ	温室	一棟（むね・とう）、一基、一台、一部屋、一室
おんしつ	作品を見る【参考】宮本百合子「二つの庭」：ぐるりが畑の真中に、突然畑でない地面が四角く開いて、その垣根も何もないところにかなり大きい一棟の温室と、すこし離れて住居が建っていた。
おんしん	音信 [→ 便り]	一通、一本、一封、一札（さつ）、一書、一枚、一葉（よう）、一片
おんしん	作品を見る【参考】林芙美子「新版　放浪記」：叔母さんが障子を叩きながら呶鳴（どな）っている。私は舌打ちをすると、妙に重々しく頭の下に両手を入れて、今さら重大な事を考えたけれど、涙が出るばかりだった。母の音信一通。たとえ五十銭でもいいから送ってくれ、私はリュウマチで困っている。この家にお前とお父さんが早く帰って来るのを、楽しみに待っている。お父さんの方も思わしくないと云うたよりだし、お前のくらし向きも思う程でないと聞くと生きているのが辛いのです。――たどたどしいカナ文字の手紙である。【参考】夏目漱石「門」：細君の云うところによると、彼は郷里へ帰ってから当日に至るまで、一片の音信さえ下宿へは出さなかったのである。宗助は案外な思で自分の下宿へ帰って来た。【参考】吉川英治「私本太平記　あしかが帖」：先年、渡良瀬河原にて、主従、西と東に裂かれて以来、一片の音信だに交（か）わせず、今日にいたり、今は、寸時も早くお目にかかりとう存じまする。
おんせん	温泉 [→ 湯治場]	一箇所（一か所・一カ所）、一湯（とう・ゆ）、一つ
おんせん	作品を見る【参考】三遊亭圓朝鈴木行三校訂・編纂「名人長二」：温泉は川岸から湧出（わきだ）しまして、石垣で積上げてある所を惣湯（そうゆ）と申しますが、追々開（ひら）けて、当今は河中（かわなか）の湯、河下（かわしも）の湯、儘根（まゝね）の湯、下（しも）の湯、南岸（みなみぎし）の湯、川原（かわら）の湯、薬師（やくし）の湯と七湯（しちとう）に分れて、内湯を引いた宿が多くなりました。
おんぞうこ	温蔵庫 [→ 冷蔵庫、→ 熱蔵庫]	一台、一基 [大型のもの] 、一棟（むね・とう） [建物で]
おんてい	音程	一度
おんどけい	温度計	一本、一台
おんなぐるま	女車 [→ 女房車]	⇒ 牛車
おんなぐるま	作品を見る【参考】吉川英治「私本太平記　世の辻の帖」：主殿（しゅでん）の中門廊のほとりに、廊の欄（らん）へ寄せて、牛を外（はず）した一輛（りょう）の女車がすえられてあり、ややはなれた所には、供の人々であろうか、ひれ伏した人影が、すべて声もなく、地へ滅入（めい）りこみそうにじっとしていた。
おんばん	音盤 [→ レコード]	一枚、一面、一曲 [記録された曲数]
おんばん	作品を見る【参考】正岡容「随筆寄席囃子」：たった一枚、わが愛蔵の音盤はとっちりとんの「あひるの卵」。
おんらいんしりょう	オンライン資料 [→ PDFファイル]	一件、一ページ [PDFファイルなどで]

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