1. 「
一羽
」「
二羽
」と数える兎
- 「兎」を「
一羽 」「二羽 」と、「羽 」という字を使って数えることがあります。
【参考】大下藤次郎 「白峰の麓」: 昼前に若い一人の男が来て、兎を一羽買ってくれという。副食物の単調に閉口しているおりだから早速三十銭で求める。
- 通常、「
羽 」は鳥を数える助数詞として使われますが、まれに、文学作品などでは、チョウやトンボなどの昆虫や、鳥ではないが空を飛ぶコウモリなどを数える語としても登場します。
【参考】夏目漱石 「草枕」: 寂然 と倚 る亜字欄 の下から、蝶々 が二羽寄りつ離れつ舞い上がる。
【参考】大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」: 岸に近く、浮草にすがりて、一羽の
蜻蜓 の尾を水面に上下するを見る。卵を生むにや。
【参考】泉鏡花「湯女の魂」: 掻消 すごとく裸身 の女は消えて、一羽の大蝙蝠となりましてございまする。
- これらのチョウやトンボ、コウモリなどは、空を飛ぶその様から「
一羽 」「二羽 」と数えても違和感はありませんが、“飛ばない"「兎」を何故「羽 」と数えるのでしょうか。 -
このコラムでは、「兎」の「
一羽 」「二羽 」という数え方について考えてみたいと思います。
次は、「一羽 」と数える『由来』についてです。