ものの数え方・助数詞【は行−ふ】【みんなの知識ちょっと便利帳】

= ふ =

もの		数え方
ふコピーサイトが見受けられます。著作権侵害という犯罪データの無断転載を禁じます。未经授权的复制是非法的
ふ	麩	一連、一個、一枚、一片、一本、一袋
ふ	作品を見る【参考】寺田寅彦「からすうりの花と蛾」：しかし鳥獣をうらやんだ原始人の三つ子の心はいつまでも生き延びて現代の文明人の社会にも活動している。蛾をはたき落とす猫をうらやみ賛嘆する心がベースボールのホームランヒットに喝采（かっさい）を送る。一片の麩（ふ）を争う池の鯉（こい）の跳躍への憧憬（どうけい）がラグビー戦の観客を吸い寄せる原動力となるであろう。
ふぁいばーすこーぷ	ファイバースコープ	一台、一式
ふぁいる	ファイル [文具]	一冊
ふぁいる	ファイル [コンピューター]	一つ、一ファイル、一個
ふぁいるきゃびねっと	ファイルキャビネット	一台、一本、一基
ふぁくしみり	ファクシミリ	一通、一件、一枚、一台 [機械]
ふぁくす	ファクス [ファクシミリ]	一通、一件、一枚、一台 [機械]
ふぁごっと	ファゴット [→ バスーン、→ 楽器]	一本、一管
ふぁすなー	ファスナー [→ ジッパー、→ チャック]	一本 [線ファスナーのこと]
ふぁすなー	【知識】「ジッパー」はアメリカの元登録商標。「チャック」は巾着（きんちゃく）をもじって出来た日本の元登録商標。
ふぁっしょんぶっく	ファッションブック・fashion book	一冊、一部
ふぁん	ファン [→ 送風機、→ ブロワ]	一台、一個、一基
ふぁんひーたー	ファンヒーター [→ ストーブ、→ ヒーター]	一台、一基
ふぁんねる	ファンネル	一本、一個 [→ 漏斗]
ぶい	ブイ	一基、一本、一台
ふぃぎゅあ	フィギュア	一体、一個、一台など
ふいご	鞴	一台、一座、一口（こう・く・くち）、一穂（ほ）
ふいご	作品を見る【参考】久生十蘭「藤九郎の島」：仕掛から仕上げまで、大体三年と踏み、とりあえず久七が鞴（ふいご）を一座つくることになった。
ぶいてぃーあーる	ブイティーアール・VTR・Video tape recorder [→ 録画機]	一台
ふぃらめんと	フィラメント	一本
ふぃるたー	フィルター	一枚、一個、一台
ふぃるむ	フィルム	一本、一巻（まき・かん）、一齣（こま）、一枚、一葉（よう）、一リール [映画]
ふぃるむ	作品を見る【参考】渡辺温「十年後の映画界」：現在「αω（アルファ・オメガ）に就いて」と云うその種のフィルムが一本蔵ってありますが、お望みならば、何時でも内密でお眼にかけましょう。【参考】岡本かの子「ダミア」：フランスの一映画会社が彼女をスターにして大仕掛けのフィルム一巻をこしらえた。【参考】原民喜「美しき死の岸に」：青空を背景に斜に倒れてゆく静かな樹木の一瞬の姿は、フィルムの一齣（こま）ではないかとおもわれた。【参考】海野十三「鬼仏洞事件」：新政府は、更に強硬なる第二の抗議書を送り、且つその抗議書に添えて、風間三千子が撮影した顔子狗の最期（さいご）を示すフィルムの一齣（ひとこま）を引伸し写真にして添付（てんぷ）した。【参考】寺田寅彦「話の種」：たた一つの幻灯器に一枚の長いフィルムを使って天然色を現すのである。
ふぃん	フィン	一枚
ぶーけ	ブーケ	一束、一個、一つ
ふうこうけい	風向計	一台、一基
ふうしゃ	風車	一基、一台、一本 [風力発電の風車などで、形状から「本」と数えられることも。羽根の枚数でも]、一枚 [羽根の枚数で]
ふうしょ	封書	一通、一封、一本
ふうしょ	作品を見る【参考】夏目漱石「三四郎」：下女が下から湯沸（ゆわかし）に熱い湯を入れて持ってきたついでに、封書を一通置いていった。また母の手紙である。【参考】石川啄木「雲は天才である」：変な目をしてオズ／＼自分を見乍ら、一通の封書を卓子に置く。そして、玄関の方角に指ざし乍ら、左の目を閉じ、口を歪め、ヒョットコの眞似をして【参考】伊藤野枝「出奔」：出て見ると三通の封書を渡された。一通はＮ先生、一通は光郎、あとのはねずみ色の封筒に入った郵便局からのだ、あけて見ると電報為替だ。【参考】永井荷風「来訪者」：或日平秩東作の随筆水の行衛を持つて来たついでに、仲間の糶市（せりいち）に偶然わたくしの若い時分の手紙が出たからと言つて、二通の封書を見せてくれた。二通とも新橋の藝妓に送つたものであるが、二三度読返しながらいくら考へて見ても記憶を呼返すことができない。【参考】宮本百合子「日は輝けり」：鉄の文鎮（ぶんちん）の下に、一本の封書を発見した。
ふうしんき	風信器	一台、一基
ぶーす	ブース	一ブース、一つ、一区画
ふうせん	風船	一枚、一本、一個
ふうそくけい	風速計	一台、一基
ふうたい	風帯	一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一対
ふうちん	風鎮	一個、一玉、一対・一組 [二個で]
ぶーつ	ブーツ	一足、一揃（そろい）、一組
ふーど	フード [→ 頭巾]	一枚、一頭（かしら）
ふうとう	封筒	一枚、一葉（よう）、一封 [手紙などが入って]、一通 [手紙などが入って]
ふうとう	作品を見る【参考】宮本百合子「獄中への手紙一九三七年（昭和十二年）」：けさ、眼鏡をまだかけないで下へ降りてテーブルを一寸見たら、心待ちにしている例の封緘がなくてハトロン封筒が一枚あり。【参考】大阪圭吉「あやつり裁判」：チョッキのかくしから、茶色の封筒が一枚抜き出されて来たんですが、【参考】小栗虫太郎「黒死館殺人事件」：法水の手に一葉の大型封筒が握られていた。【参考】石川啄木「歌のいろ／＼」：さうして前の日と同じ色の封筒に同じ名を書いた一封を他の投書の間に見付けた時、私はこの人が本當に毎日投書する積なのかと心持眼を大きくして見た。【参考】宮本百合子「父の手紙」：白い西洋封筒は軽い薄い雁皮の紙ながら、ふっくりと厚くて、その一封の便りが印度洋を越えてロンドンまで行くということが、母には判っているような心許ないような気がしたのだろう。【参考】甲賀三郎「支倉事件」：妻のきみ子はいそ／＼と彼を迎えたが、やがて一通の封筒を差出した。書留速達で来たものだった。【参考】浜尾四郎「死者の権利」：土田氏はかく語って徐（おもむ）ろに一通の封筒を開いて読みはじめた。
ふーどかばー	フードカバー	⇒ 蠅帳・はいちょう
ふーどぷろせっさー	フードプロセッサー [→ ミキサー、→ ブレンダー]	一台
ふうふ	夫婦	一組、一対、一カップル
ふうふ	作品を見る【参考】岸田國士「屋上庭園」：二組の夫婦が一団になって、雑談を交している。一方は裕福な紳士令夫人タイプ、一方は貧弱なサラリイマン夫婦を代表する男女である。【参考】夏目漱石「こころ」：私（わたくし）の知る限り先生と奥さんとは、仲の好（い）い夫婦の一対（いっつい）であった。【参考】島崎藤村「家（下）」：三吉夫婦の周囲（まわり）には、お俊夫婦、お愛夫婦などの若い一対が幾組も出来たばかりでなく、お福まで、勉と一緒に子供を連れて出て来て、東京に世帯を持つように成った。【参考】福沢諭吉「日本男子論」：人間生々（せいせい）の約束は一家族に止（とど）まらず、子々孫々次第に繁殖すれば、その起源は一対の夫婦に出（いず）るといえども、幾百千年を経（ふ）るの間には遂に一国一社会を成すに至るべし。
ふーぷ	フープ	一本
ぶーめらん	ブーメラン [→ チャクラム]	一本
ふうりょくはつでんき・ふうりょくはつでんせつび	風力発電機・風力発電設備	一基、一台、一本 [形状から「本」と数えられることも]
ふうりょくはつでんしょ	風力発電所	一箇所（一か所・一カ所）、一棟（むね・とう） [建屋で]、一基 [風車・発電機の数]
ふうりん	風鈴	一個、一本
ぷーる	プール	一面、一コース、一台 [スタート台]、一基 [飛び込み台]
ふうろ	風炉	⇒ 風炉［ふろ］
ふえ	笛 [→ 音孔、→ 楽器]	一管、一挺［一丁］（ちょう）、一枝（し）、一本、一茎、一笛（てき）、一穴（けつ）・一孔（こう） [笛に開けられた音の高さを変えるための穴で]
	※ 文化財では一管という表現が見られる。
	作品を見る【参考】西尾正「放浪作家の冒険」：天蓋（てんがい）を被った蒼古な虚無僧（こむそう）のいでたちで、右手に一管の笛、懐ろにウィスキイを忍ばせつつ、【参考】幸田露伴「雪たたき」：巧みに一枝（いっし）の笛を取返すことの必要を此家の主人に会得させ、【参考】牧野信一「緑の軍港」：莨をとって、そっとライターを点けた時、不図仁王のような腕だけがぬッと傍らに突き出ているのに、ハッと思うと、その拳にはしっかりと一本の銀笛が握られていた。【参考】宮本百合子「獄中への手紙一九四〇年(昭和十五年)」：覚えていらっしゃるかしら、若草に顔を近く、一茎の葦笛をふくうたです。【参考】川上眉山「団円」：此度は待宵自ら、三十五絃の瑶琴（たまごと）を弾ずれば、時期仙（じきせん）は十八孔（こう）の玉笛を鳴らして、雲井の塵を動かす中に、【参考】寺田寅彦「日本楽器の名称」：またポーランドのピスチャルカと称するものは六孔の縦吹きのした笛であるが、この品物自身もその名前とともにヒチリキに類するのが不思議である。
ふえのね	笛の音	一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）
ふえのね	作品を見る【参考】国枝史郎「神州纐纈城」：さまざまの騒音の中から一筋清涼たる笛の音が律呂（りつりょ）正しく聞こえるようであった。【参考】国枝史郎「蔦葛木曽棧」：長い坂道を上り切ると、やがて平地へ出たらしい。修験者はにわかに足を止めて、四辺（あたり）の様子を窺（うかが）ったが、間もなく修験者の口の辺から笛の音が一筋流れ出て夜の闇の中に散って行った、どうやら合図の笛らしい。忽ち前方の闇黒（くらき）中に灯火が一点浮かび出た。人魂のように左右に揺れ、そのまま消えて闇となった。
ふぇりー・ふぇりーぼーと	フェリー・フェリーボート [→ 船]	一隻（せき）、一艘（そう）
ふぇるとぺん	フェルトペン [→ サインペン]	一本
ふぇんす	フェンス	一枚、一スパン、一囲（かこい）、一基
ふぉあ	フォア [→ ペア、→ 船]	一艇（てい）、一艘（そう）
ふぉあ	※ 四人で漕ぐレース用ボート。
ふぉーく	フォーク	一本、一組 [五本など]
ふぉーく	作品を見る【参考】夢野久作「ドグラ・マグラ」：三切れのパンと、野菜の皿と、一本のフォークと、栓（せん）をしたままの牛乳の瓶とが転がっている。
ふぉーくりふと	フォークリフト	一輛・一両、一台
ふぉぐらいと・ふぉぐらんぷ	フォグライト・フォグランプ	一灯、一組、一セット
ふぉとすたんど	フォトスタンド [→ 写真立て、→ フォトフレーム]	一台、一枚
ふぉとふれーむ	フォトフレーム [→ フォトスタンド、→ 写真立て]	一台、一枚

ふかあみがさ

深編み笠・深編笠

⇒ 編笠

ぶがく

舞楽

一曲、一番、一帖、一舞

作品を見る

【参考】高楠順次郎「東洋文化史における仏教の地位」：舞楽は多く仏哲が教えたもので、宮中に今残っている二十八番の舞楽の中で仏哲の手に触れない音楽は殆どないといって差支えない。
【参考】和辻哲郎「古寺巡礼」：これらの歌舞が一わたりすむと、その次が唐及び高麗（こま）の舞楽である。演奏の順序は唐古楽一舞、唐散楽一舞、林邑楽（りんゆうがく）三舞、高麗楽一舞、唐中楽一舞、唐女舞一舞施袴二十人、高麗楽三舞、高麗女楽、――かくしてついに日が暮れる。

ふき

フキ・蕗 [→ 植物]

一本、一茎、一株、一把（わ）、一束（たば）

作品を見る

【参考】夏目漱石「行人」：その隅（すみ）に秋田から家主が持って来て植えたという大きな蕗（ふき）が五六本あった。
【参考】小島烏水「梓川の上流」：宿屋界隈に多いのは蕗（ふき）で、大きいのは五、六尺の丈に達する、飛騨の蒲田から焼岳を越して来る人も、島々から徳本峠を越して来る人もこの宿で落ち合うが、荷物に蕗の五、六茎を括りつけていないのはない、

ふきながし

吹流・吹流し・吹き流し [→ 鯉のぼり]

一本、一旒（りゅう）、一流（ながれ・りゅう）

ふきのとう

フキノトウ・蕗の薹

一個、一本

作品を見る

【参考】室生犀星「庭をつくる人」：わたくしはある朝、蒼黒い棄石のきわに一本の蕗の薹を眺め、凝然と驚いて瞠って眺めた。それは一本のかんざしを持った何か巨大な生きものの、微笑み跼まるのに眼がふれたからであった。

ふきのは

蕗の葉

一枚、一葉（よう）

作品を見る

【参考】野村胡堂「大江戸黄金狂」：山馴れのした丈太郎は、直ぐ側にある蕗（ふき）の葉を一枚取って、裏表を透して汚れのないのを確かめると、器用に曲げて、盃を作りました。

ふきぬき

吹貫・吹き貫 [→ 吹流]

一本、一旒（りゅう）、一流（ながれ・りゅう）

作品を見る

【参考】菊池寛「大阪夏之陣」：大阪方でも、戦備に忙しく、新規浪人を募集し、秀頼自ら巡視した。「茜（あかね）の吹貫（ふきぬき）二十本、金の切先の旗十本、千本鑓（やり）、瓢箪の御馬印、太閤様御旗本の行列の如く……」と、『大阪御陣覚書』に出ている

ふきや

吹き矢・吹矢 [矢で]

一本

吹き矢・吹矢 [筒で]

一本、一筒（とう）、一管

作品を見る

【参考】泉鏡花「唄立山心中一曲」：これが伊勢だと、あすこを狙（ねら）って吹矢を一本——と何も不平を言うのではない、

ふきん

布巾

一枚

作品を見る

【参考】小林多喜二「独房」：蓋（ふた）付きの茶碗二個。皿一枚。ワッパ一箇。箸（はし）一ぜん。――それだけ入っている食器箱。フキン一枚。土瓶（どびん）。湯呑茶碗一個。

ふく

服 [→ 洋服、→ 和服、→ 着物]

一着、一枚、一組、一重（かさね）、一襲（かさね・しゅう）、一領（りょう）、一具（ぐ）、一腰、一揃（そろえ・そろい）、一点など

※ 詳しくは該当する各項をご覧ください。

ふぐ

フグ・河豚 [→ 魚]

一匹・一疋、一尾

ぶぐ

武具 [→ 鎧、→ 甲冑、→ 着背長]

一領（りょう・くだり）、一具（ぐ）、一帖、一組、一着

ふくさ

袱紗・服紗・帛紗

一枚、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

※ 文化財では一枚という表現が見られる。

ふくじ

服地 [→ 布、→ 反物、→ 呉服]

一幅、一着分

ふくしゃき

複写機 [→ コピー機]

一台

ふくしょくぶつ

副食物

一皿、一汁（じゅう）、一菜（さい）

ふくびき

福引き・福引 [→ 籤]

一本、一枚

作品を見る

【参考】海野十三「軍用鼠」： ――女流探偵作家梅ヶ枝十四子（うめがえとしこ）は、先日女学校の同窓会に招ばれていって、一本の福引を引かされた。それを開いてみると、沂水流（ぎすいりゅう）の達筆で「鼠の顔」と認めてあった。
【参考】久生十蘭「ノンシャラン道中記　八人の小悪魔」：乾物のお買物は、広場の角の家が一番安く、パン屋はその向いの青ペンキ塗の家、酒屋はその向いの「蟹の夢」屋という家に限ること。なぜなれば、この三軒は一法（フラン）の買物ごとに福引券を一枚ずつくれるからで、福引券が貯りましたらば、ご出立の際、わたくしにいただかしてもらいたいこと。

ふくびきき

福引き器・福引き器

⇒ 抽選器

ふくぶくろ

福袋

一袋

ふくべ

瓢・瓠・匏

⇒ 瓢箪（ひょうたん）のこと。
特に果実から作った酒などを入れる容器。

ふくほん

副本

一通

ふくろ

袋

一枚、一口（こう・く・くち）

【知識】「口」は、『多度神宮寺伽藍縁起資財帳』『續日本後紀』『延喜式』などに見られる。

『多度神宮寺伽藍縁起資財帳（延暦20年〈801年〉）』

袋七口　一口綴　一口錦　一口押纈　四口羅

『續日本後紀〈十二仁明〉（承和九年〈842年〉）』

二口納_二珠繩袋_一、二口納_二帛袋_一

『延喜式（えんぎしき）（延長5年〈927年〉［］成立）』

「絞_レ糖布袋十二口」「漉_レ粉薄絹袋水篩各二口」「擧_レ粉暴布袋二口」

袋 [に入れたもの]

一袋（たい・ふくろ）、一封、一叺（かます）、一本 [土嚢などで]

【知識】叺（かます）は、むしろを二つに折って袋にしたもの。紙製の袋が作られるようになってからはあまり使われなくなった。

作品を見る

【参考】村山籌子「月謝の袋を失くしたあひるさん」：「ああ、私（わたし）が月謝の袋屋さんだったら！　私はどんなに幸だったろう。私はこんなに心配しないでもすんだのに。そして私は月謝の袋をなくして、心配で心配で泣いている世界中の子供に、一枚づつ、ただで上げるのに！」
【参考】太宰治「グッド・バイ」：彼は、電話の番号帳により、キヌ子のアパートの所番地を調べ、ウイスキイ一本とピイナツを二袋だけ買い求め、腹がへったらキヌ子に何かおごらせてやろうという下心、
【参考】甲賀三郎「琥珀のパイプ」：丁度当時のどの若い会社員もした様な一分の隙もない服装で、揚々としてふくらんだ胸、そこには本月分の俸給の袋と、もう一封それは今年の夏は多分駄目とあきらめていた思いがけないボーナスの入った袋をしっかり収めて、

ふくろう

フクロウ・梟 [→ 鳥]

一羽（わ）、一匹・一疋、一翼（は・はね・よく）、一翅（し）、一羽撃・羽搏（はばたき） [はばたく動作のこと]、一番（つがい）

作品を見る

【参考】芥川龍之介「誘惑 ――或シナリオ――」：「さん・せばすちあん」はもう一度十字架の前に祈っている。そこへ大きい梟（ふくろう）が一羽さっとどこからか舞い下って来ると、一煽（あお）ぎに蝋燭の火を消してしまう。が、一すじの月の光だけはかすかに十字架を照らしている。
【参考】宮沢賢治「二十六夜」：林はまたしずまりかえりました。よくよく梢をすかして見ましたら、やっぱりそれは梟でした。一疋（ぴき）の大きなのは、林の中の一番高い松の木の、一番高い枝（えだ）にとまり、そのまわりの木のあちこちの枝には、大きなのや小さいのや、もうたくさんのふくろうが、じっととまってだまっていました。

ふくろもの

袋物

一袋（たい・ふくろ）、一叺（かます）

【知識】叺（かます）は、むしろを二つに折って袋にしたもの。紙製の袋が作られるようになってからはあまり使われなくなった。

ふけい

符契

⇒ 割符

ふさ

総・房

一房、一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

作品を見る

【参考】国枝史郎「蔦葛木曽棧」：羽（は）ぶくら際（ぎわ）に紅（くれない）の総（ふさ）が一筋タラリと下がっている。

ぶざー

ブザー

一個、一台

ふさようじ

房楊枝・房楊子 [→ 楊枝、→ 黒文字]

一本

【知識】房楊枝は歯磨きに使われた。柳や黒文字（くろもじ）などの枝を細く削り、煮て柔らかくし一端を木槌で叩いて房状にしたもの。
ブラシ状になっている部分で歯を磨き、尖った方で歯間の汚れを取り除く。仕上げに柄のカーブした部分で舌をこすり、舌苔（ぜったい）の掃除をする。

江戸時代の錦絵に「房楊枝」が見られる。
月岡芳年「風俗三十二相めがさめさう　弘化年間むすめの風俗」	歌川国芳「東海道五十三対石部」
月岡芳年「新柳二十四時　午前八時」
歌川芳藤「しん板なぞなぞ双六」『隠居様と掛けて何と解く。余所へ泊った朝と解く。心は、ようじがない』＊子どもが持っているのが房楊枝。「おじいちゃんの楊枝はないよー（おじいちゃんには用事がない）」と言っているのか？

房楊枝についての参考作品

【参考】芥川龍之介「奇怪な再会」：寄席（よせ）へ行った翌朝（よくあさ）だった。お蓮（れん）は房楊枝（ふさようじ）を啣（くわ）えながら、顔を洗いに縁側（えんがわ）へ行った。縁側にはもういつもの通り、銅の耳盥（みみだらい）に湯を汲んだのが、鉢前（はちまえ）の前に置いてあった。
【参考】泉鏡花「日本橋」：　そこが中庭になる、錦木の影の浅い濡縁で、合歓（ねむ）の花をほんのりと、一輪立膝の口に含んだのは、五月初の遅い日に、じだらくに使う房楊枝（ふさようじ）である。
その背後（うしろ）に、座敷が見えて、花は庭よりもそこに咲いて、眉の緑の年増も交る。
【参考】三好十郎「冒した者 ――Ｓの霊に捧げる――」：なんしろお前、毎朝房ようじに塩を附けて歯あ磨かないでは磨いたような気がしない、俺が場立ちに出かける時あ、かかさず、うしろから切り火を打ってくれると言った女だ。
【参考】谷崎潤一郎「刺青」：清吉の憧れごゝちが、激しき恋に変って其の年も暮れ、五年目の春も半ば老い込んだ或る日の朝であった。彼は深川佐賀町の寓居で、房楊枝（ふさようじ）をくわえながら、錆竹（さびたけ）の濡れ縁に萬年青（おもと）の鉢を眺めて居ると、庭の裏木戸を訪（おとな）うけはいがして、袖垣のかげから、ついぞ見馴れぬ小娘が這入って来た。

ふじ

フジ・藤 [→ 藤棚、→ 植物、→ 花房]

一房、一本、一株

作品を見る

【参考】魯迅　井上紅梅訳「不周山」：慌（あわただ）しく手を押して、山の上から上空へと延べている紫藤（むらさきふじ）の一株を引き抜き、咲いたばかりの大きい藤の花の一房々々を打ち振れば、藤の花は地上に落ち、半紫半白の花弁が一面に散り敷いた。
【参考】宮本百合子「獄中への手紙一九三六年（昭和十一年）」：あなたのところの蘭はまだ活々として居りましょうか。白藤の花は三房あります。

ふしぎ

不思議

一つ、一不思議 [「世界七不思議」など]

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【参考】菊池寛「川中島合戦」：秀吉、家康に向って嗟嘆して曰く、「今茲（ここ）に二つの不思議あり、君知れりや」と。家康曰く「一つは三楽ならん、二つは分らず」と。
【参考】芥川龍之介「追憶」：そのころはどの家もランプだった。したがってどの町も薄暗かった。こういう町は明治とは言い条、まだ「本所（ほんじょ）の七不思議」とは全然縁のないわけではなかった。
【参考】佐々木味津三「右門捕物帖　村正騒動」：七の数は、七化け、七不思議、七たたりなどと称して、あまり気味のよくないほうに縁が多いようですが、しかし右門のこの七番てがらばかりは、いたって小気味のよい捕物（とりもの）美談ともいうべきもので、
【参考】伊丹万作「映画界手近の問題」：だれかが私に映画界の七不思議を選定してみないかといったら、私は即座に四社連盟をあげる。そしてあとの六つはだれか他の人に考えてもらう。

ぶじだな

フジ棚・ぶじ棚・藤棚 [→ 藤、→ パーゴラ]

一架、一基

ふじなみ

藤波・藤浪 [→ 藤]

一房 [藤の花房]

作品を見る

【参考】三好達治「間花集」：

藤浪
そこにとまらうとして　花の前でひと搖り搖れる　蜜蜂の羽音……
勤勉な昆蟲よ　私の半生も　どうかお前に學びたい
さうしてやがて　私の日の終焉（をはり）にも　私は自分を想ひたい
そこに潜りこんで　ひと房の藤浪に　隱れてしまふお前のやうだと

ふすま

襖 [→ からかみ]

一枚、一領（りょう）、一本、一面 [一枚の両面で二面]

※ 文化財では六面三枚というような表現が見られる。

【知識】江戸時代に、喜田川守貞によって書かれた「守貞謾稿（もりさだまんこう）」の『唐紙』の項に、『京坂にてふすま。襖なり。江戸にて、からかみと云ふ。古はこれを障子と云ふ。（中略）からかみは、唐紙障子の下略なり。唐紙と云ひて、舶来の物にあらず。今来舶の物たうしと云ふ。唐、渡音近き故に、来舶には渡紙と書くなり』とある。

「守貞謾稿」は、天保8年（1837）から慶応3年（1867）まで、30年間にわたって書かれた江戸時代後期の風俗史。 []

作品を見る

【参考】正岡子規「墨汁一滴」：病室の三方には襖（ふすま）が十枚あつて茶色の紙で貼つてあるがその茶色も銀の雲形も大方はげてしまふた。
【参考】泉鏡花「婦系図」：一枚の襖（ふすま）音なく、すらりと開（あ）いて入ったのは、座敷帰りの小芳である。

ふせ

布施

一封（ふう）、一包（つつみ）、一回、一度

作品を見る

【参考】種田山頭火「行乞記（一）」：妙な風体を奥さんや坊ちゃんやお嬢さんに笑われながら、御馳走になる、いゝ気持になって（お布施一封までいたゞいて）、寥平さんを訪ねる、
【参考】岡本綺堂「中国怪奇小説集　白猿伝・其他」：紫や緋（ひ）や黄の綾絹（あやぎぬ）をもって幾重にも仏像をつつみ、拝む者があれば先ずその一重を剥（は）いで見せる。一回の布施が十万銭、その正体を拝むまでには幾十万銭に及ぶのであった。

ふせん

付箋

一枚、一片

作品を見る

【参考】大杉栄「日本脱出記」：それがどこかで開封されているかどうか、まず調べて見たが、それらしい形跡は別になかった。ただ附箋が三、四枚はってあったが、それは鎌倉に宛てて書いてあったので、そこから逗子に廻り、さらにまた東京に廻って来た

ふた

蓋

一枚、一個、一蓋（かい）、一扇 [観音開き状の箱の蓋で]

ふだ

札 [→ お札、→ プレート]

一枚、一体 [神社、寺の神札・護符で]

ぶた

ブタ・豚 [→ 動物]

一匹・一疋、一頭、一群（むれ・ぐん） [放牧などで]

ぶたい

舞台 [上演するステージ] [→ ステージ]

一面 [三面舞台、四面舞台など]

舞台 [の上演・公演回数]

一回、一本、一度、一公演、一ステージ、一芝居

舞台 [の構成・区切り]

一幕（まく）、一場（ば）、一景、一齣（こま）

作品を見る

【参考】芥川龍之介「あの頃の自分の事」：自分はとうとう一幕が待ち切れなくって、舞台が廻ったのを潮に、久米をひっぱって外へ出た。
【参考】岡本綺堂「久保田米斎君の思い出」：舞台装置をやるには、一場一場の画をかいてやらなければいけない。
【参考】寺田寅彦「初冬の日記から」：この「与太者（よたもの）ユーモレスク、四幕、十一景」は到底引き延ばせるはずがないので、

ぶたにく

豚肉 [→ 肉]

一塊（かたまり・かい）、一枚、一切（きれ）、一片、一本 [スペアリブなど]

ぶたまん

豚まん［肉まん］

⇒ 中華饅頭・中華まん

ふたもの

蓋物

一合（ごう）、一蓋（かい）

※ 文化財では一合という表現が見られる。

ふだんぎ

普段着・不断着 [→ 晴れ着]

一枚、一着

作品を見る

【参考】太宰治「おしゃれ童子」：普段着いちまい在るきりで、他には、足袋の片一方さえ無い仕末でした。よほど落ちぶれて、困窮しているものと見えます。
【参考】宮本百合子「氷蔵の二階」：そんなしゃれた訳にいくもんですか、ふだん着だって勤め着だって一枚こっきりだわ、私なんぞ

ふっきんだい

腹筋台

一台

ふっく

フック

一個、一本

ぶつぐ

仏具 [→ 法具]

一式、一揃（そろえ）

※ 第一版では「面」を表記していましたが、仏具は多岐に亘るため総称を表記することとし、「面」は削除しました。

ふづくえ

文机

一脚、一台

※ 文化財では一脚という表現が見られる。

ぶっくえんど

ブックエンド

一枚

ぶっくかばー

ブックカバー

一枚

ぶっくすたんど

ブックスタンド [→ 本立て]

一台、一枚 [ブックエンドを指す場合]

ぶっくばんど

ブックバンド

一本

ぶっけん

物件

一件、一物件、一つ、一軒、一棟（むね・とう）、一戸、一区画

ぶっしゃり

仏舎利

⇒ 舎利

ぶつぞう

仏像 [→ 像]

一体、一座 [座像]、一軀・一躯（く）、一頭（かしら）、一尊、一基、一像、一枚 [押出仏で]、一面 [押出仏で]

※ 文化財では一軀という表現が見られる。

仏像の顔

一面（めん）

仏像の手・腕

一臂（ひ）、一本

【知識】仏像の顔を「面」、手・腕を「臂」で数える。一面二臂、一面四臂、三面四臂、三面六臂、四面八臂、八面六臂などの仏像があり、大活躍をすることを「八面六臂の活躍」などとたとえる。

【知識】興福寺（奈良県）の「阿修羅像」は三面六臂である。

奈良県・興福寺の「阿修羅象」は、三つの顔と六本の腕を持つ「三面六臂（さんめんろっぴ）」の仏像で「八部衆立像」の一つ。奈良時代の作で国宝。

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【参考】岡本綺堂「中国怪奇小説集　白猿伝・其他」：彼はさきに埋めたところを掘り起して、一体の仏像を示した。その噂が四方に伝わって、それを拝ませてくれという者が多くなると、彼はまた宣言した。
【参考】蒲原有明「夢は呼び交す ——黙子覚書——」：こういう阿弥陀像はこの外にも二、三あったが、それとは様式の変った如来の立像が一体ある。
【参考】森鷗外「渋江抽斎」：東堂が質に入れたのは、銅仏一躯（いっく）と六方印（ろくほういん）一顆（いっか）とであった。
【参考】中里介山「大菩薩峠弁信の巻」：かくて菩薩像の一躯が成れる後、それを和尚に献じてはや出立の暇乞（いとまご）い。
【参考】濱田耕作「埃及雜記」：印度の如きも多分これと同斷の蠅であつた爲め、四臂六臂の佛像が作り出され、其の一本には必ず拂子を持たせてゐるのであらうと悟つた。
【参考】太宰治「桜桃」：子供たちのこぼしたものを拭くやら、拾うやら、鼻をかんでやるやら、八面六臂（はちめんろっぴ）のすさまじい働きをして、
【参考】吉川英治「上杉謙信」：八面（めん）六臂（ぴ）を相手にしているここちがする。そこで四隣の国々では彼をさして信玄と呼ぶよりも、

ぶったい

仏体 [→ 仏像]

一体、一座 [座像]、一軀・一躯（く）、一尊、一基、一像

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【参考】亀井勝一郎「大和古寺風物誌」：金堂の内部には本尊の薬師如来坐像（ざぞう）を中心に、弥勒（みろく）、吉祥天（きっしょうてん）、毘沙門（びしゃもん）、地蔵の仏体が並んでいるが、四躯（く）とも平安時代の木造である。

ぶつだん

仏壇

一基、一台、一本 [製造・販売過程で]、一竿（さお）

※ 文化財では一基という表現が見られる。

ふっとさるこーと

フットサルコート

一面

ふっとさるじょう

フットサル場

一面

ふっとらいと

フットライト

一灯、一基、一列・一台・一式 [ステージで使うものなど]

ぶっぴん

物品 [→ 品物]

一点、一品（しな・ひん）、一個、一つ

※ 物によって様々です。

ふで

筆 [→ 毛筆]

一本、一管、一茎（けい）、一穂（すい）、一枝（し）、一対 [二本で]

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【参考】石川啄木「赤痢」：何処から来て何処へ行くのか知らないが、路銀の補助（たし）に売って歩くという安筆を、松太郎も勧められて一本買った。
【参考】菊池寛「入れ札」：矢立の筆は、一本しかねえぞ。なるべく早く書いて回してくれ。書いたやつは、小さく折って、この割籠（わりご）の中に入れてくれ。
【参考】山科言継「言継卿記（ときつぐきょうき）（弘治二年〈1556年〉十月廿六日）」：次臨済寺之禎首座江罷向、筆、十管、茶垸一、遣之、
【参考】坂口安吾「我が人生観（七）芥川賞殺人犯人」：芥川賞の女流流行作家となって一管の筆によって敵の息の根をたちウラミを晴らしたという大ドラマは、
【参考】内村鑑三「楽しき生涯（韻なき紀律なき一片の真情）」：

一函の書に千古の智恵あり
以て英雄と共に語るを得べし
一茎の筆に奇異の力あり
以て志を千載に述るを得べし
【参考】島崎藤村「藤村詩抄島崎藤村自選」：
われに惜むな家づとの
一枝の筆の花の色香を
【参考】幸田露伴「水の東京」：詳しく記し尽さんことは一人の力一枝の筆もて一朝一夕に能くしがたし。
【参考】山科言継「言継卿記（ときつぐきょうき）（弘治三年〈1557年〉三月十二日）」：今朝朝比奈宗右衛門に薫物三貝、筆一対遣之、今晩落付晩飡、自城飯尾善四郎申付云々

ふでいれ

筆入れ・筆入 [→ 筆筒]

一個、一箱、一本

ふでたて

筆立て [→ 筆架]

一架（か）、一基

※ 文化財では一基という表現が見られる。

ふでばこ

筆箱

一箱、一個、一本、一合（ごう）

※ 文化財では一合という表現が見られる。

ふでぺん

筆ペン [→ 筆、→ ペン]

一本

ぶどう

ブドウ・葡萄 [→ 果物]

一粒、一房、一箱、一籠、一パック、一本（ほん・もと）、一株

【知識】ブドウの房の英語での数え方

1房： a bunch of grapes
2房： two bunches of grapes

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【参考】正岡子規「九月十四日の朝」：喉（のど）が渇（かわ）いて全く潤（うるお）いのない事を感じたから、用意のために枕許の盆に載せてあった甲州葡萄（ぶどう）を十粒ほど食った。
【参考】永井荷風「葡萄棚」：葡萄の棚より露重げに垂れ下る葡萄を見上（みあぐ）れば小暗（おぐら）き葉越しの光にその総（ふさ）の一粒一粒は切子硝子（きりこガラス）の珠（たま）にも似たるを、秋風のややともすればゆらゆらとゆり動すさま、風前の牡丹花にもまさりて危くいたましくまたやさしき限りなり。
【参考】有島武郎「一房の葡萄」：葡萄の一房をもぎ取って、真白（まっしろ）い左の手の上に粉のふいた紫色の房を乗せて、
【参考】永井荷風「葡萄棚」：やがて女はわが身を送出でて再び葡萄棚の蔭を過ぐる時熟（みの）れる一総（ひとふさ）の取分けて低く垂れたるを見、栗鼠（りす）のようなる声立ててわが袖を捉へ忽ちわが背に攀（よ）じつ。
【参考】種田山頭火「行乞記　仙崎」：晴、宿酔気分、焼酎一杯。
逸郎さんから見事な葡萄を一籠貰つたので、冬村君、呂竹さんへお裾分する。
【参考】ハンス・クリスチアン・アンデルセン　森鷗外訳「即興詩人」：熔巌の流れ行く先なる葡萄の幹に聖母（マドンナ）の像を懸（か）けたるものあり。こはその功徳（くどく）もて熔巌の炎を避けんとのこゝろしらいなるべし。されど熔巌はその方嚮（ほうこう）を改めず。像を懸けたる一本（ひともと）の葡萄は、早く熱のために葉を焦（こが）し、その幹は傾きて、首を垂れ憐を乞う如くなり。

ふどうさん

不動産 [登記簿上で]

一個

【知識】登記簿上の「不動産」は『個』と数えられる。例えば、一筆の土地に一戸の建物を所有する場合、登記簿上の不動産の数は二個となる。分譲マンションなどで、専有部分の建物は一戸でも、敷地権の土地が二筆に分かれている場合などは、不動産の数は三個となる。

※「土地」「建物」などの一般的な数え方は、それぞれの項目をご覧ください。

ぶどうしゅ

葡萄酒 [→ ワイン]

一本、一瓶、一樽、一杯

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【参考】ディッケンス　森田草平訳「クリスマス・カロル」：ちょうど今手許に薬味を入れた葡萄酒が一瓶あるからね。さあ、始めるよ、『スクルージ伯父さん！』
【参考】ハンス・クリスチアン・アンデルセン　森鷗外訳「即興詩人」：後には集りて一瓶の「フアレルノ」（フアレルナに産する葡萄酒）を傾け、ホラチウスが詩を歌わんと云う。
【参考】ハンス・クリスチアン・アンデルセン　森鷗外訳「即興詩人」：葡萄酒一杯を買いてこれに灌（そゝ）ぎつ。黄白の山はみる／＼我前に聳（そび）えたり。

ぶどうだな

ブドウ棚・ぶどう棚・葡萄棚

一架、一基

ふところがみ／かいし

懐紙

⇒ 鼻紙

ふとん

布団・蒲団 [→ 茵・褥]

一枚、一組、一揃（そろい）、一重（かさね）、一客

【知識】「一客」は、主に来客や特別な機会のために用意したもので。

布団・蒲団 [幅、サイズで]

一幅（の）、一布（の）

【知識】一幅（ひとの）は、鯨尺で一尺（約37.88cm）。「三幅布団（みのぶとん）」「三布蒲団（みのぶとん）」、「四幅布団（よのぶとん）」「四布蒲団（よのぶとん）」などの呼び方がある。

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【参考】正岡子規「旅の旅の旅」：馬の尿に似たる渋茶にひもじ腹をこやして一枚の木の葉蒲団（ふとん）に終夜の寒さを忍ぶ。
【参考】太宰治「斜陽」：お隣りからお借りした一組のお蒲団をひいて、二人一緒にやすんだ。
【参考】三遊亭圓朝鈴木行三校訂・編纂「西洋人情話英国孝子ジョージスミス之伝」：

損「お虎さん、お前さんは知らないのだが、蒲団を貸して二ヶ月料銭を払わないから、損料代が四円八十銭溜って居りますよ」
重「へい、そんなになりますかえ」
損「なりますとも、一晩（ひとばん）四布（よの）が五銭に、三布布団（みのぶとん）が三銭、〆（しめ）八銭、三八（さんぱ）二円四十銭（しじっせん）が二ヶ月で四円八十銭に成りますわねえ」
虎「高いねえ、こんな穢（きたな）い布団でかえ」
【参考】長塚節「土浦の川口」：余はなんということはなしに蒲団にくるまったが、薄っぺらな而かも強張った四布蒲団は満足に体を掩うことはできない、
【参考】『誹風柳多留七十七編』：
野暮てねへ齋度江口の三幅布團
　竹子（文政六年・1823年） []
【参考】『誹風柳多留九十九編』：
おうみまで足をふみ出す三布ふとん
　一之（文政十一年・1828年） []
【参考】菊池寛「仇討三態」：彼は、口のうちで呟くようにいいながら、狭い五布（いつの）の蒲団の中で、くるりと向きを変えた。夢とも現（うつつ）ともない瞬間の後に、彼は再び深い眠りに落ちていた。

ふとんわた

布団綿

一枚

ふな

フナ・鮒

一匹・一疋、一尾、一枚、一喉（こん・こう）

作品を見る

【参考】芥川龍之介「海のほとり」：そのうちに僕はすぐ目の前にさざ波のきらきら立っているのを見つけた。さざ波は足もとへ寄って来るにつれ、だんだん一匹の鮒（ふな）になった。
【参考】泉鏡花「卵塔場の天女」：いまその三傘夫人の姿が見えると、すぐ後（うしろ）へ引添って、袂をすれすれに大鮒（おおふな）が一匹、脊筋を飜（ひるがえ）して、腹にきらきらと黄金（きん）の波を打って泳ぐのが見えた。
【参考】下村湖人「次郎物語第三部」：午後は、俊三と天神裏にまた鮒釣りに行った。今日は俊三も二尾釣った。僕は五尾。

ふないた

船板

一枚

ふなけん

舟券 [→ 勝舟投票券、→ 馬券、→ 車券、→ ボートレース、→ 競艇]

一枚、一口、一本 [「当たり舟券・万舟券2本」など。万舟券を「万舟（まんしゅう）」と呼ぶこともある]、一片（へん） [特に、価値のなくなったはずれ券を言うことがある]

ふなもり

舟盛り・舟盛 [→ 食事]

一舟、一台、一艘（そう）、一人前

ふね

船・舟

一隻（せき）、一艘（そう）、一艇（てい）、一艦（かん）、一杯・一盃（はい）、一船（せん）、一葉（よう）[文学的表現]、一本 [丸木船]、一片（へん）[極めて小さい船で]、一枚・一台・一床（とこ・しょう）[筏（いかだ）で] 、一帆（はん・ほ） [帆掛け船で。小島烏水の紀行文「天竜川」などに見られる]、一葦（い）、一掉（とう・ちょう）、一翼（よく）、一枝 [中国明代の兵書に見られる]

【知識】「隻」は、現代では主に大型船で使われることが多いが、養老4年〈720年〉[ ] に成立した『日本書紀（にほんしょき）』や、平安時代の延長5年〈927年〉[] に成立した法令集『延喜式（えんぎしき）』などにも「船」の数え方として見られる。また、「艘」も使われている。

『日本書紀』「賜新羅王輸御調船一隻」「二千人乘船卌七隻」「船一隻賜新羅客」「新羅以迎船二艘」「大唐軍將率戰船一百七十艘」「賜船一艘」など。

『延喜式卷第廿八兵部省隼人司』「船十隻。船六隻。船五隻」「川船一艘」など。

『延喜式』に見られる「船・五隻」
[国立国会図書館蔵]

『日本書紀』には読み方は記されていないが、鎌倉時代末期に表されたとされる日本書紀の注釈書『釈日本紀（しゃくにほんぎ）』では振り仮名が振られている部分があり、それによれば、船の数え方に使われている「隻」「艘」には、「フネ」または「フナ」との振り仮名が振られ、「セキ」「ソウ」とする表記は見られない［国書データベース『釈日本紀』の358コマから383コマにかけて4箇所程］。なお、「隻」の字については「フサ」と振り仮名が振られている箇所があるが、これが「フナ」の間違いなのか、「フサ」とする数え方があったのかどうかは調査中。（日本書紀での隻と艘の使い分けについては、その形状や用途などによるものなのかは調査中）

【知識】江戸時代に書かれた数学書『塵劫記（じんこうき）』（寛永4年・1627年）に、「舟」の単位として「艘（そう）」が見られる。

『塵劫記』に見られる「舟・一艘」
[国立国会図書館蔵]

【知識】『和漢音釈書言字考節用集（元禄11年・1698年）』に、『「艘（そう）」は、船の総名（総称）で、今は船の数として使われる』との意の表現が見られる。
　また、『大字典（大正6年・1917年）編纂：上田萬年他』にも、「艘（そう）」は『舟の総名。船舶の数』との説明が見られる。

【知識】明治44年（1911年）に編纂された『国漢新辞典』には『船・一艘、一隻』と見られる。

『国漢新辞典』に見られる「船・一艘、一隻」
[国立国会図書館蔵]

【知識】「一葦（い）」「一掉（とう・ちょう）」は「現今万宝新書（明治20年〈1887年〉）」に見られる。「一葦」は、一枚の葦（あし）の葉にたとえて一艘の小舟。「一掉」は、棹（さお）で操る小舟の数え方に使われるものと思われる。

※「掉」の読み方を、「とう」とするのか「ちょう」とするのかは現時点での調査では定かでない。

【知識】「一翼（よく）」は、古代中国の戦艦に大翼・中翼・小翼とする種類があり、漢詩に「千翼」などとする数え方が見られる。

【知識】「一枝」は、中国明代の兵書『武備志』（1621年成立）に「兵船」の数え方として見られる。兵士を運ぶことだけを目的とした簡易な細長い形をしていたからとも考えられるが、形状、由来など未詳。

船 [で行く]

一航海 [往復]、一便

船 [の就航路線]

一路線、一本、一系統

船 [の大きさ]

船の大きさの単位は、全長などの寸法の他に、容積や重量を表す「トン数」が使われる。

総トン、純トン、排水トン（船が押しのける水の総重量から船全体の重量を導き、主に艦船で使われる）、載貨重量トンなど。

【参考】「延喜式（えんぎしき）」（平安時代の延長5年〈927年〉[] に成立した法令集）： 『出羽國。驛馬　[割註]最上十五疋，村山、野後各十疋，避翼十二疋，佐藝四疋，船十隻，遊佐十疋，蚶方、由理各十二疋，白谷七疋，飽海、秋田各十疋 [ここまで割註]　傳馬　[割註]最上五疋，野後三疋，船五隻，由理六疋，避翼一疋，船六隻，白谷三疋，船五隻 [ここまで割註]』
【参考】島崎藤村「夜明け前第二部下」：ついでながら当時の日本の蒸汽船というのは全部で三艘、すべて幕府の軍艦になっていて、内二隻はオランダから買入れた咸臨丸と朝陽（ちょうよう）丸、他の一隻は英国女王から贈られた「エムペラア」改め蟠龍（はんりょう）丸。
【参考】海野十三「海野十三敗戦日記」：戦艦一隻轟沈、巡洋艦二隻、船型未詳二隻、撃沈ほかの戦果をあげたり
【参考】徳冨蘆花「小説　不如帰」：松島を旗艦として千代田（ちよだ）、厳島（いつくしま）、橋立（はしだて）、比叡（ひえい）、扶桑（ふそう）の本隊これに続（つ）ぎ、砲艦赤城（あかぎ）及び軍（いくさ）見物と称する軍令部長を載せし西京丸（さいきょうまる）またその後ろにしたがいつ。十二隻の艨艟（もうどう）一縦列をなして、午後五時大同江口を離れ、伸びつ縮みつ竜のごとく黄海の潮（うしお）を巻いて進みぬ。
【参考】内藤鳴雪「鳴雪自叙伝」：折から前にいった藩の援兵が、その時一隻だけ持っていた藩の汽船に乗って大阪へ着いたので、
【参考】大阪圭吉「サレーダイン公爵の罪業」：表面法律で許された二隻の捕鯨船で、その実、三隻それも一隻はぬけぬけと脱税までして、能率を上げていたんですよ
【参考】島田清次郎「地上　地に潜むもの」：ゆったり湛えた海面一杯に日は照り返し、白い波頭が入り乱れていた。そうして今まで見えなかった一隻の和船が純白な帆に風を孕ませて海岸近く走せてくるのが見えた。
【参考】久生十蘭「肌色の月」：落日が朱を流す、しんとした湖面をながめながらしばらく行くと、棒杭につながれて、ひっそりと身を揺っている一隻のボートを見つけた。
【参考】海野十三「恐竜島」：おれたちは船大工（ふなだいく）になるてえわけだ。吃水（きっすい）の浅いボートを一隻、できるだけ早く作りあげるんだ。
【参考】中島敦「環礁 ――ミクロネシヤ巡島記抄――」：潮の関係で、突堤には着けられなかった。岸から半丁ほど離れて船が泊ると、迎えの独木舟（カヌー）が三隻水を切って近寄った。見事に赤銅色をした逞（たくま）しい男が、真赤な褌（ふんどし）一つで漕いで来る。
【参考】作者不詳「源平盛衰記（国民文庫）」：平家は三百余艘の兵船を調て、屋島の磯に漕出たり。源氏は備中国水島が途に陣を取て、千余艘の兵船を構たり。源平互に海を隔て支たり。
【参考】「肥後中村恕斎日録」：嘉永六葵丑年　六月十九日　晴東風相止
昨十七日夜九ツ頃、熊本より笠左一右衛門と申者、早馬ニ而参り、浦賀之沖へ異国船、大船二艘小船二艘渡来、沖ニも四艘相見候間、一番手御人数被差立候哉も難計、先生初皆々罷帰候間、直ニいつれも罷帰、
【参考】矢嶋松軒[編] 「江戸時代落書類聚（大正4年・1915年）」： ○米艦渡来　嘉永六年癸丑六月三日米国軍監四艘浦賀湾に入る
【参考】森鷗外「伊沢蘭軒」：神功皇后の三韓を征する時艨艟四十八艘を一木にて造れり。因て船木と名（なづ）く。其枝の延し所を涼木（すゞき）といい（船木より四里）木末（こずえ）の倒し所を木の末という。
【参考】田山花袋「朝」：涼しい樹陰（こかげ）に五六艘の和船（わせん）が集って碇泊して居るさまが絵のように下に見えた。帆を舟一杯にひろげて干して居るものもあれば、陸（おか）から一生懸命に荷物を積んで居るものもある。
【参考】堀辰雄「幼年時代」：その裏の大きな溝に、私は或る日、どこの家の所有だか分からない、古い一艘（いっそう）の小舟が繋留（けいりゅう）せられずにあるのを見出した。
【参考】織田作之助「螢」：それまで三十石船といえば一艘（いっそう）二十八人の乗合で船頭は六人、半日半夜で大阪の八丁堀へ着いていたのだが、登勢が帰ってからの寺田屋の船は八丁堀の堺屋と組合うて船頭八人の八挺艪（ちょうろ）で、どこの船よりも半刻速かった。
【参考】チェスタートン　直木三十五訳「動かぬ鯨群」：フランボーがウェストミンスターにある彼の探偵事務所の仕事を一月休んだ時に、彼は撓舟（かいぶね）のように小さい、一艘の小型の帆艇（ヨット）に乗って旅に出た。
【参考】原民喜「潮干狩」：二三間ばかり石を伝って行くと、船やボートが五六艘繋がれていた。父は屋根のある船の中の人に対って何か云っていた。
【参考】太宰治「竹青　――新曲聊斎志異――」：帆も楫（かじ）も無い丸木舟が一艘（そう）するすると岸に近寄り、魚容は吸われるようにそれに乗ると、その舟は、飄然（ひょうぜん）と自行（じこう）して漢水を下り、
【参考】与謝野寛、与謝野晶子「巴里より」：翌朝（てう）六時に船は港口（かうこう）に入（い）り、暹羅（シヤム）の戴冠式に列せられる伏見若宮（わかみや）殿下の一行を載せて伊吹、淀の二艦と広東（カントン）から来た警備艦宇治の碇泊して居る間（あいだ）を過ぎ、維新前（ぜん）馬関（ばかん）砲撃に参加した英艦テイマア号が武装を解いて白く塗られ記念品として繋留してあるのを左弦に見つつ港内の中央に碇着（ていちやく）した。
【参考】石井研堂「大利根の大物釣」：焼餅が焼けて堪らなかったと見え、何でも一時ごろでしたろう、十杯許（ばかり）の船が一緒になって、文句を言いに来たです。
【参考】木村荘八「柳橋考」：柳橋から小舟で急がせ山谷堀……と幕末の唄にいうイキなやなぎばしの沽券は、末始終こゝだけのことである。（僕が子供の時分には柳橋の下には、いつも屋根船が二三杯もやってあった。）
【参考】三上於菟吉「雪之丞変化」：広海屋さん、折角（せっかく）そなたが、上方から、江戸表まで廻漕なされた、五艘（はい）の米船――それを、大坂に引ッ返させなさるか、それとも、例の廉売り、投げ売りを思いとまって、わし達の手に渡してはいただけないか？
【参考】作者不詳「源平盛衰記（国民文庫）」：空に昇る香煙は、孤島の霞とあやまたる。海に流るゝ供花は、一葉の船と云つべし。
左は湖水、波浄くして一葉の船を浮べ、右は長山遥に連りて影緑の色を含めり。
中将入道、三の山の参詣事ゆゑなく被遂ければ、浜宮の王子の御前より、一葉の舟に棹さして、万里の波にぞ浮給ふ。
【参考】森鷗外「うたかたの記」：我空想はかの少女（おとめ）をラインの岸の巌根（いわね）にをらせて、手に一張（ひとはり）の琴を把（と）らせ、嗚咽（おえつ）の声を出（いだ）させむとおもひ定めにき。下（した）なる流にはわれ一葉（いちよう）の舟を泛（うか）べて、かなたへむきてもろ手高く挙げ、面（おもて）にかぎりなき愛を見せたり。
【参考】森鷗外「伊沢蘭軒」：詞の初に三叉（みつまた）、駒形、待乳山の地名を挙げ、「見れば心もすみ田川流に浮ぶ一葉の舟の昔は」と云って、舟の由来に入る。
【参考】ハンス・クリスチアン・アンデルセン　森鷗外訳「即興詩人」：既にして黒き物の其前に現るゝあり。諦視（ていし）すれば、一葉の舟の、海底より湧き出でもしたらん如く、燃ゆる水の上を走り来るにぞありける。
【参考】与謝野寛、与謝野晶子「巴里より」：何（ど）の小舟（サンパン）にも赤い帽と赤い腰巻（サロン）及び白い目と白い歯が光つて居る。中に一片（ぺん）の丸木船に杓子（しやくし）の様な短い櫂を取つて乗つて居る丸裸の黒奴（くろんぼ）が趺坐（あぐら）をかき乍（なが）ら縦横に舟を乗廻して頻（しき）りに手真似で銭（ぜに）を海中に投げよと云ふ。
【参考】小島烏水「天竜川」：八反帆を南風に孕ませた上り船が、白地に赤く目じるしを縫いつけて、二帆三帆と、追っかけ追っかけ、上って来る、
【参考】徳冨蘆花「小説　不如帰」：不動祠（ふどうし）の下まで行きて、浪子は岩を払うて坐（ざ）しぬ。この春良人（おっと）と共に坐したるもこの岩なりき。その時は春晴うらうらと、浅碧（あさみどり）の空に雲なく、海は鏡よりも光りき。今は秋陰暗（あん）として、空に異形（いぎょう）の雲満ち、海はわが坐す岩の下まで満々とたたえて、そのすごきまで黯（くろ）き面（おもて）を点破する一帆（ぱん）の影だに見えず。
【参考】坂口安吾「明治開化安吾捕物その六血を見る真珠」：東京の木工船会社で新造した百八十トンの機帆船昇龍丸が試運転をかねて濠洲に初航海した。
【参考】宮本百合子「くちなし」：或るカイタイ会社が北海道のどこかで暗礁にのりあげて三年の間ゆらゆらしていた五千トンの船を二万円で買った。
【参考】小林多喜二「蟹工船」：宗谷海峡に入った時は、三千噸（トン）に近いこの船が、しゃっくりにでも取りつかれたように、ギク、シャクし出した。
【参考】海野十三「不沈軍艦の見本 ――金博士シリーズ・10――」：しかし大統領にこういいなさい。たしかに不沈軍艦一隻――しかも排水量（はいすいりょう）九万九千トンというでかいやつを造ってお渡しする。しかしわしは、これを金銭（きんせん）づくで作ってやろうというのではない……

ふね

槽

⇒ 槽（そう）

【知識】水などを入れる容器として、蝦鰭槽／海老鰭槽（えびのはたふね）、湯槽（ゆぶね）、手洗槽（たらいぶね）、水槽（みずぶね）、酒槽（さかぶね）、米槽（こめぶね）などと使われる。

ふばこ

文箱・文筥

一箱、一合（ごう・あわせ）、一具（ぐ・よろい）、一個

※ 文化財では一合という表現が見られる。

ふはつだん

不発弾 [→ 爆弾]

一発、一個

【参考】「宮古毎日新聞」に掲載された記事(2010/10/1)
『1945（昭和20）年の終戦後に宮古島に駐屯していた日本軍が捨てたとされる日本製の250㌔爆弾など計1830発、約33㌧がこのほど、平良港湾（下崎地区）内で見つかった。〈中略〉確認された不発弾は、250㌔爆弾3発、100㌔爆弾1発、5インチ砲弾188発、3インチ砲弾740発、155㍉砲弾70発、81㍉追撃砲弾544発、57㍉砲弾96発、40㍉砲弾31発、47㍉砲弾木箱31、水際地雷1発、焼い弾2発、手りゅう弾59発。』

【参考】「共同通信」が配信した記事(2013/6/4)
『東京都北区西ケ原の国の研修施設建設予定地で3月、旧日本軍の不発弾1個が見つかり、陸上自衛隊が4日、爆破処理を行った。』

ふみ

文

⇒ 手紙

ふみいし

踏み石・踏石 [→ 飛び石]

一枚、一個、一つ

作品を見る

【参考】久坂葉子「華々しき瞬間」：大阪近郊、南田辺のとある露地の奥、石の門柱と木の扉。そして踏石が三つ。格子戸の玄関。急な段梯子。きいろくなった襖。庭に面した六畳。壁にぶらさがった洋服類。隅の方にミカン箱。中に食器と台所用具。窓ガラスにぺったりと四角い麻のハンカチーフ。
【参考】野村胡堂「錢形平次捕物控女の足跡」：「庭石の苔（こけ）がひどく剥（は）げてますよ」
「それを今俺も考へてゐるんだ。木戸まで踏石が七つ、よくついた石苔が損（いた）んでゐるのはどうしたわけだ」

ふみえ

踏み絵・踏絵

一枚、一面（めん）

※ 文化財では一面、一枚という表現が見られる。

『踏絵』「キリスト像（十字架上）」重要文化財長崎奉行所旧蔵品（江戸時代 17c）	『板踏絵』「ロザリオの聖母」重要文化財長崎奉行所旧蔵品（江戸時代 17c）
〔東京国立博物館蔵〕

ふみきり

踏切 [→ 遮断機]

一基、一台、一本、一箇所（一か所・一カ所） [設置場所]

ふみきりばん

踏切板 [→ ロイター板]

一台、一枚

ふめん

譜面 [→ 楽譜]

一枚、一部、一冊

ふめんだい

譜面台

一台、一本

ふゆぎ

冬着 [→ 服]

一着、一枚

ふゆふく

冬服 [→ 服]

一着、一枚

ふよう

芙蓉 [→ 木]

一本（ほん・もと）、一枝、一輪、一朶（だ） [枝一本のこと。主に花の付いた一枝、一輪の花。桜や紫陽花などのような細かい花のまとまりで使われることが多い。本来の意味は垂れ下がった枝]、一花（はな・か）、一茎（けい・くき）、一弁、一片、一株（かぶ・しゅ）、一鉢、一群・一叢（むら・そう）・一簇（むら・そう）[群生で]、一団 [群生で]

作品を見る

【参考】小島烏水「霧の不二、月の不二」：八ヶ嶽に登り、駒ヶ嶽に登る、瑠璃（るり）色なる不二の翅脈（しみやく）なだらかに、絮（じよ）の如き積雪を膚（はだへ）の衣に著（つ）けて、悠々（いう／＼）と天空に伸（の）ぶるを仰ぐに、絶高にして一朶（いちだ）の芙蓉（ふよう）、人間の光学的分析を許さゞる天色を佩（お）ぶ、我等が立てる甲斐の山の峻峭（しゆんせう）を以てするも、近づいて之（これ）に狎（な）るゝ能はず、

ふらい

フライ

一枚、一本、一個

※ 「一枚」は鰺フライなど平たいもので、「一本」は海老フライなど細長いもので、「一個」は牡蠣フライなどで。

ふらいがえし

フライ返し

一本、一枚

ふらいすばん

フライス盤 [→ 工作機械]

一台、一基

ふらいどちきん

フライドチキン

一個、一枚、一本、一皿

ふらいぱん

フライパン

一枚、一個

ふらいやー

フライヤー [→ チラシ、→ ビラ]

一枚、一葉（よう）、一片、一面

ぷらいやー

プライヤー

一挺［一丁］（ちょう）、一本

ふらいんぐでぃすく

フライングディスク [→ フリスビー]

一枚

※「フリスビー」は登録商標

ぶらいんど

ブラインド [→ カーテン、→ 簾]

一枚、一台、一本・一枚 [羽根で]、一窓

ぶらうす

ブラウス

一枚

ぶらうんかん

ブラウン管

一本

作品を見る

【参考】海野十三「怪星ガン」：本艇では高価なるブラウン管を二十何本、いや三十何本かを、とにかくたくさんのブラウン管をだめにしてしまった。

ぷらかーど

プラカード

一枚、一本

ぷらぐ

プラグ

一本

ぶらし

ブラシ

一本

ぶらじゃー

ブラジャー

一枚、一個

ふらすこ

フラスコ [→ ビーカー、→ メスシリンダー、→ ピペット]

一本、一個

ぶらぢょうちん・ぶらちょうちん

ぶら提灯・ぶら提燈・ぶら挑灯・ぶら桃燈 [→ 提灯]

一張（はり・ちょう）、一挺［一丁］（ちょう）、一帳（ちょう）、一本、一個、一灯・一燈 [灯が入った状態で]

【知識】携行する柄の先につけてぶら下げるようにした提灯。

ふらっしゅめもり

フラッシュメモリ [の数] [→ USBメモリ]

一枚、一個、一つ

フラッシュメモリ [の容量]

一バイト [単位→ メガバイト(MB)、ギガバイト(GB) など]

ぷらった・ぷらったー

プラッタ・ぷらったー・Platter [→ ハードディスク]

一枚

※ ハードディスクドライブやフロッピーディスクと呼ばれる磁気ディスク装置の、平滑な円盤状の記録用部品。

ぷらっとほーむ

プラットホーム

一本、一面、一基

※ 文化財では一基という表現が見られる。

ふらっぷ

フラップ

一枚

ぷらねたりうむ

プラネタリウム

一基、一台、一番組・一作品・一プログラム [上映プログラム]

ふらふーぷ

フラフープ

一本

ふらわーすたんど

フラワースタンド

一台、一脚

ぷらん

プラン [→ 計画]

一つ、一件、一本、一企画、一案、一弾

作品を見る

【参考】甲賀三郎「蜘蛛」：私は時間のうつったのに驚きながら立ちあがって、念のためにもう一度、飼育函のなかの蜘蛛類を観察して、それらの処分法について、頭のなかに一つのプランをつくりあげた。
【参考】宮本百合子「父の手帳」：父は自分が描いているプランの一つ一つを説明し、一つよりは他の一つが改良されている点を教え、非常に想像力を刺激するリアリスティックな言葉の描写で、そこが出来上った時の有様を目に見えるように話しました。
何程か経ってから小住宅のプランが三つ四つ出て来て、さて、私共にとって実に見落せない数頁が現れます。

ぷらんくとん

プランクトン

一匹・一疋、一粒

作品を見る

【参考】夢野久作「爆弾太平記」：そこいらの水とおんなじ位に微弱なプランクトンの一粒一粒を、

ふらんくふるとそーせーじ

フランクフルトソーセージ [→ ソーセージ]

一本、一片

ぶらんけっと

ブランケット

一枚、一陳（のべ・ちん）

【知識】「現今万宝新書（明治20年〈1887年〉）」では「佛蘭機多」の字が当てられている。

ぶらんこ

ブランコ・鞦韆

一基、一台、一本

ぷらんたー

プランター

一台、一基

ぶらんでー

ブランデー [→ ウイスキー、→ 酒]

一本、一瓶、一ボトル、一樽、一杯、一口（くち）、一滴

作品を見る

【参考】宮本百合子「ズラかった信吉」：藤づる籠の古着の下から三本ブランデーの瓶が出て来た。それを中年の男が受けとって卓子の上へキチンと並べた。
【参考】チェスタートン　直木三十五訳「サレーダイン公爵の罪業」：まさかの場合の用意として装填された何挺かの短銃（ピストル）、気が遠くなるようなことがないとも限らんというので一罎（ひとびん）のブランデー酒、それからヒョコリ死なないともかぎらないというので一名の坊さん。
【参考】佐藤紅緑「少年連盟」：モコウが走って、食堂からやき肉、固（かた）パン、茶、および一杯（ぱい）のブランデーを持ってきた。
【参考】正岡子規「明治卅三年十月十五日記事」：飯二碗半、汁二椀、刺肉喰い尽す。ブランデー一口を飲む。母は給仕しながら、そこに坐りて膠嚢（こうのう）にクレオソート液を入れ居り。食了（くいおわ）りて、クレオソート三嚢を呑む。漬物と茶は用いぬ例なり。自ら梨二個を剥（む）いで喰う。終に心（しん）を噛（か）み皮を吸う。
【参考】佐藤紅緑「少年連盟」：富士男は婦人に近づいて口をひらき、数滴（すうてき）のブランデーをそそいだ。一同は緊張（きんちょう）してじっとみつめた。

ぷらんと

プラント [工場施設・設備]

一基

ぶり

ブリ・鰤 [→ イナダ、→ ハマチ、→ 魚]

一匹・一疋、一尾（び）、一本

【知識】ブリは出世魚と呼ばれ、大きさによって呼び方が変わる。成長途中の大きさの名称一つに、関東でのイナダ、主に関西でのハマチがある。

【知識】《出世魚・ブリの名前》

《出世魚・ブリの名前》
	20cm未満	30cm未満	60cm未満	70cm未満	70cm以上
関東	ワカシ	イナダ	ワラサ	メジロ	ブリ
関西	ツバス	ハマチ	メジロ		ブリ
全国各地で様々な呼び方がある。

ふりーきっく

フリーキック

一本

ふりーざー

フリーザー

一台

ぷりーつ

プリーツ [→ 折り目、→ 襞]

一本 [スカートの折り目など]

ぶりーふ

ブリーフ [→ 下着]

一枚

ふりげーとかん

フリゲート艦 [→ 船]

一隻（せき）、一艘（そう）、一艦（かん）

ふりこ

振り子

一本

ふりこみ

振り込み・振込

一件

ふりこみようし

振込用紙

一通、一枚、一葉（よう）

ふりすびー

フリスビー [→ フライングディスク]

一枚

※「フリスビー」は登録商標

ふりそで

振り袖 [→ 着物]

一着、一枚、一揃（そろい）

ふりっぷちゃーと

フリップチャート

一枚、一冊、一台、一架、一面

【知識】「フリップチャート」は、会議のプレゼンテーションなどで使う説明用紙のこと。台を含める場合も。単に「フリップ」と省略して、テレビで説明などに使うパターンのことも。

ふりっぷちゃーといーぜる

フリップチャートイーゼル

一台、一架 [フリップチャートを架ける台]

ふりっぷちゃーとぼーど

フリップチャートボード

一台、一架 [フリップチャートを架ける台]

ふりっぷぼーど

フリップボード

一枚、一面

【知識】「フリップボード」は、テレビで説明などに使うパターンで、省略して「フリップ」とも。フリップチャートを架ける台のフリップチャートイーゼル・ボードのことも言い、その場合の数え方は、一台、一架。

ぶりぶりだいこ

ぶりぶり太鼓

⇒ 豆太鼓

ぷりぺいどかーど

プリペイドカード

一枚

ぷりん

プリン

一個、一カップ

ぷりんたー

プリンター

一台

ぷりんたーようし

プリンター用紙 [→ コピー用紙]

一枚、一包（つつみ）、一箱

【知識】250枚や500枚を1つの単位として販売されることが多い。メーカーや販売店で、1つの包みを「一冊」と数え、例えば、「500枚5冊で1箱」などとするのを見かけるが、「冊」は、通常複数の紙類を綴じたものを数えるのに使われるため、この場合、形状からすると「500枚5包で1箱」などとするのが相応しいのではないかとも考えられる。

ぷりんと

プリント [→ 印刷物]

一枚

ふるい

篩

一個 [小型のもの]、一台 [大型のもの]、一挺［一丁］（ちょう）、一口（こう・く・くち）

【知識】「口」は、『延喜式』などに見られる。

『延喜式（えんぎしき）（延長5年〈927年〉［］成立）』

「絹篩九口」「漉_レ粉薄絹袋水篩各二口」「布篩十四口御井大篩十口、各長三尺五寸、並二重、水篩四口、各長四尺」

ぶるーしーと

ブルーシート [→ タープ]

一枚、一張（はり・ちょう）、一面

ふるーつ

フルーツ [→ 果物]

一個、一玉、一顆（か）、一果（か）、一菓（か）、一本、一房、一粒、一切（きれ）、一片、一袋、一パック、一籠（かご）、一皿、一枚、一山、一箱、一列、一株 [木や苗などで]

※ 形や盛り方などで様々です。

ふるーと

フルート [→ 楽器]

一本、一管

ぶるーれいでぃすく

ブルーレイディスク/Blu-ray Disc/BD [の数]

一枚

ブルーレイディスク/Blu-ray Disc/BD [の容量]

一バイト [単位→ ギガバイト(GB)など]

ブルーレイディスク/Blu-ray Disc/BD [の構造]

一層

【知識】レーザー光を利用してデータの読み書きをする情報媒体の、光ディスクの一種で、青紫色半導体レーザーを使用する。BD-ROM(読込のみ)、BD-R(書込、追記可能)、BD-RE(書換可能) などがある。「BD」の略称で呼ばれることがある。

ぶるぞん

ブルゾン [→ ジャンパー]

一枚、一着

ぷるたぶ

プルタブ

一個、一枚

ぶるどーざー

ブルドーザー

一台、一輛・一両

ぷれいばるーん

プレイバルーン

一枚

ぶれーかー

ブレーカー

一個、一台

ぷれーと

プレート

一枚

ぷれーやー

プレーヤー [レコードプレーヤー、CDプレーヤーなど]

一台

ふれきしぶるこんてなばっぐ・ふれこんばっぐ・ふれこん

フレキシブルコンテナバッグ・フレコンバッグ・フレコン [→ コンテナバッグ、→ トンバッグ、→ トン袋、→ 土嚢袋]

一枚、一梱包 [販売の単位で複数枚をまとめて]

※「フレコン」は登録商標

ふれきしぶるこんべや・ふれきしぶるこんべあ・

フレキシブルコンベヤ・フレキシブルコンベア [→ コンベヤ、→ ベルトコンベヤ]

一台、一基、一本

ぶれざー

ブレザー

一着

ぷれす・ぷれすき

プレス・プレス機

一台、一基

【知識】圧力をかけ、型をつけたり絞り出したりする機械。

ぶれすれっと

ブレスレット [→ 腕輪]

一本、一個

ぷれぜんてーしょん

プレゼンテーション [→ 発表、→ 提案]

一件、一つ、一回、一度

ぷれはぶじゅうたく

プレハブ住宅 [→ 仮設住宅]

一軒、一棟（むね・とう）、一戸（こ）

ぷれはぶごや

プレハブ小屋

一軒、一棟（むね・とう）、一戸（こ）

ぶれんだー

ブレンダー [→ ミキサー、→ フードプロセッサー]

一台

ふろ・ふうろ

風炉

一台、一基、一居（すえ）、一具

【知識】茶釜を火に掛けて湯を沸かすための炉。

『訓蒙図彙』に見られる「風炉」

（国立国会図書館蔵）

「訓蒙図彙（きんもうずい）」は、中村惕斎（なかむらてきさい）によって、江戸時代の寛文6年〈1666年〉[] に著された日本初とされる図解事典。「訓蒙図彙」を見る

ふろおけ

風呂桶 [→ バスタブ、→ 浴槽、→ 湯船、→ バスルーム]

一据（すえ）、一桶（おけ・とう）、一槽、一基

ぶろーち

ブローチ

一個

ふろがま

風呂釜

一台、一基、一据（すえ）

ふろがま

風炉釜 [→ 茶釜]

一口（こう・く・くち）、一合（ごう）、一具（ぐ）

【知識】茶席で可動式の風炉と一緒に使用する茶釜。

※ 文化財では一口という表現が見られる。

ぷろぐらむ

プログラム [催し物で]

一部、一冊

プログラム [コンピューターで] [→ ソフトウエア]

一本、一つ、一個

プログラム [番組で] [→ 番組]

一本、一番組、一分、一時間、一回、一度、一クール（ワンクール）

【知識】「クール」は、テレビ・ラジオ番組の、週一回の連続放送の一区切りの単位を言い、「ワンクール」は通常十三週・十三回。

ぷろじぇくたー

プロジェクター [→ 映写機、→ 光学器械]

一台、一式

ぷろじぇくと

プロジェクト [→ 企画、→ 計画]

一つ、一件、一本、一企画、一案、一弾

ふろしき

風呂敷

一枚、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一包（ほう・つつみ）、一幅（の）[一辺の大きさで。一幅（ひとの）は、鯨尺で一尺（約37.88cm）]

【知識】「風呂敷」は元々浴衣のようなもので、湯に入る時には衣服を包んでおき、湯上がりにその場所に敷いてその上に直り、その後に衣服を着る。物をつつむのは「ふくさ包み」と言うべきで、「風呂敷包み」と言うべきではないとの表現が江戸時代の文献に見られる。[下記文献参照]

作品を見る

【参考】豊島与志雄「鯉」：道具というのは、大きな釣針を畳糸でステッキの先に結びつけたもの、蚯蚓数匹、大きな竹の筒、風呂敷一枚、それだけなんだ。
【参考】泉鏡花「星女郎」：同時に、その傍（かたわら）のもう一人、瞳を返して、三造は眉を顰（ひそ）めた。まさしく先刻の婆（ばば）らしい。それが、黒い袖の桁（ゆき）短かに、皺（しわ）の想わるる手をぶらりと、首桶（くびおけ）か、骨瓶（こつがめ）か、風呂敷包を一包（ひとつつみ）提げていた。
【参考】片山廣子「よめいり荷物」：お重かけは大小とも入用、ちりめんの風呂敷三枚位、ふだん用のメリンスの物三枚ほど、お勝手用木綿の物大小と、四布と五布の木綿風呂敷二三枚。
【参考】長谷川時雨「流れた唾き」：その時分のモダンは、四布風呂敷（よのぶろしき）ほどの大きさの肩掛けをかけたり、十八世紀風のボンネットや肩に当（あて）ものをしたり、

【知識】「風呂敷」について記した江戸時代の文献

【参考】菊岡沾凉「本朝世事談綺」「本朝世事談綺正誤」： 風呂敷（ふろしき）　元は風呂の場所に敷きて、ゆかたにひとしきものなり。今物を包むふろ敷は、此名をかたりたる物なり。《中略》南嶺遺稿巻之三に曰く、風呂敷と云うものは、元湯あがりに敷くもの故、ふろしきという。今の湯風呂敷というは重言なり。室町家の時分、大湯殿を建て、近習の大名衆一処に入玉うことなり。銘々入りたるあとにて、衣服ともふろしきに包みおく。あがりてはふろしきをひらき、其うえになおり、後に衣服を着す。是より物をつゝむものを惣て、ふろしきと云うに成りたり。只ふくさづゞみと云うべし。ふろしき包とはいうまじき名なり。右室町家の記録の説なり。

【編集注】『本朝世事談綺（ほんちょうせじだんき）』は、菊岡沾凉（きくおかせんりょう）によって享保19年（1734）に発刊された「事物起源辞典」とも言える書物で、江戸時代中期の民間における風俗や器物などの起源を記している。[]
上記「本朝世事談綺正誤」は、文政二年に刊行されたとされる。[]

ぷろせっさー

プロセッサー [→ コンピューター、→ メモリ]

一基、一個、一つ

ぶろっく

ブロック

一枚、一個、一本

ふろっくこーと

フロックコート [→ コート]

一着、一枚

作品を見る

【参考】小泉節子「思い出の記」：大学の先生になったのですからフロックコートを一着持って居らねばなりません

ぶろっこりー

ブロッコリー [→ 野菜]

一本、一株、一個、一房 [小分けで]

ふろっぴーでぃすく

フロッピーディスク

一枚、一バイト [単位→ キロバイト(KB)・メガバイト(MB)など]、インチ [大きさ・サイズ]

ぷろぱんがす

プロパンガス

一本 [ボンベで]

ふろふどし／ふろふんどし

風呂犢鼻褌・風呂ふどし／風呂褌・風呂ふんどし [→ 褌、→ 下帯、→ 六尺褌、→ 回し、→銭湯]

一枚、一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一締（しめ）、一丁 [主に締めた様で]、一つ [主に締めた様で]

【知識】「宝永」の頃までは、民家でも銭湯でも、褌をして風呂に入っていたと、江戸時代の「骨董集」という文献に書かれている。酒に酔って、外して入った者が笑われたなどとも記され、また、普段着けている褌ではなく、風呂に入る時に着替えていたとも記されている。
宝永は、1704年～1711年で、、因みに「元禄」は、この「宝永」の一つ前の元号。

銭湯に風呂褌を着けて入る図（骨董集）

【知識】「風呂褌」について記した江戸時代の文献

【参考】岩瀬醒（さむる）「骨董集（こっとうしゅう）上編中之巻」
〔十四風呂犢鼻褌（ふろふどし）〕
左（さ）にあらわす寛永正保の比（ころ）の銭湯風呂の古図を見るに、犢鼻褌（ふどし）をむすびたるまゝ風呂入（いり）する体（てい）をえがけり。こは画工の心を用いたる絵そらごとにやと疑（うたがい）おもいしにしからず。昔は民家のいやしき者も風呂に入（いる）に、かならずふどしをはなつことなし。
《中略》
『御前独狂言』［宝永二年印本］五之巻に、或人（あるひと）酒に酔（えい）、風呂犢鼻褌（ふろふどし）をときて、風呂入（いり）せしをあるまじきことゝて笑（わらい）たることをしるせり。これ宝永に比（ころ）までふどしというものありて、常（つね）のふどしにむすびかえて風呂入（いり）したる証（あかし）なり。按（あん）ずるに、ふどしを湯具（ゆぐ）というもさるゆえにやあらん。湯具というより女は湯もじともいいしなるべし。

【編集注】「寛永」は、1624年〜1644年 [] 。

【編集注】「正保」は、1644年〜1648年 [] 。

【編集注】「宝永二年」は、1705年 [] 。

【編集注】『骨董集』は、文化11年（1814）から翌年にかけて、岩瀬醒（さむる）によって書かれた随筆。近世初期以降の風俗などを古書・古画などを引用して考証している。[]

【参考】銭湯に褌を着けて入る図

[→ 銭湯]

ぷろぺら

プロペラ [→ 飛行機、→ スクリュー]

一台、一基、一個 [模型などの小型のもので]、一翅・一枚 [羽根で]

ぶろまいど

ブロマイド [→ 写真]

一枚、一葉（よう）、一カット

ふろや

風呂屋 [→ 銭湯、→ 湯屋]

一軒

ふろやぶね

風呂屋船

⇒ 湯船

ぶろわ

ブロワ [→ 送風機、→ ファン]

一台、一基

ぶん

文

⇒ 文章

ふんきゅうぼ

墳丘墓

一基

※ 文化財では一基という表現が見られる。

ぶんこ

文庫 [ふみぐら・書庫]

一室、一部屋、一棟（むね・とう）、一戸、一戸前（とまえ）

※ 文化財では一棟という表現が見られる。

文庫 [手箱]

一箱、一合（ごう）、一具（ぐ・よろい）、一個

※ 文化財では一合という表現が見られる。

文庫 [小型本]

一冊、一部、一巻

【知識】「巻」は、全集物などで使われ、古代の書物が巻物（巻子本）であったことの名残。

作品を見る

【参考】神西清「雪の宿り」：ああ、あの文庫のことをお尋ねでございますか。あの夜ほどなく経蔵にも火はかかつたのでございますが、幸ひ兵どもが早く引上げて行つて呉（く）れましたため、百余合のうち六十二合は無事に助け出すことが叶（かな）ひました。

ふんさいき

粉砕機 [→ クラッシャー、→ ミル］

一台、一基

ぶんしゅう

文集

一冊、一部、一綴（つづり）、一帖（じょう）

ぶんしょ

文書 [→ もんじょ]

一通、一枚、一葉（よう）、一点、一片、一冊、一部、一束

作品を見る

【参考】国枝史郎「娘煙術師」：
「文書は二通でございます」
「…………」
「一本は巻き奉書でございます。お父様の懐中にございました」
「…………」
「一通は綴（と）じ紙でございます。ずっと前からお父様が、こっそり妾にお預けなされて、
【参考】菊池寛「小田原陣」：一片の文書で天下の北条を恫喝（どうかつ）するとは片腹痛い、

ぶんしょう

文章

一編、一篇、一文、一章、一節、一行（ぎょう・くだり）、一段落、一項、一流（ながれ）、一句、一語、一字

作品を見る

【参考】森鷗外「渋江抽斎」：保は枳園の求（もとめ）に応じて、新聞社に紹介し、二、三篇の文章を社に交付して置いて、十二日にまた社用を帯びて遠江国浜松に往った。
【参考】魯迅井上紅梅訳「阿Q正伝」：それはそうとこの一篇の朽ち易い文章を作るために、わたしは筆を下すが早いか、いろいろの困難を感じた。
【参考】横光利一「純粋小説論」：純文学にして通俗小説の一文を書いた。私の文章は、以上の人々の尻馬（しりうま）に乗ったまでで、
【参考】小栗虫太郎「黒死館殺人事件」：まずこんな風にして、僕はこの文章を七節に分けてみたのだ。
【参考】林芙美子「新版　放浪記」：私は鉛筆をなめながら、註文主の代筆で三行の文章を綴る。みんな美しい奴隷を求める下心だ。その下心を三行に綴るのが私の仕事。もう、私の頭の中には詩も童話も何もない。
【参考】内藤鳴雪「鳴雪自叙伝」：まず紀事といって、ある仮名書の文章一段を漢文に翻釈させるばかりであった。
【参考】小栗虫太郎「黒死館殺人事件」：ディグスビイが書き残した不思議な文章の一句一句に、
【参考】小栗虫太郎「黒死館殺人事件」：第四節には臍（ほぞ）という一字があるけれども、

ふんしん

分針 [→ 長針、→ 時針、→ 短針、→ 秒針]

一本

※ 時計の針の、時間を示す長い針。長針。

ふんすい

噴水

一基、一本

噴水 [吹き上がった水]

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

東京・日比谷公園『鶴の噴水』 1909年・明治42年「最新東京名所写真帖」（国立国会図書館蔵）	東京・日比谷公園『鶴の噴水』 2015年・平成27年12月撮影
《参考・日比谷公園地図》 1907年・明治40年刊「東京案内」より（国立国会図書館蔵）

作品を見る

【参考】横光利一「旅愁」：日光をはね返している壮大な広場の中では、数十本の噴水がソーダ水の漂い溢れるような清らかさだった。
【参考】泉鏡花「凱旋祭」：人の目鼻書きて、青く塗りて、血の色染めて、黒き蕨縄（わらびなわ）着けたる提灯と、竜の口なる五条の噴水と、銅像と、この他に今も眼に染（し）み、脳に印して覚え候は、式場なる公園の片隅に、人を避けて悄然（しょうぜん）と立ちて、淋（さび）しげにあたりを見まはしをられ候、一個（ひとり）年若き佳人にござ候。

ぶんだい・ぶだい

文台

一基

ぶんちん

文鎮 [→ 書鎮]

一個、一挺［一丁］（ちょう）、一本、一棹・一竿（さお）、一対 [二本組で]

【知識】「文鎮」のことで、古くは「書鎮（しょちん）」と言い、江戸前期の「訓蒙圖彙」の語釈に「ぶんちん」と記される。また、「和漢三才図会〔1712〕」では横に長く摘まみの付いたものを「圧尺」とし、「物尺（ものさし）であって同時に紙をも圧さえる」とある。

『訓蒙図彙』に見られる「書鎮」

【参考】甲賀三郎「ニッケルの文鎮」：この機械の傍にこの通りもう一本のニッケルの文鎮と、そしてもう一通の先生の遺書がありました
【参考】「蔭凉軒日録」：永享十一年〈1439年〉八月廿二日　雲頂院御成。（略）鍮鉐。文鎮一対。麝香形小盆一枚献レ之。

ぶんでんばん

分電盤

一台、一基、一面

ふんどう

分銅 [→ 重り・錘]

一個

ぶんどき

分度器

一枚、一台

ふんどし

褌 [→ 下帯、→ 六尺褌、→ 回し、→ 風呂褌]

一本、一枚、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一締（しめ）、一丁 [主に締めた様で]、一つ [主に締めた様で]

作品を見る

【参考】森鷗外「渋江抽斎」：姉（ね）えさん、察して下さい。正月が来るのに、わたしは実は褌（ふんどし）一本買う銭もない。
【参考】佐藤垢石「『七面鳥』と『忘れ褌』」：さきほど、有村が八蔵爺さんに褌二本を註文したのは、一本を胯間に結び、一本は鉢巻に使うつもりであったらしい。
【参考】原口統三「二十歳のエチュード」：彼らの間のだれが、自分の居間では褌（ふんどし）一枚にならなかったと言えるか。
【参考】織田作之助「螢」：伏見の駕籠かきは褌（ふんどし）一筋で銭一貫質屋から借りられるくらい土地では勢力のある雲助だった。
【参考】佐藤垢石「『七面鳥』と『忘れ褌』」：実は拙者はけさ風呂屋へ褌を忘れてきた。お恥ずかしい話だが、ちょっと二筋ばかり買ってきてくれまいか
【参考】有島武郎「星座」：四十五まであの男は木刀一本と褌（ふんどし）一筋の足軽風情だったのを、
【参考】国枝史郎「蔦葛木曽棧」：「噂をすればそれ影じゃ。侍衆に囲まれてはだか武兵衛様がお通りなさる」
　そう云って指差す方角から、褌（ふんどし）一筋の裸体一貫、隆々たる筋肉を寒風に晒（さら）した噂の主のはだか武兵衛が、城中の侍に前後を守られ悠々として歩いて来る。
【参考】長谷川時雨「西川小りん」：祖母は、有難い御僧（おんそう）に、褌（したおび）の布施をする時は、高僧から下足のおじいさんにまで、おなじように二締（ふたしめ）ずつやった。
【参考】森鷗外「渋江抽斎」：柴田常庵（しばたじょうあん）という肥え太った医師は、越中褌（えっちゅうふんどし）一つを身に着けたばかりで、

ぶんまわし

ぶんまわし・ぶん回し・規・䂓 [→ コンパス]

一本、一挺［一丁］（ちょう）

『訓蒙図彙』に見られる「ぶんまわし［規］」

（国立国会図書館蔵）

「ぶんまわし」が出てくる作品を見る

【参考】太宰治「十二月八日」：よその人も、ご自分の赤ちゃんが可愛くて可愛くて、たまらない様子で、お湯にいれる時は、みんなめいめいの赤ちゃんに頬ずりしている。園子のおなかは、ぶんまわしで画いたようにまんまるで、ゴム鞠（まり）のように白く柔く、この中に小さい胃だの腸だのが、本当にちゃんとそなわっているのかしらと不思議な気さえする。そしてそのおなかの真ん中より少し下に梅の花の様なおへそが附いている。
【参考】長谷川時雨「朱絃舎浜子」：ちいさな、というのに力を入れて、丁度絃（いと）の締まった箏を、軽々（かるがる）と坐ったまま、ぐるりと筆規（ぶんまわし）のように振りかえた便次（ついで）に、抱（かか）えるようにして見せた。
【参考】林不忘「丹下左膳乾雲坤竜の巻」：一刀を放つごとに、やッ！　やッ！　と叫ぶ劉、長い腕をぶんまわしのごとく揮（ふる）って、黒毛をなびかせ短身を躍らせているようすが、栗のいががはじき返っているよう――。
　まるでたたき大工が釘を打つように、またたくまに光剣をもって少女の輪郭を包んでしまった。

ふんむき

噴霧器

一台、一基 [大型で]

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ものの数え方・助数詞
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