ものの数え方・助数詞【た行−ち】【みんなの知識ちょっと便利帳】

= ち =

ち

もの

数え方

ち

血 [→ 生き血・生血]

一滴、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一雫（しずく）、一抹

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【参考】夏目漱石「草枕」：真夜中の甲板（かんぱん）に帆綱を枕にして横（よこた）わりたる、男の記憶には、かの瞬時、熱き一滴の血に似たる瞬時、女の手を確（しか）と把（と）りたる瞬時が大濤（おおなみ）のごとくに揺れる。
【参考】石川啄木「二筋の血」：頬に流れて頸から胸に落ちた一筋の血が、いと生々しく目を射った。
【参考】菊池寛「忠直卿行状記」：しばらくすると、忠直卿の目の前に、病犬のように呆（ほう）けた与四郎の姿が現れた。数日来の心労に疲れたと見え、色が蒼ざめて、顔中にどことなく殺気が漂っている。そして、その瞳の中には、二筋も三筋も血を引いている。
【参考】泉鏡花「南地心中」：屋台が道頓堀を越す頃から、橋へかけて、列の中に、たらたら、たらたらと一雫（ひとしずく）ずつ、血が落ちていると云うのである。
【参考】寺田寅彦「自由画稿」：映画の皿の中の一抹（いちまつ）の血を見てはじめてわかったような気もするのであった。

ちーず

チーズ

一個、一本、一塊（かたまり）、一枚、一切（きれ）、一片、一箱

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【参考】林芙美子「晩菊」：紙の焼ける匂いを消す為に、きんは薄く切ったチーズの一切れを火にくべた。
【参考】ナサニエル・ホーソン　三宅幾三郎訳「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」：テイブルのまん中には、黒パンの残りが置かれ、その一方には一きれのチーズ、他方には蜂蜜が一皿ありました。
【参考】ビクトル・ユーゴー　豊島与志雄訳「レ・ミゼラブル　第二部　コゼット」：ジャン・ヴァルジャンとフォーシュルヴァンとは、一杯の葡萄酒（ぶどうしゅ）と一片のチーズとを、よく燃える薪（まき）の火にあたりながら味わった。

ちーむ

チーム

一組、一つ、一チーム、一班、一クルー、一軍、一球団

【知識】「クルー」は、一つの作業を共同で行うチームのことで、例えばテレビなどでは撮影や取材の際に編成されるカメラ・音声・照明などのひとまとまりとして使われる。

【知識】「球団」は「野球団」の略で、野球を事業として行う職業野球の団体のこと。「球団」はプロ野球のチーム数を数える単位としても使われる。

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【参考】宮本百合子「工場労働者の生活について」：修理部　御用スポーツ　各職場6チームあり
【参考】中井正一「スポーツの美的要素」：力の均等したる二つのチームのシーソーゲームにおける肉薄と追撃は、まさしくこの二つの判断の力学的構造を、外的現象の上に具象化するものである。

ちぇあ

チェア [→ 椅子、→ 腰掛]

一脚、一台、一本、一個

ちぇーん

チェーン [→ 鎖]

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一連

ちぇーんすとあ

チェーンストア

一店、一店舗、一軒

ちぇーんそー

チェーンソー [→ 鋸]

一台

ちぇす

チェス

一局、一戦

チェス [の駒]

一個

ちぇすと

チェスト

一台、一本、一棹・一竿（さお）

【知識】「一棹・一竿」は、竹や木の棒を通して担ぐようにした長持や簞笥で使われるが、長持や簞笥と同じような形状の家具全般に使われることもある。また、家具店では、家具全般を「本」という数え方をすることがある。

ちえのわ

知恵の輪

一組、一セット

ちぇろ

チェロ [→ 楽器]

一挺［一丁］（ちょう）、一面、一本、一台

ちぇんばろ

チェンバロ [→ ハープシコード、→ 楽器]

一台

チェンバロ [の鍵盤]

一枚、一面

チェンバロ [の鍵盤のキー]

一鍵、一本

ちかてつ

地下鉄 [の車体] [→ 鉄道、→ バス]

一輛・一両、一台

地下鉄 [の運行便数]

一本、一便、一編成

地下鉄 [一本の車両数]

五輛編成など

地下鉄 [の路線]

一本、一路線、一系統

地下鉄 [の線路] [→ 線路]

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

ちかどう

地下道

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

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【参考】海野十三「人造人間の秘密」：そして階段をもう一階、上にのぼると、たいへんな力を出して、扉を押したおし、外へ出た。そこには一条（ひとすじ）のりっぱな地下道がついていた。

ちぎ

千木 [→ 鰹木]

一本

【知識】「千木」は、神社建築などで屋根のむねの端に交叉させて据え付けた木。


出雲大社(いずもおおやしろ)の「千木」「鰹木」


神魂神社(かもすじんじゃ)の「千木」「鰹木」神魂神社本殿は現存する最古の大社造建造物。国宝。

【参考】家紋になっている「千木」[ 拡大]

【参考】家紋になっている「千木堅魚木」[ 拡大]

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次の作品は、千木の数え方ではありませんが、千木が登場する参考作品として引用しました。

【参考】芥川龍之介「老いたる素戔嗚尊」：足名椎は彼等夫婦の為に、出雲（いづも）の須賀へ八広殿（やひろどの）を建てた。宮は千木（ちぎ）が天雲（あまぐも）に隠れる程大きな建築であつた。
【参考】国枝史郎「犬神娘」：その内側に立っている幾棟かの建物も、やはり厳めしく立派でした。でもそのうちの一棟が、とりわけ高く他の棟から抽（ぬき）んで、しかもその屋根に千木（ちぎ）を立て、社（やしろ）めいた造りに出来ているのが、不思議に思われてなりませんでした。

ちきゅうぎ

地球儀 [→ 月球儀、→ 天球儀]

一台、一基

※ 文化財では一基という表現が見られる。

ちくおんき

蓄音機 [→ レコードプレーヤー、→ 電蓄]

一台

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【参考】牧野信一「幽霊の出る宮殿」：そこにしまってあるわたしの蓄音機は、朝顔型のラッパのついたものと、円筒型の蝋管レコードを用うるものと二台もあった。

ちくかん

竹簡 [→ 木簡]

一枚、一片、一連、一点 [出土品で]

ちくでんち

蓄電池

一個、一台、一基

ちくふじん

竹夫人・竹婦人

⇒ 抱籠［だきかご］

【参考】

　天にあらば比翼の籠や竹婦人／蕪村

　片恋や夕冷え冷えと竹婦人／芥川龍之介

ちくりん

竹林 [→ 竹藪]

一群・一叢（むら・そう）・一簇（むら・そう）

ちくわ

竹輪

一本、一切（きれ）

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【参考】種田山頭火「其中日記（二）」：

今日の買物
一金拾三銭　　醤油二合其他
一金壱円　　　酒壱升
一金拾弐銭　　ゴマメ五十目
一金五銭　　　切干百目
一金七銭　　　バツト一個
一金四銭　　　なでしこ一袋
一金七銭　　　鰯一くぎり
一金五銭　　　竹輪一本
一金弐銭　　　しようが一ツ
一金四銭　　　酢一合

ちくわぶ

竹輪麩

一本、一切（きれ）

ちけいず

地形図 [→ 地図、→ 図]

一枚、一葉（よう）、一舗・一鋪（ほ・ふ・ふく）[一舗・一鋪は、「畳み物」とも呼ばれる、一枚の物を折り畳み、使う際に広げる地図などを数えるのに使われる]、一片、一点、一面

ちけっと

チケット [→ 券、→ 切符]

一枚、一葉（よう）、一片、一冊、一綴（つづり）

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【参考】徳田秋声「町の踊り」：私は二枚ばかりのチケットをポケットに残して、アトリエを出た。筋肉運動が、憂欝な私の頭脳（あたま）を爽（さわや）かにした。

ちしつたんさき	地質探査機	一台、一基、一輛・一両
ちず	地図 [一枚刷り]	一枚、一葉（よう）、一舗・一鋪（ほ・ふ・ふく）[一舗・一鋪は、「畳み物」とも呼ばれる、一枚の物を折り畳み、使う際に広げる地図などを数えるのに使われる]、一幅、一片、一点、一面
	※ 文化財では一鋪という表現が見られる。
	作品を見る【参考】森鷗外「かのように」：子爵は奥さんに三省堂の世界地図を一枚買って渡して、【参考】徳冨蘆花「小説　不如帰」：名刺一たび入り、書生二たび出（い）でて、山木は応接間に導かれつ。テーブルの上には清韓（しんかん）の地図一葉広げられたるが、まだ清めもやらぬ火皿（ひざら）のマッチ巻莨（シガー）のからとともに、先座の話をほぼ想（おも）わしむ。【参考】宮本百合子「道標」：親切に、注意ぶかくかかれているこの一葉の地図を目あてにロシアから秘密に国境を越えてロンドンへ集って来た人々による【参考】泉鏡花「凱旋祭」：ここに繰返してまた単に一幅（いっぷく）わが県全市の図は、七色を以てなどりて彩られ候やうなるおもひの、筆執（と）ればこの紙面（しめん）にも浮びてありありと見え候。【参考】竹久夢二「砂がき」：物心がついてからずっと東京に住んだ私にとっては、一片の東京地図は、実に有機的な私の人文科学史です。【参考】林不忘「丹下左膳こけ猿の巻」：で、その壺のふたをとると、なかに、莫大な柳生家財産の埋蔵個所をしめした一片の地図が、幾百年の秘密を宿し、
ちずちょう	地図帳 [→ 地図]	一冊
ちそう	地層 [→ 断層]	一層、一段、一つ
ちそう	馳走	⇒ ご馳走
ちつ	帙 [→ 書籍]	一帙、一套（とう）
ちとせあめ	千歳飴 [→ 飴]	一本、一袋
ちっぷ	チップ	一枚、一片 ※ 木の切れ端
ちどり	チドリ・千鳥	一羽（わ）、一匹・一疋、一翼（は・はね・よく）、一翅（し）、一羽撃・羽搏（はばたき） [はばたく動作のこと]、一番（つがい）、一群（ぐん・むれ）、一団（だん）
	《付録》
	作品を見る【参考】岡本かの子「家霊」：一番しまいに彫って差上げたのは二三年まえの古風な一本足のかんざしの頸に友呼ぶ千鳥一羽のものだった。
ちまき	粽	一個、一本、一束、一把、一連
ちまき	【知識】古文書に、献上した数などとして「一束」「一把」「一連」が見られる。
ちねつはつでんき・ちねつはつでんせつび	地熱発電機・地熱発電設備	一基、一台
ちねつはつでんしょ	地熱発電所 [→ 原子力発電所]	一箇所（一か所・一カ所）、一棟（むね・とう） [建屋で]、一基 [発電機の数]
ちみもうりょう	魑魅魍魎	一人（り／たり・にん）、一匹・一疋
ちみもうりょう	作品を見る【参考】国枝史郎「神州纐纈城」：そうして面作師月子という女も、富士の裾野に巣食うところの魑魅魍魎（ちみもうりょう）の一人なのであったが、それは順を追って説くとして、
ちゃ	茶 [→ 抹茶]	一缶、一袋（ふくろ・たい）、一封、一筒（つつ）、一箱、一斤（きん）[重さの単位で]、一煎（せん）[一回分の分量]
	【知識】近年は、すぐに飲める状態にしたペットボトルなどでの販売が普及している。数え方は、「一本」「一瓶」「一缶」「一パック」など。【知識】「一斤」は尺貫法での単位で、現在の換算では、160匁、600グラムとされる。江戸時代の文献に、「元々200匁であったものを、横浜開港以来、茶商が160匁にした」とある。[下記作品内資料参照]。横浜港開港は、安政六年（1859年）で、
	作品を見る【参考】原勝郎「東山時代における一縉紳の生活」：この庄からしての収入は百疋の年貢と茶とである。茶は一袋一斤半ずつの懸茶二十四袋が例となってあった。【参考】樋口一葉「しのぶぐさ」：この日半井氏より使者（つかい）として茂太君が、三崎町で葉茶舗を開店したと報告しに来たそうで、茶一筒（ひとつつ）贈られました。【参考】喜田川守貞「守貞謾稿　巻之一（食類）」：茶葉一斤、元来二百目なりしが、横浜開港以来、茶商これを改めて百六十目をもって一斤とす。【編集注】「守貞謾稿（もりさだまんこう）」は、天保8年（1837）から慶応3年（1867）まで、30年間にわたって書かれた江戸時代後期の風俗史。 [] 【参考】石川啄木「葉書」： ××村の小学校では、小使の老爺（おやじ）に煮炊（にたき）をさして校長の田辺が常宿直をしていた。その代り職員室で使う茶代と新聞代は宿直料の中から出すことにしてある。宿直料は一晩八銭である。茶は一斤半として九十銭、新聞は郵税を入れて五十銭、それを差引いた残余の一円と外に炭、石油も学校のを勝手に使い、家賃は出さぬと来てるから、校長はどうしても月五円宛（ずつ）徳（とく）をして居る。
	茶 [を飲む]	一杯、一口（くち）、一滴、一椀・一碗（わん）、一服、一喫（きつ）、一盞（さん）、一盌（わん）、一啜（すす）り
	作品を見る【参考】夏目漱石「草枕」：「ふん、そうか――さあ御茶が注（つ）げたから、一杯」と老人は茶碗を各自（めいめい）の前に置く。茶の量は三四滴に過ぎぬが、茶碗はすこぶる大きい。茶碗を下へ置かないで、そのまま口へつけた。濃く甘（あま）く、湯加減（ゆかげん）に出た、重い露を、舌の先へ一しずくずつ落して味（あじわ）って見るのは閑人適意（かんじんてきい）の韻事（いんじ）である。普通の人は茶を飲むものと心得ているが、あれは間違だ。舌頭（ぜっとう）へぽたりと載（の）せて、清いものが四方へ散れば咽喉（のど）へ下（くだ）るべき液はほとんどない。【参考】佐藤垢石「食指談」：文化十四年二月十三日に、江戸両国の柳橋に、大食競演会というのが開かれたことがある。これへ出席した選手桐屋五左衛門というのは、蕎麥五十七杯を食ったあとで、三合入りの盞で酒二十七盃をのんでから、めし三杯に茶九杯を喫し、さらに甚句を唄って躍りだしたという剛の者であった。【参考】夏目漱石「三四郎」：三四郎がふとその横顔を見ると、どうも上京の節汽車の中で水蜜桃（すいみつとう）をたくさん食った人のようである。向こうは気がつかない。茶を一口飲んでは煙草（たばこ）を一吸いすって、たいへんゆっくり構えている。【参考】中里介山「大菩薩峠山科の巻」：そうしてその言葉にかなう恭（うやうや）しい手つきで、茶碗を取って押戴いて二口飲みました。【参考】宮本百合子「伸子」：「――仕方ないから、家政婦でも置くのね」祖母はそれに答えず、楽の茶飲茶碗を両手の間に捧げるように持ち、一口啜り、「おら、地震この方、たださえ耄碌（もうろく）していたのがなおさら耄碌したごんだ。お静には死なれるし、保科は死ぬし……何しておらのような在り甲斐なしがいつまでも死なないかと思う」【参考】近松秋江「湖光島影琵琶湖めぐり」：さういつて、二度目の、此の方はお茶にしてといふのを稍語勢を強めていはれた。ボーイはその通りに老僧には白湯を汲んで薦め、私の方へは茶を煎れて出した。すると、老僧はその茶碗を手にとつて底に一滴も殘さぬやうに仰向いて茶碗を啜り、空になつた茶碗を靜（そつ）と茶托の上に伏せて置かれた。【参考】喜田川守貞「守貞謾稿　巻之五（生業上）」：麁茶を朝に一煎して終日これを用う。また、一椀を出し、客乞わざれば二、三椀を出さず。一椀は一客一椀なり。【編集注】「守貞謾稿（もりさだまんこう）」は、天保8年（1837）から慶応3年（1867）まで、30年間にわたって書かれた江戸時代後期の風俗史。 [] 【参考】正岡子規「墨汁一滴」：左千夫茶を立つ。余も菓子一つ薄茶一碗。【参考】岡本かの子「初夏に座す」：この際、忙中寸暇を割いて、座つて落ち付いて見る、場所はあまり物を置かない庭向きの座敷がいい、新茶の一椀を啜つて見るのもいい、これは決して贅沢でも閑人でもない。【参考】中里介山「大菩薩峠　山科の巻」：例によって物堅い弁信法師の辞儀、お手前ともお見事とも言わないで、御接待と言いました。そうしてその言葉にかなう恭（うやうや）しい手つきで、茶碗を取って押戴いて二口飲みました。弁信法師も、お茶の手前の一手や二手は心得ているに相違なく、手振（てぶり）も鮮かに一椀の抹茶（まっちゃ）を押戴いて、口中に呷（あお）りました。「お願いには、もう一椀を所望いたしとうござります」お銀様はそれを喜んで、更に一椀を立てて弁信に振舞いました。【参考】徳冨蘆花「小説不如帰」：姥（ばば）ひとり住む山小屋に渋茶一碗（わん）所望しけるに、【参考】吉川英治「私本太平記　あしかが帖」： ……おうここらで、茶など一碗献じようか。茶亭のしたくはよかろうな。【参考】高浜虚子「漱石氏と私」：そうして京都言葉で喋々（ちょうちょう）と喋り立てる老若男女に伍して一服の抹茶をすするのであった。【参考】太宰治「不審庵」：茶会というものは、ただ神妙にお茶を一服御馳走になるだけのものかと思っていたら、そうではない。【参考】上村松園「棲霞軒雑記」：制作につかれると私は一服の薄茶をたててそれをいただく。【参考】牧野信一「推賞寸言」：私は、この間「経済往来」（十一月号）で「当世胸算用」（近松秋江作）を読んで非常に感心した。沁々と、大家の作である――と思つた。正に、あの竹林の茶室で味ふた一喫の茶の味であつた。【参考】木下尚江「火の柱」：渡部の声は激動せり、其面（そのかほ）は赤く輝けり、冷茶一喫（いっきつ）、彼は其の温清なる眼（まなこ）を再び紙上に注ぐ、【参考】吉川英治「私本太平記　世の辻の帖」：彼が食べこぼす麦粉を拾って啄（ついば）むことで夢中になり、彼は一喫（いっきつ）の茶のうちに、ふと、彼女の俯し目がちな面に、今日はまた凄艶（せいえん）なべつな美を見つけ出していた。【参考】喜田川守貞「守貞謾稿　巻之一（食類）」：『東鏡』に、葉上僧正、茶一盞を実朝公へ献じ、茶の徳を記せる書を捧げしことあり、云々。【編集注】「守貞謾稿（もりさだまんこう）」は、天保8年（1837）から慶応3年（1867）まで、30年間にわたって書かれた江戸時代後期の風俗史。 [] 【参考】吉川英治「私本太平記　帝獄帖」：「高氏どの。つい折もなかったが、今日はちょっとお耳にだけ入れておきたい」と、彼へも一盞（さん）の茶をすすめた。【参考】薄田泣菫「独楽園」：壁と障子とに仕切られた四畳半の小さな室は、茶人がその簡素な趣味生活の享楽を一盌（わん）の茶とともに飽喫しようとするには、努めて壁と障子との一重外に限りもなく拡がっている大きな世間というものを忘れて、すべて幻想と連想とを、しっかりとこの小天地の別箇の生活のうちに繋いでいなければならぬ。
	茶 [を注ぐ]	一差し・一差
	作品を見る【参考】魯迅　井上紅梅訳「薬」：店の中には大勢の客が坐っていた。老栓は忙しそうに大薬鑵（おおやかん）を提げて一さし、一さし、銘々のお茶を注（つ）いで歩いた。
ちゃーしゅー	チャーシュー・叉焼 [→ 焼豚]	一枚、一切（れ）、一片、一塊（かたまり）、一頭
ちゃーはん	チャーハン・炒飯 [→ 焼き飯、→ ピラフ、→ ご飯]	一皿、一人前、一品（しな・ひん）、一口
ちゃーびる	チャービル [→ セルフィーユ、→ 植物]	一本、一株、一枚、一茎
ちゃいなまーぶる	チャイナマーブル [→ 変わり玉、→ 飴]	一粒、一個、一顆（か）、一袋
ちゃいるどしーと	チャイルドシート [→ ベビーカー、→ 乳母車]	一台
ちゃいれ	茶入	一個、一口（こう・く・くち）、一壺（こ・つぼ）
ちゃいれ	※ 文化財では一口（く）という表現が見られる。
ちゃがま	茶釜 [→ 風炉釜]	一口（こう・く・くち）、一合（ごう）、一具（ぐ）
ちゃがま	※ 文化財では一口（く）という表現が見られる。
ちゃき	茶器 [薄茶用の容器]	一個、一客、一口（こう・く・くち）、一人前、一組、一揃（そろい）、一合 [蓋が付いて]
	【知識】「一客」は、主に接客や特別な機会のために用意したもので。【知識】「一組・一揃」は、和食器では五個（枚）、もしくは十個（枚）。洋食器では六個（枚）、もしくは十二個（枚）で。
	茶器 [→ 茶道具]	一組、一揃（そろい）、一具、一式、一席
ちゃきん	茶巾	一枚
ちゃくじゅん	着順 [→ 順位]	一着、一番、一位、一等
ちゃぐ	茶具 [→ 茶道具]	一組、一揃（そろい）、一具、一式、一席
ちゃくらむ	チャクラム [→ ブーメラン]	一枚
ちゃこ	チャコ	一本、一枚、一個
ちゃこ	※ 服地などに印をつけるもの。
ちゃこし	茶こし・茶漉し・茶漉	一個、一本
ちゃさじ	茶匙 [→ 匙]	一本、一支、一組 [五本など]
	茶匙 [ですくう]	一匙、一杯、一掬（すくい・きく）
	《付録》計量スプーンと計量カップによる重量表《付録》食品の重さとカップ/スプーン換算機
	作品を見る【参考】ディッケンス　森田草平訳「クリスマス・カロル」：上敷とタウェルの類、少し許りの衣裳、旧式の銀の茶匙二本、一挺の角砂糖挟み、それに長靴二三足。彼女の勘定も前と同じように壁の上に記された。【参考】大杉栄「日本脱出記」：ただウィスキーが一番うまいようなので、毎日茶匙に一杯ずつ紅茶の中に入れて飲んでいたが、それだけでもやはりちょっと苦しいくらいの気持になる。
ちゃしつ	茶室	一宇（う）、一棟（むね）、一間（ま）、一室、一部屋
ちゃしつ	作品を見る【参考】伊藤左千夫「水害雑録」：「おかしいなあ？」と呟（つぶや）いたが、鬼小僧は失望しなかった。そろそろと爪先で歩き出した。と一棟の茶室（みずや）があった。その前を通って先へと進んだ。【参考】伊藤左千夫「水害雑録」：並（なみ）の席より尺余（しゃくよ）床（ゆか）を高くして置いた一室と離屋（はなれ）の茶室の一間とに、家族十人の者は二分（にぶん）して寝に就く事になった。
ちゃしゃく	茶杓	一本、一枝、一筒 [入れ物に入れて]
ちゃしゃく	作品を見る【参考】夢野久作「梅津只圓翁伝」：それに唯翁が茶杓の一枝を手に取りて構えられたる形のみが厳然として
ちゃせん	茶筅	一本
ちゃたく	茶たく・茶托 [→ ソーサー]	一枚、一客
ちゃたく	【知識】「一客」は、主に接客や特別な機会のために用意したもので。
ちゃだんす	茶箪笥・茶簟笥	一本、一棹・一竿（さお）、一台
ちゃっく	チャック [→ ファスナー、→ ジッパー]	一本
ちゃっく	【知識】「チャック」は巾着（きんちゃく）をもじって出来た日本の元登録商標。「ジッパー」はアメリカの元登録商標。
ちゃづけ	茶漬け・茶漬	一杯、一椀・一碗（わん）、一膳、一口
ちゃづけ	作品を見る【参考】太宰治「懶惰の歌留多」：一日にバット五十本以上も吸い尽くして、酒、のむとなると一升くらい平気でやって、そのあとお茶漬を、三杯もかきこんで、そんな病人あるものか。【参考】島崎藤村「夜明け前第一部上」：そのアトリ三十羽に、茶漬け三杯食えば、褒美（ほうび）として別に三十羽もらえる。もしまた、その三十羽と茶漬け三杯食えなかった時は、あべこべに六十羽差し出さなければならないという約束だ。【参考】北大路魯山人「塩鮭・塩鱒の茶漬け」：ますの茶漬けは美味くて、五杯食べたとしても、その費用は五十円もかからぬくらいのものである。納豆の茶漬け同様に、食通を充分満足させる美味みを持っている。【参考】北大路魯山人「京都のごりの茶漬け」：食通（しょくつう）間では、ごりの茶漬けを茶漬けの王者と称して珍重（ちんちょう）している。しかし、食べてみようと思えば、大（たい）してぜいたくなものではない。なぜなら、高いといったところで、一椀十尾ばかりですむことであるから、金にすればなんでもない。ただ五尾か七尾で、名物吸いものにしているのを目前に見ているので、思い切って佃煮にする勇気がしぶるだけのことである。【参考】坂口安吾「明治開化　安吾捕物その一　舞踏会殺人事件」：宴会前に茶漬三膳は妙だねえ。せっかくの美酒がまずいだろうに
ちゃづつ	茶筒	一本、一筒（つつ・とう）、一缶
ちゃつぼ	茶壺	一個、一口（こう・く・くち）、一壺（こ・つぼ）、一筒（つつ・とう）
ちゃつぼ	※ 文化財では一口（く）という表現が見られる。
ちゃてん	茶店	⇒ ちゃみせ
ちゃどうぐ	茶道具	一組、一揃（そろい）、一具、一式、一席
ちゃどうぐ	作品を見る【参考】小金井喜美子「鴎外の思い出」：「簪（かんざし）かい、玩具（おもちゃ）かい」と、足を止められますので、入らないといっては悪いと気が附いて、小さなお茶道具を一揃い買ってもらいました。【参考】岡本かの子「上田秋成の晩年」：茶具の数も、定めの数の二十具を減して十六にし、また、十二具にし、やぶれた都籠から取出したのはぎりぎり間に合せの茶瓶、茶盞、茶罌（ちゃつぼ）ぐらいの数に過ぎなかった。【参考】佐々木味津三「旗本退屈男　第五話　三河に現れた退屈男」：左に控えた今ひとりのお茶坊主は、また結構やかなお茶道具一式を揃えて捧持しながら、薄茶（うすちゃ）煎茶（せんちゃ）その時々の御上意があり次第、即座に進め参らすがその役目、
ちゃのみ	茶の実	一個、一粒、一顆（か）
ちゃのみ	《付録》
ちゃのみぢゃわん	茶飲茶碗・茶呑茶碗 [→ 茶碗]	一個、一客、一口（こう・く・くち）、一人前、一組、一揃（そろい）
ちゃのみぢゃわん	【知識】「一客」は、主に接客や特別な機会のために用意したもので。【知識】「一組・一揃」は、和食器では五個（枚）、もしくは十個（枚）。洋食器では六個（枚）、もしくは十二個（枚）で。
ちゃば	茶葉 [→ 茶]	一袋、一缶、一箱、一匙
ちゃばおり	茶羽織	⇒ 羽織
ちゃばこ	茶箱	一箱、一合
ちゃばこ	※ 文化財では一合という表現が見られる。
ちゃばしら	茶柱	一本
ちゃばしら	作品を見る【参考】林芙美子「新版放浪記」：寿司屋では茶柱が二本も立ったので、眼をつぶってその辻占（つじうら）をぐっと呑みこんでしまった。
ちゃぶだい	ちゃぶ台・卓袱台 [→ 卓袱]	一脚、一卓、一台、一面
ちゃぶだい	作品を見る【参考】寺田寅彦「写生紀行」：しかし黒人（くろうと）になればたぶんただ一面のちゃぶ台、一握りの卓布の面の上にでもやはりこれだけの色彩の錯綜（さくそう）が認められるのであろう。
ちゃぺる	チャペル [→ 礼拝堂、→ 聖堂]	一堂、一棟、一宇
ちゃぼん	茶盆 [→ 盆]	一枚、一面
ちゃぼん	作品を見る【参考】中谷宇吉郎「由布院行」：　盆なども色々の大きさのものが沢山作ってあった。白檀の太い幹のところは木目が入り組んでいるために、鑿の方向を始終変えねばならぬのだそうで、そのためにかえって、交錯した鑿の痕（あと）が自然で面白く出ていた。白檀の木というものが、大変いい香のするものであることも初めて知った。帰る時には、一番上出来の茶盆を一枚くれた。
ちゃみせ	茶店	一軒、一店、一張（はり）、一戸
ちゃみせ	作品を見る【参考】下村湖人「次郎物語第二部」：間もなく、みんなは一軒の茶店にはいって弁当をひらいたが、【参考】長塚節「松蟲草」：山陵のある所から少し離れて坂がある。そこに一軒穢げな藁家の茶店がある。一簇の芒の穂がそこにも靡いて居る。あたりのさまと相俟って此の茶店も余が心を惹いた。【参考】泉鏡花「白金之絵図」：葭簀張（よしずばり）ながら二坪ばかり囲（かこい）を取った茶店が一張（ひとはり）。【参考】新美南吉「和太郎さんと牛」：　村から町へいくとちゅう、道ばたに大きい松が一本あり、そのかげに茶店（ちゃみせ）が一軒ありました。ちょうどうまいぐあいに、松の木が一本と茶店が一軒ならんであるということが、和太郎さんにはよくなかったのです。というのは、松の木というものは牛をつないでおくによいもので、茶店というものはお酒の好きな人が、ちょっと一服するによいものだからです。【参考】喜田川守貞「守貞謾稿　巻之五（生業上）」：京師より伏見に至る三里、これ京坂の大路なり。この間に茶店わずかに三、四戸のみ。【編集注】「守貞謾稿（もりさだまんこう）」は、天保8年（1837）から慶応3年（1867）まで、30年間にわたって書かれた江戸時代後期の風俗史。 []
ちゃや	茶屋	一軒、一店、一戸
ちゃや	作品を見る【参考】国木田独歩「武蔵野」：桜橋という小さな橋がある、それを渡ると一軒の掛茶屋（かけぢゃや）がある、【参考】夢野久作「梅津只圓翁伝」：こうしてずいぶん道草を喰いながら筥崎に着くと、中の鳥居の横の茶屋は一軒しかなかったので直ぐにわかった。
ちゃるめら	チャルメラ [→ 楽器]	一本、一管
ちゃわん	茶碗 [→ 食器]	一個、一客、一口（こう・く・くち）、一人前、一組、一揃（そろい）、一合 [蓋が付いて]
	【知識】「一客」は、主に接客や特別な機会のために用意したもので。【知識】「一組・一揃」は、和食器では五個（枚）、もしくは十個（枚）。洋食器では六個（枚）、もしくは十二個（枚）で。 ※ 文化財では一口（く）、一客、一合という表現が見られる。
	作品を見る【参考】小林多喜二「独房」：蓋（ふた）付きの茶碗二個。皿一枚。ワッパ一箇。箸（はし）一ぜん。――それだけ入っている食器箱。フキン一枚。土瓶（どびん）。湯呑茶碗一個。【参考】島崎藤村「桃の雫」：淡き、甘き、渋き、濃き、一つの茶碗に盛りきれないような茶の味がそこから生れて来る。【参考】宮本百合子「獄中への手紙一九三八年（昭和十三年）」：私たちから栄さん夫妻に上げるのは、茶呑茶碗一組（二つ）です。いいでしょう？【参考】三遊亭圓朝鈴木行三校訂・編纂「西洋人情話英国孝子ジョージスミス之伝」：古渡（こわたり）の錫（すゞ）の真鍮象眼（しんちゅうぞうがん）の茶托（ちゃたく）に、古染付（ふるそめつけ）の結構な茶碗が五人前ありまして、朱泥（しゅでい）の急須（きゅうす）に今茶を入れて呑もうと云うので、
ちゃんぐ・ちゃんご	チャング・장구、チャンゴ・杖鼓・長鼓・장고 [→ 太鼓、→ 楽器]	一張（はり・ちょう）、一台、一面
ちゃんちゃんこ	ちゃんちゃんこ [→ 着物]	一枚
ちゅーいんがむ	チューインガム [→ ガム]	一枚・一片 [板状]、一粒 [粒状]、一個、一箱
ちゅーいんがむ	作品を見る【参考】牧逸馬「双面獣」：被害者ドロシイ・シュナイダアは、帰宅の途、「其の男」に一片のチュウイング・ガムを与えられて「その自動車」に招待されたものに相違ない。
ちゅうがっこう	中学校 [→ 学校]	一校
ちゅうかなべ	中華鍋	一枚、一本、一口（こう・く・くち）
ちゅうかまんじゅう・ちゅうかまん	中華饅頭・中華まんじゅう・中華まん	一個、一団（だん）[丸めたものを言う]
	【知識】中華饅頭は主に焼き饅頭を指し菓子類など。中華まんは主に蒸し饅頭を指し、あんまん、胡麻まん、肉まん、豚まんなど。
	作品を見る【参考】室生犀星「末野女」：男と女とは何時も態々中華饅頭で有名な或る料理店にはいり、食後の菓子を取り寄せて食べることにしてゐた。この店は銀座界隈に勤める人達が簡單に夕食がはりに、大きな肉饅頭を一個とか二個あて食べて去るところだが、二個以上はどんなに腹の空いた時でも食べられなかつた。それほど膨大な量があり肉入りと餡入りの二つ分を食べれば、それで榮養攝取は充分に足りるわけだ。【参考】古川緑波「古川ロッパ昭和日記昭和三十三年」：石田守衛来り、共に出る。タクシー、維新号へ。冷房利いてゝよし。肉まん、胡麻まん各一個、胡麻まんよし。肉まんにつけるソースを持って来たのが、トンカツソース。何といふ間違ったことをするのだ。醤油をとって、食ふ。焼売一人前。味すべてよく、点心の店として、こゝはよし。【参考】古川緑波「神戸」：全く此の肉饅頭は、うまいのである。そして、森田さん、十銭に五つと書いて居られるが、僕の知っている頃（昭和初期か）は、一個が二銭五厘。すなわち、十銭に四つであった。
ちゅうきょりだんどうみさいる	中距離弾道ミサイル	⇒ ミサイル
ちゅうけい	中啓 [→ 末広]	一本、一対 [二本で]、一台、一握（あく・にぎり）、一柄（へい・え・から）、一枝（えだ・し）
ちゅうけい	※ 文化財では一握（あく）という表現が見られる。
ちゅうげん	中元 [贈答習慣で] [→ お中元]	一個、一品、一包（つつみ）、一提（さげ）・一下（さげ） [訪問する様で]、一件 [取り扱う商品で]
ちゅうこんひ	忠魂碑 [→ 碑、→ 記念碑、→ 石碑]	一基
ちゅうこんひ	作品を見る【参考】吉川英治「三国志図南の巻」：すなわち、張任の首を斬り、その屍を収めて、金雁橋のかたわらに、一基の忠魂碑をたててやった。鴻雁（こうがん）群れて、暮夜（ぼや）、碑をめぐって啼いた。
ちゅうざいしょ	駐在所	一軒、一箇所（一か所・一カ所）
ちゅうざいしょ	作品を見る【参考】海野十三「人間灰」：この空気工場から国道を西へ一キロメートルばかり行ったところに、例の庄内村（しょうないむら）というのがある。そこには村でたった一軒の駐在所が、国道に面して建てられてあった。
ちゅうしゃ	注射 [→ アンプル]	一本、一筒（とう）、一回
ちゅうしゃ	作品を見る【参考】太宰治「HUMANLOST」：二十日以降、注射一本、求めていません。【参考】岸田國士「医術の進歩」：注射はおいやですか。一本、念のためにやつときたいですな。【参考】夏目漱石「彼岸過迄」：医者はこう云ったがまた一筒（いっとう）の注射を心臓部に試みた。固（もと）よりそれは何の手段にもならなかった。【参考】菊池寛「真珠夫人」：医師は、手早くその用意をしてしまふと、今肉体を去らうとして、たゆたうてゐる魂を、呼び返すために、巧みに注射針を操つて、一筒のカンフルを体内に注いだ【参考】小酒井不木「按摩」：右の眼が前晩（ぜんばん）よりも一層はげしく、ずきんずきんといたみ出しました。そこで又モルヒネの注射をして貰いましたが、こんどは一筒ではきかず、二筒で始めて痛みを忘れました。【参考】夢野久作「人間レコード」：老人の胸を掻き開いて、肋骨の並んだ乳の上に無色透明の液二筒と茶褐色の液一筒と都合三筒ほど、慣れた手付で注射をした。【参考】小酒井不木「死の接吻」：一回や二回ではきかなくても、十回もやれば、黴菌をのみ込んだって大丈夫だそうだわ。わたし、毎日一回宛（ずつ）十回ほど注射して貰ったのよ。
ちゅうしゃき	注射器	一本、一筒（とう）
ちゅうしゃき	【知識】「注射器」は、注射筒に注射針をセットした状態。
ちゅうしゃとう	注射筒	一本、一筒（とう）
ちゅうしゃとう	【知識】「注射筒」は、注射器の針の付いていない状態。「シリンジ」とも呼ばれる。あらかじめ注射針がセットされたものは「針付き注射筒」とも呼ばれる。
ちゅうしゃばり	注射針	一本
ちゅうせんき	抽選器・抽籤器・抽せん器	一台
ちゅうせんき	※ ガラポン、ガラガラ、福引器（ふくびきき）などとも。
ちゅうせんだま	抽選球・抽選玉	一球、一個
ちゅうせんだま	※ 抽選器に入れる抽選用の玉。
ちゅーなー	チューナー	一台
ちゅーば	チューバ [→ 楽器]	一本、一台
ちゅーぶ	チューブ	一本
ちゅうもん	注文・註文	一件
ちゅうもんしょ	注文書・註文書 [→ 発注書、→ 見積書]	一通、一枚、一葉（よう）、一片、一冊、一綴（つづり）
ちゅーりっぷ	チューリップ [→ 花]	一本（ほん・もと）、一輪、一朶（だ） [枝一本のこと。主に花の付いた一枝、一輪の花]、一茎（けい・くき）、一弁、一片、一株（かぶ・しゅ）、一球（きゅう・たま）・一玉・一個 [球根で]、一把（わ）、一束（たば）、一鉢
ちゅーりっぷ	作品を見る【参考】宮本百合子「生活の様式」：「このチューリップは傑作だ。サティンのようにつやがある。」そして、わきの紙をとって「一輪いくら？　一本五銭？」とかくと　咲　その鉛筆をとって「四本十銭とかく」
ちゅにっく	チュニック	一着、一枚
ちゅにっくこーと	チュニックコート	一着、一枚

ちょう	チョウ・蝶 [→ 胡蝶、→ 昆虫]	一匹・一疋、一羽 [文芸作品などでまれに]、一個体 [主に学術上、論文などで]、一頭（とう）[アマチュアコレクターの間での独得の言葉遣いとの説]
	※ 蝶や希少な昆虫を「一頭」と数えることがあるが、新聞や放送などでは「匹」を使うとされる。【知識】蝶をなぜ「頭（とう）」と数えるのかについては、アマチュアコレクターの間での独得の言葉遣いとの説があり、専門家の論文などでは「個体」と数えるとされる。（下記引用参照） = 引用 ① =　国立国語研究所「よくある「ことば」の質問」『蝶を「頭（トウ）」と数えることが知られています。これはもともと、アマチュアコレクターの間で、独得の言葉遣いであったらしく、専門家は「個体」を付けて論文を書いているそうです。（国立科学博物館分館のお話による）』（2012.11.1） = 引用 ② = 大分大学教育福祉科学部研究「チョウ類群集を指標とした大分大学周辺の自然環境評価」『調査全体において最も個体数が多かった優占種は1位がベニシジミ（288個体），2位がヤマトシジミ（277個体），3位がキタキチョウ（202個体）であった。』(2012/5/31) ※ 蝶を一双と数えることがある。一双は二匹のことと思われるが、一匹と取れる表現もある。　一双を二匹のことと表現する文学作品として泉鏡花の「義血侠血」があり、「露を争う蝶一双（ひとつ）、縦横上下に逐（お）いつ、逐われつ」とある。「一双」に「ひとつ」とルビが振られているが、次の文章に「おいつ、おわれつ」とあるので二匹と分かる。　一方、一匹とも取れる表現が夏目漱石の「草枕」にある。「ある時は一弁（いちべん）の花に化し、あるときは一双（いっそう）の蝶（ちょう）に化し」とあり、「一弁」に対する言葉として「一双」が使われ、ここでは一匹とも取れる。これは、蝶の大きな二枚の羽根の形状を一双と表したとも取れる。　この件に関しては、現在調査中。《付録》
	作品を見る【参考】岡本綺堂「青蛙堂鬼談」：二匹の大きい美しい蝶がもつれ合って飛んでいて、【参考】林芙美子「絵本」：蝶々が二匹になった。手入れのゆきとゞかない庭には、雑草の中に小さい朝顔が咲いていたり、えぞ菊の紫色なのがふわふわ風にゆれていた。【参考】岡田三郎助「白い蝶」：突然自分の足に軽く触れたものがある、ゾーッとしたので見ると、一疋（ぴき）の白い蝶だ、【参考】夏目漱石「草枕」：寂然（じゃくねん）と倚（よ）る亜字欄（あじらん）の下から、蝶々（ちょうちょう）が二羽寄りつ離れつ舞い上がる。【参考】芥川龍之介「妖婆」：青光りのする翅と翅とがもつれ合ったと思う間もなく、蝶は二羽とも風になぐれて、まだ薄明りの残っている電柱の根元で消えたそうです。【参考】島崎藤村「夜明け前第一部上」：当時の横浜関内は一羽の蝶（ちょう）のかたちにたとえられる。海岸へ築（つ）き出した二か所の波止場（はとば）はその触角であり、中央の運上所付近はそのからだであり、本町通りと商館の許可地は左右の翅（はね）にあたる。【参考】寺田寅彦「柿の種」：紫色の紋のある美しい蝶（ちょう）が五、六羽、蜂が二種類、【参考】夏目漱石「草枕」：ある時は一弁（いちべん）の花に化し、あるときは一双（いっそう）の蝶（ちょう）に化し、【参考】泉鏡花「義血侠血」：さて太夫はなみなみ水を盛りたるコップを左手（ゆんで）に把（と）りて、右手（めて）には黄白（こうはく）二面の扇子を開き、やと声発（か）けて交互（いれちがい）に投げ上ぐれば、露を争う蝶一双（ひとつ）、縦横上下に逐（お）いつ、逐われつ、雫（しずく）も滴（こぼ）さず翼も息（やす）めず、太夫の手にも住（とど）まらで、空に文（あや）織る練磨（れんま）の手術、
ちょうか	長歌	一篇、一編
ちょうか	作品を見る【参考】正岡子規「俳人蕪村」：惜しいかな、蕪村はこれを一篇の長歌となして新体詩の源を開く能わざりき。俳人として第一流に位する蕪村の事業も、これを広く文学界の産物として見れば誠に規模の小なるに驚かずんばあらず。【参考】長塚節「長塚節歌集中」：明治三十七年一月三十一日長妹とし子一女を擧ぐ、長歌一篇を賦しておくる、篇中の地はとし子が居住に接せり、【参考】島崎藤村「夜明け前第二部下」：半蔵もまたその中に加わって、心からなる奉祝のまことをわずかに左の一編の長歌に寄せた。
ちょうかん	朝刊	⇒ 新聞
ちょうけい	長檠	⇒ 灯檠・燈檠
ちょうこく	彫刻	一体 [人間や動物の形などで]、一点 [主に展示や商品などで]、一基
ちょうこくとう	彫刻刀 [→ ビュラン]	一挺［一丁］（ちょう）、一本、一組、一セット
ちょうさしょ	調査書	一通、一枚、一葉（よう）
ちょうさひょう	調査票	一通、一枚、一葉（よう）
ちょうし	銚子 [→ 徳利、→ 銚釐、→ 酒]	一本、一提（さげ・ちょう）、一口（こう・く・くち）、一枝（し・えだ）、一柄（え・へい）、一対
	※ 文化財では一口（く）、一対という表現が見られる。【知識】「銚子」は、現代では「徳利」を指すことが多いが、酒を杯につぐ長い柄のついた器でもあるので、その形から「枝」「柄」とも数えられる。【知識】「一提（さげ・ちょう）」は、かつて「通い徳利」などと言って、五合や一升などが入る大きい徳利を酒屋から提げて来たことに由来すると思われる。【知識】『貞丈雑記（天保14年 [1843年] ）』に「銚子をば、一えだ・ニ枝と云い、ひさげをぱ一ロ・ニロと云うぺし。又銚子をも一ロ・ニロともいうぺし。」と見られる。『訓蒙図彙』に見られる「銚子」「銅銚（どうちょう）」とされるが「銚子」とある。（国立国会図書館蔵）「訓蒙図彙（きんもうずい）」は、中村惕斎（なかむらてきさい）によって、江戸時代の寛文6年〈1666年〉[] に著された日本初とされる図解事典。「訓蒙図彙」を見る
	作品を見る【参考】太宰治「津軽」：お盆へ、お銚子を六本載せて持って来た。一、二本、飲んでいるうちにお膳も出た。【参考】泉鏡花「眉かくしの霊」：ついでにお銚子（ちょうし）を。火がいいから傍（そば）へ置くだけでも冷めはしない。……通いが遠くって気の毒だ。三本ばかり一時（いちどき）に持っておいで。……どうだい。岩見重太郎が註文（ちゅうもん）をするようだろう。
ちょうじ	チョウジ・丁子・丁字 [→ クローブ、→ 木]	一本（ほん・もと）、一枝、一茎（けい・くき）、一株（かぶ・しゅ）、一葉（よう・は） [葉で]、一個 [蕾で。蕾を乾燥して生薬や香辛料にしたり、油を取ったりする]
ちょうじ	《付録》
ちょうしょ	長所 [→ 短所]	一つ
ちょうしょ	作品を見る【参考】芥川龍之介「侏儒の言葉」：彼女の服装とか、或は彼女の財産とか、或は又彼女の社会的地位とか、――それらも長所にならないことはない。更に甚しい場合を挙げれば、以前或名士に愛されたと云う事実乃至（ないし）風評さえ、長所の一つに数えられるのである。
ちょうしょ	調書	一本、一通、一札（さつ）、一枚、一葉（よう）
ちょうしょ	作品を見る【参考】宮本百合子「獄中への手紙一九四二年（昭和十七年）」：二月分から九月分までのうつしで全部で六通です。大泉という人の公判調書二通が一番新しい分です。
ちょうしん	長針 [→ 分針、→ 時針、→ 短針、→ 秒針]	一本
ちょうしん	※ 時計の針の、時間を示す長い針。分針。
ちょうしんき	聴診器	一本
ちょうずかけ	頂頭掛 [→ 烏帽子掛、→ 烏帽子]	一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）
ちょうずば	手水場	⇒ 厠
ちょうずばち	手水鉢 [→ つくばい]	一鉢、一盤、一個、一口（（こう・く・くち）、一基
ちょうせんじょう	挑戦状	一通、一本、一枚、一葉（よう）、一書
ちょうそ	彫塑	一体 [人間や動物の形などで]、一台、一点 [主に展示や商品などで]、一基
ちょうぞう	彫像	一体、一軀・一躯（く）、一点 [主に展示や商品などで]、一基
ちょうぞう	作品を見る【参考】与謝野寛、与謝野晶子「巴里より」：外壁（ぐわいへき）の上の彫像は二千躯（く）あると云ふが一一（いちいち）に好（い）い形をして居る。【参考】小栗虫太郎「黒死館殺人事件」：羅馬（ローマ）人マクネージオと並称さるるジュゼッペ・アルツオは、史上著名なる半陰陽にして、男女二基の彫像を有し、男となる時には女の像を、女としての際には男の像に礼拝するを常とせり。
ちょうちょ	チョウチョ・蝶蝶・蝶々 [→ 昆虫]	⇒ 蝶
ちょうちょう	チョウチョウ・蝶蝶・蝶々 [→ 昆虫]	⇒ 蝶
ちょうちん	提灯・提燈・挑灯・桃燈	一張（はり・ちょう）、一挺［一丁］（ちょう）、一帳（ちょう）、一本、一個、一対 [高張提灯など二張で]、一灯・一燈 [灯が入った状態で]、一台・一基 [台提灯など、脚で立てる提灯で]
	※ 文化財では一張という表現が見られる。
	作品を見る【参考】二葉亭四迷「平凡」：地尻（じしり）に高い杉の木の下（した）に、白張（しらはり）の提灯が二張（ふたはり）ハタハタと風に揺（ゆら）いでいる。【参考】島崎藤村「夜明け前第二部下」：あの宿駕籠（しゅくかご）二十五挺（ちょう）、山駕籠五挺、駕籠桐油（とうゆ）二十五枚、馬桐油二十五枚、駕籠蒲団（ぶとん）小五十枚、中二十枚、提灯（ちょうちん）十張（はり）と言ったはもはや宿場全盛の昔のことで、【参考】泉鏡花「卵塔場の天女」：提灯（ちょうちん）が五張（いつはり）、それも弓張（ゆみはり）、馬乗（うまのり）の定紋つきであった。【参考】中里介山「大菩薩峠山科の巻」：腰にくくりつけていた一張の弓張提灯を取りおろして、丁々（ちょうちょう）と点火にとりかかりましたが、【参考】森鷗外「堺事件」：後押（あとおさえ）は銃を負った騎兵二騎である。次に両藩の高張提灯（たかはりぢょうちん）各十挺が行く。【参考】野村胡堂「錢形平次捕物控密室」：「ところで、母家を見せて貰ひ度いが――」「私が御案内いたしませう、どうぞ此方へ」　提灯が二梃、平次と八五郎は、番頭の爲之助に案内させて、お勝手から入りました。【参考】芥川龍之介「追憶」：警察署の前にはいつもと変わり、高張り提灯（ぢょうちん）が一対ともしてあった。【参考】菊池貴一郎（四代目歌川広重）「絵本江戸風俗往来」：そろいの印（しるし）をかきたる長提燈（ながちょうちん）は、子供持の分（ぶん）として別に張れるを持ち、万燈（まんとう）は大きなるは長さ六尺横三、四尺四方、小なるは半紙一枚位なるを作り、年齢相応して持ち出し、かきて走り廻るに、揃う時は数十より百余燈輝くなり。【参考】泉鏡花「眉かくしの霊」：いやいや、提灯（ちょうちん）が一燈ぼうと薄白く点いている。そこにもう一枚扉（ひらき）があって閉まっていた。その裡（なか）が湯どのらしい。
ちょうつがい	蝶番 [→ ヒンジ]	一枚、一個
ちょうつがい	※「ちょうばん」とも読み、「丁番」という字を当てることも。
ちょうでん	弔電 [→ 電報]	一通、一本、一つ
ちょうな	手斧	一挺［一丁］（ちょう）、一本、一柄（へい・え・から・つか）
	※ 文化財では一柄という表現が見られる。
	作品を見る【参考】岡本綺堂「青蛙堂鬼談」：彼は一挺の手斧（ちょうな）を持ち、一つの麻袋を腰につけて出かけるのである。
ちょうねくたい	蝶ネクタイ [→ ボータイ、→ ネクタイ]	一本
ちょうば	跳馬	一台、一基
ちょうはん	打板・長板・打版 [→ 雲版]	一面、一口（こう・く）、一基
ちょうはん	※ 文化財では一面、一口、一基が見られる。《付録》
ちょうひょう	帳票	帳票は、帳簿・伝票類などの総称帳簿：一冊、一帖（じょう）、一綴（つづり）伝票：一枚、一葉（よう）、一通、一冊、一綴（つづり）
ちょうぼ	帳簿	一冊、一帖（じょう）、一綴（つづり）
ちょうぼ	作品を見る【参考】下村湖人「次郎物語第三部」：帰ってみると、俊亮は默然として茶の間に坐っていた。二三冊の帳簿をまえにひろげ、団扇も使わないで、じっと何か考えているふうだったが、次郎を見ると、すぐ台所の方を向いて言った。
ちょうほう	弔砲	一発
ちょうほう	作品を見る【参考】平田晋策「昭和遊撃隊」：獅子山（ししざん）の砲台は、二十一発の弔砲を鳴らして、わが勇士の霊をとむらうのであった。
ちょうめん	帖面・帳面 [→ ノート]	一冊、一帖（じょう）、一綴(つづり・てつ・てい）、一ページ
ちょうめん	作品を見る【参考】夏目漱石「道草」：硯箱（すずりばこ）や状袋（じょうぶくろ）や巻紙がきちりと行儀よく並んでいる傍に、簿記用の帳面が赤い脊皮（せがわ）をこちらへ向けて、二、三冊立て懸けてあった。それから綺麗（きれい）に光った小さい算盤（そろばん）もその下に置いてあった。【参考】泉鏡花「遺稿」：境内わきの、左手の庵室、障子を閉して、……たゞ、假に差置いたやうな庵ながら構は縁が高い、端近に三寶を二つ置いて、一つには横綴の帳一册、一つには奉納の米袋、ぱら／＼と少しこぼれて、おひねりといふのが捧げてある、眞中に硯箱が出て、朱書が添へてある。【参考】泉鏡花「註文帳」：後（うしろ）ざまに棚なる小箱の上から、取下（とりおろ）した分厚な一綴（てつ）の註文帳。
ちょうもく	鳥目 [→ 銭]	一枚、一個、一匹・一疋、一緡（さし・びん）、一結（ゆい・けつ）、一貫・一貫文（かん・かんもん）、一掴（つかみ）など。［→ 銭］の項参照。
	【知識】昔の穴あき銭の形が鳥の目に似ていたことから、「銭」「金銭」を表す言葉として使われる。「御鳥目・お鳥目（おちょうもく）」とも。また、同じく鳥の目の形から「鵞眼・鵝眼（ががん）」とも。また、「青鳧・青鳬・青蚨（せいふ）」とも。[→ 銭] 穴あき銭の代表的なものは、中国から移入され、江戸初期まで広く流通した「永楽通宝」。　永楽通宝拡大【知識】『言継卿記（ときつぐきょうき）（弘治三年〈1557年〉一月廿九日）』「従御黒木音曲本十六冊被返之、并富士海苔一折賜之、次松井弥介紙一束、養生薬ヽヽ持来、次中御門暇乞に被来、紙一束、ふすべ草二枚、鳥目百疋被送之、同隼人に五十疋、与二郎、与三郎等に二十疋宛被遣之、勧一盞了、」
	作品を見る【参考】森鴎外「高瀬舟」：それからこん度島へおやりくださるにつきまして、二百文（もん）の鳥目（ちょうもく）をいただきました。それをここに持っております。」こう言いかけて、喜助は胸に手を当てた。遠島を仰せつけられるものには、鳥目二百銅をつかわすというのは、当時の掟（おきて）であった。【参考】森鴎外「佐橋甚五郎」：饗応に相判などはなかった。膳部（ぜんぶ）を引く頃（ころ）に、大沢侍従（おおさわじじゅう）、永井右近進（ながいうこんのしん）、城織部（じょうおりべ）の三人が、大御所のお使として出向いて来て、上（かみ）の三人に具足三領、太刀三振（たちみふり）、白銀三百枚、次の三人金僉知（きんせんち）らに刀三腰（とうみこし）、白銀百五十枚、上官二十六人に白銀二百枚、中官以下に鳥目（ちょうもく）五百貫を引物（ひきもの）として贈（おく）った。【参考】長谷川時雨「尼たちへの消息 ――よく生きよとの――」：日蓮は凡夫なれば能（よく）は知（しら）ず。是（これ）併（しかし）、日蓮が符（ふ）を進（まゐ）らせし故（ゆゑ）也（なり）。さこそ父母（ふぼ）も悦（よろこ）び給覽（たまふらん）。誠に御祝として、餅、酒、鳥目（てうもく）一貫文（くわんもん）送給候畢（おくりたまひさふらひぬ）。是（これ）また、御本尊（ごほんぞん）十羅刹（らせつ）に申上て候。【参考】野村胡堂「錢形平次捕物控六軒長屋」：親孝行で綺麗で、掃溜（はきだめ）に鶴の降りたやうな清純な感じのするのが、幾日か滯（とゞこほ）つた日濟しの金――と言つても、緡（さし）に差した鳥目を二本、袂（たもと）で隱してそつと裏口から覗くと、開けつ放したまゝの見通しの次の間に、人相のよくない烏婆アが、手拭で縊り殺されて、凄じくも引つくり返つて居たのです。【参考】原勝郎「東山時代における一縉紳の生活」：越後においては上杉の雑掌神余がかくのごとく実隆に親交ある以上、その主人たる上杉が、実隆に音信を通ずるにおいて、何の不思議もなく、永正六年に実隆よりして兵庫頭定実に遣わした書状の返事が、翌年七月に神余の手を経て実隆にいたされ、それと同時に太刀一腰と鳥目（ちょうもく）千疋とを送ってきた。その後も交通の継続しておったことは、日記からして想像される。【参考】佐々木味津三「右門捕物帖血染めの手形」：だのに、怪しいそのさるまわしは、たえず何者かを恐れつつ、それでいてたえず何者かを捜し求めでもするかのように、きょときょととまわりを見まわしながら、どっかりと道ばたに腰をすえると、道ゆく城下の人たちを集めて、一文二文のお鳥目を請い受けながら、じょうずにさるをあやつりました。
ちょうるい	鳥類 [→ 鳥]	一羽（わ）、一匹・一疋 [主に小型のものに使うことがある]、一翼（は・はね・よく）、一翅（し）、一隻（せき） [主に獲物として]、一頭 [ダチョウなど大型のもので]、一群（ぐん・むれ）[渡り鳥などの群れで]、一団（だん）[群れで]、一体 [主に学術上などで]
ちょーく	チョーク [→ 白墨]	一本、一箱
ちょきぶね	猪牙舟・猪牙船 [→ 船・舟]	一艘（そう）、一隻（せき）
ちょきぶね	⇒ 種類による船の数え方 ⇒ 江戸時代の様々な船
ちょきんつうちょう	貯金通帳	一通、一冊
ちょきんつうちょう	作品を見る【参考】海野十三「俘囚（ふしゅう）」：それは数冊の貯金帖を発見したことだったが、その帖面の現在高は、云いあわせたように、いずれも一円以下の小額だった。
ちょきんばこ	貯金箱	一個
ちょくじゃく	直尺 [→ 定規]	一本、一枚
ちょくせん	直線	一本、一線、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）
ちょこ・ちょく	猪口 [→ お猪口、→ 杯・盃]	一個、一つ、一口（こう・く・くち）、一杯 [飲む]、一組 [五個など複数で]
	※ 文化財では一口（く）という表現が見られる。
	作品を見る【参考】幸田露伴「貧乏」：飯茶碗（めしぢゃわん）が二つ、箸箱（はしばこ）は一つ、猪口（ちょく）が二ツと香（こう）のもの鉢（ばち）は一ツと置ならべられたり。【参考】夏目漱石「吾輩は猫である」：平生なら猪口（ちょこ）に二杯ときめているのを、もう四杯飲んだ。二杯でも随分赤くなるところを倍飲んだのだから顔が焼火箸（やけひばし）のようにほてって、さも苦しそうだ。【参考】三遊亭圓朝鈴木行三校訂・編纂「西洋人情話英国孝子ジョージスミス之伝」：又作はぐい飲み、猪口（ちょく）で五六杯あおり附け、追々酔（えい）が廻って来た様子で、
ちょごり	チョゴリ・赤古里・襦・저고리	一枚、一着
ちょこれーと	チョコレート	一枚、一個、一粒、一片、一本 [チューブなどで]、一箱、一袋
ちょこれーと	作品を見る【参考】久生十蘭「キャラコさん　女の手」：（キャラコの分）コッペ二つ、レモン二個、角砂糖一箱、板チョコレート二枚。【参考】百瀬慎太郎「案内人風景」：指節の高く太い彼の掌を、心中で「なんてグロテスクな手だろう」と思いながらその上へ、ポトリと、一個のチョコレートを落し与えたのである。
ちょさく・ちょさくぶつ	著作・著作物	一作、一作品、一点
ちょしょ	著書 [→ 本]	一作、一作品、一冊、一部、一点
ちょすいそう	貯水槽	一台、一基
ちょぞうこ	貯蔵庫	一台、一基 [大型のもの] 、一棟（むね・とう） [建物で]
ちょぞうたんく	貯蔵タンク	一台、一基
ちょっき	チョッキ [→ ベスト]	一枚
ちらし	チラシ・散らし [→ ビラ、→ フライヤー]	一枚、一葉（よう）、一片、一面
ちらし	作品を見る【参考】織田作之助「勧善懲悪」：辛うじて木版と半紙を算段して、五十枚か百枚ずつ竹の皮でこすっては、チラシを手刷りした。が、人夫を雇う金もない。已むなく自ら出向いて、御霊神社あたりの繁華な場所に立って一枚一枚通行人に配った。
ちり	塵 [→ 埃、→ ごみ、→ 屑]	一筋（すじ）、一片（ひら・へん）、一葉（よう・は）、一枚（ひら）、一粒、一本、一点、一つ、一団
ちり	作品を見る【参考】寺田寅彦「映画時代」：プロットにないよけいなものは塵（ちり）一筋も写さないというのが立て前であるらしい。【参考】石川啄木「菊池君」：雪は五寸許りしか無かつたが、晴天續きの、塵一片浮ばぬ透明の空から、色なき風がヒユウと吹いて、吸ふ息毎に鼻の穴が塞る。【参考】石川啄木「赤痢」：空は、仰げば目も眩む程無際限に澄み切って、塵一片飛ばぬ日和であるが、【参考】泉鏡花「竜潭譚（りゆうたんだん）」：淵の上には、塵（ちり）一葉（ひとは）の浮べるあらで【参考】泉鏡花「湯女の魂」：塵（ちり）一ッ葉（ぱ）も目を遮らぬこの間の内に床が一つ、草を銜（くわ）えた神農様の像が一軸懸（かか）っておりまするので、【参考】坂口安吾「白痴」：その芸術の前ではただ一粒の塵埃（じんあい）でしかないような二百円の給料がどうして骨身にからみつき、【参考】樋口一葉「たけくらべ」：私の事を女郎女郎と長吉づらに言はせるのもお前の指圖、女郎でも宜いでは無いか、塵一本お前さんが世話には成らぬ、【参考】織田作之助「猿飛佐助」：天井からは塵一本落ちて来なかったので【参考】坂口安吾「竹藪の家」：広い視界は唯一（ひと）つの、白金の光芒を放って、チリチリと旋回する一点の塵と化している。【参考】徳冨蘆花「小説　不如帰」：主人が年若く粗豪なるに似もやらず、几案（きあん）整然として、すみずみにいたるまで一点の塵（ちり）を留（とど）めず、あまつさえ古銅瓶（へい）に早咲きの梅一両枝趣深く活（い）けたるは、温（あたた）かき心と細かなる注意と熟練なる手と常にこの室（へや）に往来するを示しぬ。【参考】伊藤左千夫「茶の湯の手帳」：何から何まで悉く趣味の感じで満たされて居るから、塵一つにも眼がとまる、一つ落着が悪くとも気になる、庭の石に土がついたまで捨てて置けない【参考】ハンス・クリスチアン・アンデルセン　森鷗外訳「即興詩人」：墓に詣でゝは、石上に残れる輪飾（わかざり）の一葉を摘みて、夾袋（きょうたい）の中に蔵（おさ）めつ。われは此石の下に、唯だ一団の塵を留むるのみなるを知る、
ちりがみ	ちり紙・塵紙 [→ 鼻紙、→ ティッシュペーパー、→ 紙]	一枚、一帖（じょう） [百枚]、一締（しめ） [二千枚]
ちりとり	ちり取り・塵取り・塵取 [→ 箒]	一個、一柄（へい・え・から）
ちりとり	※ 文化財では一柄という表現が見られる。
ちりめん	縮緬	一巻（かん）、一反・一端（たん）、一重（かさね）
ちりめん	作品を見る【参考】森鷗外「護持院原の敵討」：りよへも本多から「反物代千疋（たんものだいせんびき）」を贈り、本多の母から「縞縮緬一反、交肴一折（まぜさかなひとをり）」を贈った。【参考】中里介山「大菩薩峠勿来の巻」：お雪ちゃんは、座敷へ戻って見ると、まず目についたのは、衣桁（いこう）にかけっぱなしになっていた、一重ねの小紋縮緬です。
ちりれんげ	散り蓮華 [→ 蓮華]	一本
ちろり	銚釐 [→ 銚子]	一本
	【知識】銚釐は酒をあたためる金属の筒状の器。灰にさして使うなどする。
	作品を見る次の作品は、銚釐の数え方ではありませんが、銚釐が登場する参考作品として引用しました。【参考】佐藤垢石「すっぽん」：このたびの羮も、往年の味に少しの変わりもない。美漿（びしょう）融然として舌端に蕩（と）け、胃に降ってゆく感覚は、これを何に例えよう。これに誘われ酒の芳醇、吟々として舌根にうったえる。私は、銀色の銚釐（ちろり）を静かに小杯に傾けながら、夫人が語るすっぽんの割烹譚を興深く聞いた。
ちん	亭 [→ あずまや]	一宇（う）、一棟（むね・とう）
ちん	作品を見る【参考】国枝史郎「仇討姉妹笠」：四方を木々に囲まれながら、一宇の亭（ちん）が立っていて、陶器（すえもの）で造った円形の卓が、
ちんじゅつしょ	陳述書	一通、一枚、一葉（よう）
ちんぱんじー	チンパンジー [→ 動物]	一頭、一匹・一疋
ちんれつだい	陳列台	一台、一本

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ものの数え方・助数詞
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