もの		数え方
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ね	根 [→ 根っこ]	一本、一株
ね	作品を見る【参考】芥川龍之介「藪の中」：男も太刀を佩（は）いているだけに、力は相当にあったようですが、不意を打たれてはたまりません。たちまち一本の杉の根がたへ、括（くく）りつけられてしまいました。【参考】會津八一「菊の根分をしながら」：一株の古根からは幾十本となく若い芽が吹き出して居る。それが一様に生気に満ちたもののように見える。
ねーむぷれーと	ネームプレート [→ 名札]	一枚
ねおんかん	ネオン管	一本
ねおんさいん	ネオンサイン [→ イルミネーション]	一灯、一組、一基
ねがい	願い [→ 願（がん）]	一つ、一筋、一掛（かけ）
ねがい	作品を見る【参考】国枝史郎「神州纐纈城」：右一統いたし候につき、二つの願い御座候。一つは使節同様の事務を取り扱うエジェントを都下に駐在いたさせたき儀にこれあり候。今一つは国々との商売勝手次第に相成り候よういたしたく候。右二か条の儀はアメリカのみにこれなく、国々の懇望に御座候。【参考】夢野久作「老巡査」：そうして又、それが泥棒一つ捕（つか）まえた経験のない無能な彼の、心中からの……ただ一筋の悲しい願いでなければならぬ事を、彼自身に何度、自覚したことか。
ねがいごと	願い事 [→ 願（がん）]	一つ、一筋、一掛（かけ）
ねかん／ねがん	寝棺	⇒ ひつぎ［棺／柩］
ねかん／ねがん	【知識】遺体をあおむけに寝かせたまま納めるように作った棺。座った姿勢で納める棺は座棺／坐棺（ざかん）。
ねぎ	ネギ・葱 [→ 長ネギ、→ 野菜]	一本、一茎、一把（わ）、一束（たば）
ねぎ	作品を見る【参考】堀辰雄「朴の咲く頃」：日向さんの奥さんは葱一本ぐらいのことで、その方たちに申訣（もうしわ）けがないと【参考】宮崎湖処子「空屋」：かくて一七日となり法事を営まねばならざりき、さらでも野菜なき夏の半ば、夫の留守中何事も懈（おこた）りがちなりければ、裏の圃（はたけ）に大葱（おおねぎ）の三四茎日に蒸されて萎（な）えたるほか、饗応（きょうおう）すべきものとては二葉ばかりの菜蔬（さいそ）もなかりき、【参考】種田山頭火「松山日記」：葱一把九銭、葱は蔬菜のうちで、高いことも高いが旨いことも旨い。【参考】芥川龍之介「葱」：忘れな草の簪（かんざし）をさした、鼻の少し上を向いているお君さんは、クリイム色の肩掛をちょいと顋（あご）でおさえたまま、片手に二束八銭の葱を下げて立っている。【参考】田山花袋「ネギ一束」：われを忘れて、畑の中に入って、ほとんど人の物を盗むなどという念も起こらぬ中に、たちまち一束の葱を取って、それを揃（そろ）えて、もとの畠の道に出た。その時、同じ畠道を、一人の男――かねて見知っている温泉宿の年寄りの番頭がこっちに歩いてきた。葱を一束抱えてお作の立っているのを、ふと眼につけて、「葱かね！」と言って笑って通り過ぎた。【参考】種田山頭火「行乞記（三）」：途上で野菜を買う、葱一束二銭也（この葱はよくなかった）。【参考】内藤鳴雪「鳴雪自叙伝」：尤も猪肉は高いから鹿肉にして、葱（ねぎ）一束位と共に寄宿舎へ持ちかえって、賄方の鍋釜を借りて煮焚きをした、
ねくたい	ネクタイ [→ 蝶ネクタイ]	一本、一掛（かけ）、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）
ねくたい	作品を見る【参考】渡辺温「父を失う話」：しかし、もとよりそんな人相書は、たとえばその中の赤地のネクタイ一本がもつ手がかりよりも、【参考】芥川龍之介「変遷その他」：彼女は半月ほどした後（のち）、はるばる僕に一すぢの葡萄色（ぶだういろ）のネク・タイを送つて来た。
ねくたいぴん	ネクタイピン	一本
ねくたいぴん	作品を見る【参考】渡辺温「嘘」：そうしてそのお礼にと云って、持っていた伊太利（イタリー）革の手提の中から一本のネクタイピンを――とり出すと、
ねぐりじぇ	ネグリジェ [→ 寝間着]	一枚
ねこ	ネコ・猫 [→ 動物]	一匹・一疋、一畜（きく）
	【知識】明治18年〈1885年〉に出版された「尺牘便覧（せきとくべんらん）」の〔狗・猫〕の項に「一畜（キク）」とある。
	作品を見る【参考】正岡子規「熊手と提灯」：この夫婦には子は一人もないのでこの上さんは大きな三毛猫を一匹飼うて子よりも大事にして居る。【参考】芥川龍之介「浅草公園 ――或シナリオ――」：行火の裾（すそ）には黒猫が一匹時々前足を嘗（な）めている。【参考】萩原朔太郎「ウォーソン夫人の黒猫」：午後の四時になる少し前に、どこからか、どうしてか解らないが、とにかく一疋（いっぴき）の大きな黒猫が、室内に現われてくるという事実であった。
ねこぐるま	猫車・ネコ車 [→ 手押し車、→ 一輪車、→ 一輪台車]	一台
ねござ	寝ござ・寝茣蓙・寝蓙 [→ ござ、→ たかむしろ]	一枚、一帖（じょう）、一陳（のべ・ちん）
ねござ	【知識】江戸時代に、喜田川守貞によって書かれた「守貞謾稿（もりさだまんこう）」に、『ねござは古のたかむしろなり。夏用なり（中略）ねござは夏日敷布団の上に重ねて敷くなり。昼寝にはこれのみを敷きて臥すもあり。民間下輩の小者には冬日もふとんを用ひず、これをもつて敷布団に代ふるもありとなり』とある。「守貞謾稿」は、天保8年（1837）から慶応3年（1867）まで、30年間にわたって書かれた江戸時代後期の風俗史。 []
ねじ	螺子・捻子・捩子・螺旋	一本、一個
ねじくぎ	ねじ釘・ネジ釘	一本
ねじくぎ	作品を見る【参考】葉山嘉樹「海に生くる人々」：くず鉄の山の中の一本のねじ釘（くぎ）のように、わずかに存在しているに止（とど）まった。
ねじまわし	ねじ回し [→ ドライバー]	一挺［一丁］（ちょう）、一本
ねじりあめ	捩り飴 [→ 菓子]	一本
ねじりぼう	捩り棒 [→ 菓子]	一本
ねずみ	ネズミ・鼠 [→ マウス、→ 二十日鼠、→ 動物]	一匹・一疋
ねずみ	作品を見る【参考】夏目漱石「吾輩は猫である」：吾輩に向って下（しも）のごとく質問した。「御めえは今までに鼠を何匹とった事がある」智識は黒よりも余程発達しているつもりだが腕力と勇気とに至っては到底（とうてい）黒の比較にはならないと覚悟はしていたものの、この問に接したる時は、さすがに極（きま）りが善（よ）くはなかった。【参考】芥川龍之介「仙人」：さて、まわりに人の墻（かき）が出来ると、李は嚢の中から鼠を一匹出して、それに衣装を着せたり、仮面（めん）をかぶらせたりして、屋台の鬼門道（きもんみち）から、場へ上（のぼ）らせてやる。

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