船を数える際に使われる助数詞には様々なものがある。
枝
など、形状、用途などによって多様である。
それぞれどのような船を数える場合に使うのか。ここでは、どのような船にどのような数え方を使うことが多いのかを分類し、種類による船の数え方を見てみる。
ただし、厳密な使い分けが決められている訳ではないので、大まかな分類ということでご覧いただきたい。船の数え方が登場する作品も合わせて見てみることにする。
〈2023年7月23日 改訂〉
〈2023年5月20日 改訂〉
〈2021年8月11日 改訂〉
〈2014年11月3日 改訂〉
〈2023年5月20日 改訂〉
〈2021年8月11日 改訂〉
〈2014年11月3日 改訂〉
《種類による船の数え方》
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数え方 | 船の種類 | ||
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隻(せき) |
大型船で |
タンカー、大型汽船、貨物船、艦船など。
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艘(そう) |
中型・小型船で |
はしけ、帆掛け舟、和船、ボートなど。
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艇(てい) |
小型船で |
競漕用ボート、ヨット、潜水艇、艦艇など。
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艦(かん) |
艦船で |
軍艦、駆逐艦、航空母艦、護衛艦、巡洋艦など、「艦」が付く船で「一艦」「二艦」などと数えることがある。
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杯・盃(はい) |
主に、 特殊な船で |
かつお船などの漁に出る船でよく使われるほか、伝馬船、競技用ヨット、タンカー、艦艇などでも使われ、またその他の船でも使われることがある。 ただし、「杯・盃」はあまり一般的な数え方ではなく、いわゆる「業界用語」的な色合いを持つ数え方とも言える。 ページ内で引用した文献では、明治時代生まれの作家の作品に「杯」が見られる。 |
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《参考》 江戸時代に、黒船が渡来した際に詠まれたとされる 「肥後中村恕斎日録」より
嘉永六葵丑年 七月十六日 蒸気船 長サ三十八間と相見申候
船ノトモニ御座候 大筒 凡二十貫目之玉目ニ被存候、白キ角ナモノ御座候ハ 紙ヲ張付を出し有之 何レ大筒ト相見申候
蒸気船之図 右田上素左衛門浦賀へ差出候ニ付見受け候儘写し遣し候也、 江戸落書之風説左之通 日本を茶ニして来たかしょうきセん たった四杯て夜もねられぬ 細川の水に合たかしょうきセん 四杯くらいハたった一トのミ 御老中阿部様之評なるべし 安倍川も評判ほどニあじかない しょうきせんニはおとるお茶菓子 具足屋か唐人様とそっという 毛唐人猿ハー太閤様かー地獄て笑ふとる 御手伝やまって見れば宝ふね 牛込之隠居ハにっと舌を出し 「江戸時代
○米艦渡来 嘉永六年癸丑六月三日米国軍監四艘浦賀湾に入る
落首 「泰平のねむりをさますじょうきせんたつた四はいでよるも寝られず」(原文は変体仮名で書かれている) 「泰平の眠りを覚ます上喜撰(蒸気船)たった四杯で夜も寝られず」 (漢字交じりで) たいへいの ねむりをさます じょうきせん たったしはいで よるもねられず
《参考》 1965年(昭和40年)に公開された映画、「太平洋奇跡の作戦 キスカ」の中で、駆逐艦を数える言葉として「ハイ」という表現が見られる。
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船(せん) |
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葉(よう) |
小舟で |
文学作品などでの雅語的表現として使われ、主に「舟」という字との組み合わせでで登場することが多い。 水面に浮かぶ木の葉に喩えた表現。 |
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片(へん) |
小舟で |
丸木舟など、極めて小さい船で。 |
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葦(い) |
小舟で |
一葦は、「現今万宝新書(明治20年〈1887年〉)」に見られる。一枚の
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掉(とう・ちょう) |
小舟で |
一掉は、「現今万宝新書(明治20年〈1887年〉)」に見られる。掉は、ふる・ふるう・ただすなどの意味を持つが、棹(とう)と通じ、さお・さおさすとの意味をも持つとされることから、棹で操る小舟の数え方に使われるものと思われる。 |
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本(ほん) |
丸木船で |
丸太をくりぬいて作るので「本」で数えられことがある。 |
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枚(まい) 台(だい) 床(とこ・しょう) 房(ふさ) |
平たい板の状態なので「枚」や「台」「床(とこ・しょう)」などが使われる。また、板を何枚もまとめた状態から「房」でも数えられる。 |
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帆(はん・ほ) |
帆掛け船で |
帆を張った状態を表して。 |
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翼(よく) |
古代中国戦艦で |
漢詩に「千翼汎飛浮/ |
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枝 |
中国明代兵船で |
「枝」は、中国明代の兵書『武備志』(1621年成立)に「兵船」の数え方として見られる。兵士を運ぶことだけを目的とした簡易な細長い形をしていたからとも考えられるが、形状、由来など未詳。同書による戦船・哨船などの数え方は、一箇所のみ䑸が使われているが、他は全て隻である。 |
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