3. 兎の「
羽
」以外の数え方は?
「2.」では、「羽 」と数える由来について見てみましたが、その他の数え方にはどのようなものがあるでしょうか。
兎の数え方には次のようなものが上げられます。「兎の主な数え方」一匹・一疋、一羽 、一頭 、一兎 、一耳 、片耳、二耳
- ① 最近は「一匹」が主に使われるようですが、習慣として「
一羽 」とする数え方も使われているようです。しかし、新聞やテレビではもっぱら「匹」が使われます。 - ② 「
兎 」は、「二兎 を追うものは一兎 をも得ず」という諺に見られます。 - ③ 「
耳 」は、長い耳が特徴的であることや、耳を括る様に由来する数え方であると思われますが、「一匹を片耳 」「一匹を二耳 」「二匹を一耳 」 などとする文献があり、数には揺れが見られます。 - ④ 明治時代の『現今万宝新書』『尋常高等小学作文八千題』という文献には、「一匹を片耳」「二匹を一耳」と見られます。
- 兎の数え方が書かれている、江戸から明治にかけての文献を見てみます。
- ⑤ 「
頭 」は、動物を一般的に数える数え方で、主に獣類や大型の動物を数える時に使われますが、小型の動物でも使われることがあります。
※ これらには「一羽」という数え方は出てこない。
『大諸礼集 小笠原流礼法伝書 書礼 二巻 書礼の次第 39 一 』(江戸室町時代末期)に、次のように見られます。
また、一疋、二疋とするのはよろしくないとしています。
「兎は
一
耳
二
耳
。一
疋
二疋とは
悪
し。但一
耳
とは二つの事也。一つをば
片耳
と書也。一つ二つとはくるしからず候書べきなり。
〔『大諸礼集』小笠原貞慶(1546-95) 伝〕」
これによれば、一匹を片耳と言い、二匹で一耳と言うことになります。〔『大諸礼集』小笠原貞慶(1546-95) 伝〕」
また、一疋、二疋とするのはよろしくないとしています。
「大諸礼集」に見られる『兎』について
(国立国会図書館蔵)
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『運歩色葉集
』(室町年間/天文16〜17年[1547〜48年]頃成立)に、次のように見られます。
「兎
一ヲ曰二耳也」⇒「一を二耳というなり」
これによれば、一匹を二耳と言うことなります。『
節用集
』の「永祿二年本(室町年間/永祿2年[1559年]」と「両足院本」に、次のように見られます。
これによれば、一匹を二耳と言うことなります。
『現今万宝新書/百般実用』(明治20年 [1887年] )に、次のように見られます。
これによれば、一匹を片耳、二匹を一耳と言うことなります。
『尋常高等小学作文八千題』(明治24年 [1891年] )に、次のように見られます。
これによれば、一匹を片耳、二匹を一耳と言うことなります。
・文献などによる情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
次は、「文学作品」に登場する兎の数え方を見てみます。